情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

江東区バラバラ殺人での死刑回避を支持する~そして、検察官には肉片を見せる前にするべきことがある

2009-02-18 23:17:35 | 適正手続(裁判員・可視化など)
「死刑をもって臨むのは重きにすぎる」。東京・江東区のマンションで23歳の女性を乱暴目的で拉致して殺害、遺体をバラバラにして捨てたとされる事件の裁判。東京地裁は、殺人などの罪に問われている星島貴徳被告に対し、無期懲役の判決を言い渡しました(TBS)。死刑を回避したことは当然といえば当然だが、肉片などで残虐ぶりをショーアップしたなかで、裁判所はよく踏みとどまったといえる。(http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4065521.html)

 事件自体が、非道で許されないことであることは間違いないが、そのことと死刑判決を下すべきであるかどうかは別だ。国家が死刑を実行することは、私には、国家が具体的な犯罪予防を放棄し、単に厳罰を下しているようにしか思われない。子どもがルール違反をした際に、殴ればよいと考えているのと同じような気がする。

 ここでは、死刑の是非には踏み込まない。問題だと考えるのは、この判決を受けて、裁判員制度の創設に関与した但木敬一前検事総長が発したコメントだ。

 TBSによると、但木前検事総長は「立証せざるを得ないので、裁判員には(証拠を)見てもらわなければ、避けて通るわけにはいかない。問題は、そういう資料を全部出すから“国民の常識的な感覚”で判断してくださいと」と述べたという。http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4065522.html

 ふ~ん、無罪方向の証拠は隠しておいて、「そういう資料を全部出すから」ってどういうこと?!警察が集めた証拠を全部弁護側に開示してから、こういうセリフを吐くならまだしも、厳罰方向の証拠のみを「全部」出されたってねぇ…。

 ほんとに、不思議の国だよねぇ…。




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1 コメント

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法律に無知な一市民からの一言 (パン)
2009-02-19 11:54:55
夕方のニュースを見ていて、検察のビジュアルを使った残酷性のアピールに違和感を感じました。
ワイドショーの誇張した演出に世論は乗っかってしまうことがよくある。裁判員制度が開始されて、裁判員は、残虐性にアピールに乗っかってしまって、他の知るべきことがないがしろにしてしまうことになりはしないのかと思いました。感情に訴えることは、人の心を動かしやすいですよね。だいじょうぶなんでしょうか。
会議でのプレゼンって、企画自体の良否が検討されるべきですが、そのことから離れてしまって、ビジュアルなどを駆使したプレゼン力の勝っている方が通りやすいことがよくありますよね。わかりやすいほうに乗っかってしまう。ビジュアルの力って、すごいなって思ってしまいます。心理学は、情報伝達には視覚にうったえるのが一番よいといってますよね。
裁判を傍聴したことがないので、裁判って、どんなものなのかわからないし、そのうえで、裁判員を選ばれたとしたら、適切な判断しろっていわれも困りますね。不安だし。アピールに影響されて、気分で決めてしまいかもしれない自分がいる。こわいですね。

警察が集めた証拠を全部弁護側に開示はしてないんですか。知りませんでした。そんなのありなんですか。えー、驚きです。
ほんとに、不思議の国ですねぇ…。
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