情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

自民党は、自衛隊の暴走に歯止めをかけるつもりはない!~新憲法草案と佐藤正久発言と

2007-08-13 07:42:36 | 有事法制関連
 小泉が安全だというところへ出かけておいて、「周りの人(オランダ軍)がやられているのを見過ごすわけにはいかんから、周りの人がやられ始めたら自分も巻き込まれた振りをして、戦争開始の口実をつくるつもりだった」という何やら男気に充ち満ちた趣旨の発言をしたヒゲ隊長こと佐藤正久に対し、安倍は、今週、いかなる「お言葉」をかけるのか?非常に注目したい。また、マスメディアがこの佐藤発言を見逃すのか、それとも突っ込むのか?これを見逃すようなメディアは、戦前の戦意昂揚新聞への道を突き進むことに躊躇していないというほかない。歴史に学ぶことはないのだろうか…(ここ←参照)。

 ところで、安倍の「お言葉」だが、極めて寛大なものになるか、まったく言葉無しとなる可能性が大きい。というのも、自民党は軍部の暴走行為を止めるつもりがないような憲法をつくろうとしているからだ。

 自民党の新憲法草案(←クリック)の76条3項には、【軍事に関する裁判を行うため、法律の定めるところにより、下級裁判所として、軍事裁判所を設置する】と書かれている。

 これは非常に恐ろしい規定だ。たとえば、上司の命令に反して外国の軍隊を攻撃したが、実はそれが自衛隊内部では好戦派を中心に歓迎されていたとしよう。その場合、仮に軍事裁判所(裁判官も検察も弁護人も全て自衛隊員)で裁判が開かれても、自衛隊内での出世のことを考えると、自衛隊員である裁判官は、ごく軽い刑罰しか下さない可能性が大きい。

 そのうえで、自衛隊員である検察官は、普通の裁判官で構成される高裁に移ったら、通常の刑罰(軍事裁判所よりもかなり重いもの)が下される可能性が大きいから、控訴をしないという決断をすることになる。すると、軽い刑が確定してしますう。

 …こうして、暴走自衛隊員は安心して既成事実を次々とつくりだし、戦争を拡大する方向で進んでしまう。

 今回の佐藤発言は、まさに、現地軍隊の暴走を予定していたことを吐露したものであり、かつ、「日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」と述べているとおり、裁判でも男気に訴えて軽い罪を目指すつもりだったようだ。

 まさに、この佐藤正久の選択を擁護するために、自民党の新憲法草案はあるといってもよい…。恐ろしいことです。

 なお、軍隊の役目は自国市民を守るためにあるのですから、例え、他国の兵隊が攻撃されていても、自国市民の安全を優先するならば、安易に交戦するべきではないのは当たり前のことです。交戦状態になれば、自国の市民の安全が損なわれるのは明白…。

 交戦権の存在を仮定して考えてもヒゲの隊長佐藤正久の発言は市民の生命を軽視するものであり、国会議員失格であることは疑いの余地がない!













★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おはようございます。 (m-maki)
2007-08-13 08:45:40
佐藤正久さんには、罪を犯す機会から遠ざかっていただくためにも、今日にでも参議院議員を辞めていただきたいです。佐藤さんも自民党の草案を作った人も悪に傾きすぎていますよね。
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とんでもない話だ (Akira-S)
2007-08-13 12:34:49
元自衛官が国会議員になったりするからこうなる。中谷元と同じ。
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Unknown (Amets)
2007-08-13 14:56:13
はじめまして。
政治ブログには書き込みをしたことがないのですが、関心度は滅茶高い者です。この件は本当にひどい!
めったにテレビを見ない私がたまたまTBSで佐藤正久発言を聞き、これは大きなネタだ、これから大マスコミも、インターネットでも大議論するべきテーマだと思いましたが、ブロガーの皆さんには佐藤発言よりマダム寿司のほうが大きいみたいですね。
昨日の新聞も、例のヨイショ懇談会による駆け込み警護容認論ばかりが載っていて社説さえもなかった。

この件についての安倍氏の見解は?ということですが、防衛大学の卒業式で阿部氏が行った演説で答えが出ています。私が下手に要約しなくても天木直人がご自身の5月31日のブログで書いています。どうぞ読んでください。
管理人様にお願いですが、当分このテーマでキャンペーンを張っていただいて、せめてブロがーサンたちの中で継続的な問題定義を、と思います。
当方ブログを持っていないのでごめんなさい。

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国民に受け入れられ易い発言の問題性 (杉浦ひとみの瞳)
2007-08-14 00:12:10
ヤメ蚊さんのブログでいつも勉強しています。

ところで、今回の佐藤発言で最も恐ろしいと思うのは、同氏の発言が国民に受け入れられやすく、その矛盾に気づきにくいということです。
同氏の発言についての紹介は以下のとおりです。


 「自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)
そして、
 佐藤氏は、もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだったといいます。

 「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員)

この中で、
「目の前で苦しんでいる仲間がいる。手をさしのべる」
「日本の裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」
と述べていますが、これらの言葉が、人の心に共感を生みやすく、その潔さにおもわず「そのとおり」と思ってしまいがちなことに、問題提起をしたいのです。

憲法9条が定められたのは、相手方からの挑発や攻撃があったとしても、またその際の状況がどのようであろうとも、戦わない、ということこそが必要だと考えたわけです。
それは、戦争被害と関係の無い人たちが空想・理想で定めたものではなく、大変な戦争被害を受けた人たちがそれを認めたのです。

人間として、どうしても戦いたいと思うようなことは当然あるわけですが、それでも思いとどまることが理性であったはずです。

このような理性の法に反したことについて「喜んで裁かれよう」潔さを装ってみても、それは許されないことなのです。
だまされてはいけないと思うのです。


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