情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

裁判員制度におけるメディア規制の真の狙いと戦わないメディア~次号インパクションに掲載

2008-07-11 06:34:04 | メディア(知るための手段のあり方)
 裁判員制度をめぐるメディア規制については、昨年9月、マスコミ倫理懇談会全国大会に講師として招かれた最高裁判所刑事局の平木正洋参事官が、捜査段階で本来無罪推定が働くべき被疑者について捜査側の情報に依拠して犯人であることを前提として報道する「犯人視報道」を批判し、1)被疑者の自白、2)被疑者の弁解の不合理性の指摘、3)被疑者の犯人性に関連する証拠、4)被疑者の前科・前歴、5)被疑者の生い立ちや人間関係、6)被疑者を犯人視する有識者らのコメントなどに関する報道は裁判員制度のもとでは避けるべきである旨発言したことから議論が再燃した。マスメディア側はこのような制約のもとでは実質的には事件報道ができなくなると騒ぎ立てた。

 「ああ、また、始まったな」というのが、正直な感想だ。表現の自由・報道の自由の重要性は十分に認識しているつもりだが、この論点に関するマスメディア側の反応には正直言って共感することができない。なぜならば、マスメディアが反応するのは事件報道ができなくなるという理由につきる、はっきり言えば、飯の種がなくなるという理由につきるのであり、一体、自分たちがなにゆえ事件報道をするのかという視点が全く欠落しているとしか思えないからである。同時に、法務省の策略のうまさも感じる。偏見報道問題を前面に押し出すことで、肝心な裁判員への接触禁止規定へ踏み込ませることを防いでいるからだ。それらのことをはっきりさせるために、時計の針を2003年までもどしてみたいと思う。

 メディア規制に対する反発と受容
 2003年、司法制度改革推進本部本部事務局が提示した「裁判員制度について」と題するたたき台、及びそれを基にした同本部裁判員制度・刑事検討会の「座長ペーパー」が発表され、それらには、①報道機関を含む全ての者について秘密を知る目的で裁判員であった者と接触することを禁止する規定(及び裁判員が経験したことについて公表すること自体が禁止されている規定)、②裁判員に偏見を生じさせるような報道を禁止する規定が盛り込まれていた。
 マスメディアは一斉に両規定に対して、声高に反対の声を上げた。珍しく、足並みが揃っていた。その結果、②については、新聞・テレビ業界が自主規制を設けることを約束したこともあり、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(以下、「裁判員法」という)には盛り込まれないこととなった。
 すると、マスメディアは、①の問題が残っているにもかかわらず、一斉におとなしくなり、②を排除した裁判員法を受け入れる方針を黙示的に示した。当時、こうしたマスメディアのあり方に非常に失望したことを覚えている。なぜならば、①と②では、①の方が実は重要な問題を含んでいるといえるからだ。

…以下は、次号の「インパクション」の拙文をお読みいただければ幸いです。写真は今号ですのでお間違えのないよう…。





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