情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

刑事裁判に被疑者・被告人は参加しているか?~被害者参加は時期尚早

2008-12-11 07:00:16 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 そう、被害者参加についても、NPJの集会で一言触れました。時間がなかったので、舌足らずの面もあったと思うので、ここで少し補足しておきます。これまで放置されてきた被害者が刑事裁判に参加することが肯定的にとらえられているが、それで本当にいいのか?っていうことです。

 私は、被害者参加の前に、被告人を裁判に参加させろって言いたい。

 ①取り調べ状況がいかなるものであったかを証明する手段を持たないなかで(全面録画がされていないなかで)、長時間の取り調べを受けなければならない仕組み、②警察が捜査した情報のうち警察に不利なものは出さなくてもよいとされる仕組み、③軽い罪でも認めるまでは簡単に身柄を拘束される仕組み、④開示された証拠は刑事裁判の中でしか利用できず、それを示して社会に不当捜査だというアピールをしたり、新たな証拠を探すための呼びかけをすることができない…。

 上げればきりがないが、こういう仕組みで、被疑者・被告人が刑事裁判に参加しているといえるだろうか?

 あなたが、被疑者・被告人になったとき、特に無実なのに誤って逮捕されたときに、上記のような状況で、裁判に参加しているといえるだろうか?刑事裁判に「放り込まれる」という表現はできても、とても、「参加」できているとはいえないはずだ。

 被疑者の人権ばかり求められ、被害者の人権は放置されてきた…これがマスメディアがのっかる主張だ。

 しかし、被疑者の人権が獲得できていないからこそ、弁護士は被疑者の人権を守るように求め続けているのである。

 もし、上記のような仕組みが諸外国並みに改善されれば、被疑者の人権を求め続ける必要はなくなるともいえる。

 被害者が参加することでバランスがとれたなんていう識者コメントも目にしたが、もともと、被疑者・被告人は実質的に参加できていないのだから、被害者が参加することで、さらにバランスは大きく検察側に傾くことになるというほかない。

 …しかし、被害者が参加できるようになったのだから、被疑者・被告人もきちんと参加させろって言いやすくなったともいえる????  
 


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (伊賀 敏)
2008-12-11 11:27:37
これは正しい。

裁判とは 裁判官と検事と弁護士の3者のみが発言する。  被告もほとんどしゃべらない。 弁護士は必ずしも被告のことをすべて理解しているわけではない。
 

つまりは適当にやってるわけだ。


リアリティーのない場だ。





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「不平等」だろ (しゅう)
2008-12-11 17:21:25
ヤブ蚊 クンへ

>私は、被害者参加の前に、被告人を裁判に参加させろって言いたい。

なぜェ???

君も、やっぱり人権を平等に扱えない、「欠陥」弁護士のようですね。
(^m^)
せめて、
「被害者も被告人も、同様に裁判に参加させろ」
と書けよ。
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安易に気が済めばイイんでしょ。 (田仁)
2008-12-11 21:00:03
日本人は口先程にも、正義も公正も、実は犯罪の未然防止にも興味ないです。
目先の得にならないし、第一、実現しようとすると常に努力を強いられてシンドいから。
単に安易に気が済めば満足なだけで、事実とか真実とかどうでもイイんです。
だから、今現在『正義』を気取れればソレでヨく、「もしや将来自分も被告席?」なんて先々の事は考えてない!
被害者感情の満足が冤罪乱発でない事を祈ります…。
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公平な裁判なのだろうか? (アユ)
2008-12-11 22:05:29
被告の弁護側の情報収集能力と警察の情報収集能力の差とかも問題だともう。

あと、警察が被告に有利になる証拠を出さないのも問題だおおもう。
たとえ、全部の証拠を出したと警察側が言ったとしても、それを証明できないし・・・。
取調べの可視化だけじゃなくて、
証拠調べの透明化も必要だと思う。
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冤罪がふりかかってきたらどうすればいいの? (はつこめ6花)
2008-12-13 12:15:50
富山の連続婦女暴行冤罪事件において、
「断続的に3日間朝から晩まで行われ、4月15日の3回目の任意捜査において、既に何が何だかわからなくなり疲れ切っていた男性は、「おまえの家族も『おまえがやったに違いない。どうにでもしてくれ』と言っている」などという、取り調べ警察官の真実に反する誤導により、容疑を認め、自白したものとして逮捕された。逮捕状は既に準備されていた。

また、真犯人の足跡は28センチに対して、冤罪の男性は24,5センチ。
犯行時間には、自宅から知人に電話をしているのがNTTの記録にあった・・・

これらが隠蔽??被告側にはなすすべありませんね。

>開示された証拠は刑事裁判の中でしか利用できず、それを示して社会に不当捜査だというアピールをしたり、新たな証拠を探すための呼びかけをすることができない…。

冤罪にしない弁護士さんの取り組みについて、もう少し教えてください。
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Unknown ()
2008-12-14 22:27:48
気になっていた事があるのですが。

被害者や、被害者の遺族が法定で陳述できるようになりましたが、その陳述者をどうして「証人」というのでしょうね。
証人とは犯罪事実を証明するために陳述する人ですよね。
事実を証明するために必要な時は今までも証人として陳述できたと思うのですが。

今、新たに認められているのは、被害者感情を述べる機会ですよね。
それは「証人」とは言わないと思うのですが。

過去の事実を証明するのは難しい。被害者感情を聞けば判断はさらに、難しくなると思うのですが。

被害者の救済・感情の慰撫と、事実の究明である裁判は別に行われるべきと思います。
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