情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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ついに映画の“検閲”まで開始?!~自民党稲田議員らが反戦映画事前試写を要求、文化庁が仲介!

2008-03-09 23:15:19 | メディア(知るための手段のあり方)
 朝日新聞(http://www.asahi.com/national/update/0308/TKY200803080237.html?ref=goo)によると、【靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画の国会議員向け試写会が、12日に開かれる。この映画は4月公開予定だが、内容を「反日的」と聞いた一部の自民党議員が、文化庁を通じて試写を求めた。配給会社側は「特定議員のみを対象にした不自然な試写には応じられない」として、全国会議員を対象とした異例の試写会を開くことを決めた。映画に政府出資の基金から助成金が出ていることが週刊誌報道などで問題視されており、試写を求めた議員は「一種の国政調査権で、上映を制限するつもりはない」と話している】という。

 問題となった映画は、日本に在住する中国人監督李纓(リ・イン)さんが10年かけて撮影した「靖国 YASUKUNI」。朝日新聞によると、4月12日から都内4館と大阪1館で公開される予定だという。

 試写を求めたのは、自民党の稲田朋美衆院議員と、同議員が会長を務める同党若手議員の勉強会「伝統と創造の会」(41人)。稲田議員は、朝日新聞の取材に対し、「客観性が問題となっている。議員として見るのは、一つの国政調査権」と話したという。稲田議員は、同じく同党議員でつくる「平和靖国議連」と合同で試写会を開き、試写後に同庁職員と意見交換する予定だったらしい。

 この映画については、一部週刊誌が、文化庁が指導する独立行政法人が管理する芸術文化振興基金から06年度に助成金750万円が出ていたことなどを問題視する記事を掲載している。朝日新聞によると、この基金は政府出資と民間寄付を原資とし、運用益で文化支援しているという。

 稲田議員は「表現の自由や上映を制限する意図はまったくない。でも、助成金の支払われ方がおかしいと取り上げられている問題を議員として検証することはできる」と話していると伝えられている。

 しかし、そもそも、何故、一般公開前に自分たちだけに見せろと言うのか。客観的に問題があったら、公開を中止しろとでもいうつもりだったのか?「上映を制限するつもりはない」「助成金の支払われ方がおかしいと取り上げられている問題を議員として検証することはできる」というが、上映前の試写とは、検閲そのものではないか。助成金の使われ方がおかしいから検証しなければならないなら試写や一般公開で見ればよいだろう。あるいは、一般上映開始後にビデオを借りるのもよいだろう。なぜ、一般公開前に強引に試写させるのか、狙いは明らかだろう。

 しかし、稲田議員の話を聞いて、制作側に仲介した文化庁の責任も大きい。文化を守る文化庁が自ら検閲に映画を差し出したのだから…。

 映画人、文化人、ジャーナリストを中心に、このような試写に対する抗議の声を上げなければならないはずだ。映画まで検閲される時代、もう、暗黒時代がそこまで来ている!


 冒頭の写真:(C)2007 Dragon Films Inc.
 









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8 コメント

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ていうか、単に淡々とした事実の描写を…。 (田仁)
2008-03-11 16:13:00
ていうか、単に淡々とした事実の描写を目の仇にせにゃならん、B層右翼議員って一体…。
そんなに、この上なく公正中立な立場の描写でさえ、絶対に許せないのか…。
何という度量の狭さ!!!
それじゃあ「助け合うな!殺し合え!」ッて靖国の精神に則った映画以外、全部アウトになっちゃうじゃん!
とか思ってしまうのは私だけですか?
(個人的希望を言うと、李監督には、中国研修生制度の映画とかも撮って欲しい気がします?)
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試写会に (imacoco)
2008-03-13 02:43:11
80人国会議員が来たらしいけど、全員の名前分からないのですかね?
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Unknown (あやこ)
2008-03-13 20:45:56
芸術文化振興基金が、どの様な基準で助成金を出すのかと言う
選定基準が国民に明らかにされていない事が問題なのでは?
750万円もの税金を払って助成するべき価値があるかどうか・・・

昨年公開された「あなたを忘れない」にしても、民潭の意向に沿った
映画に助成金3000万円を出している。
全く基準が理解できない・・・

国民の一人として、稲田議員が動かない限り、こういう事実が
多くの国民には、全く知らされないままだったでしょう?

民間の資金だけで製作した映画が、どのような内容であっても
批判する気はありません。
表現の自由ですから、ご自由に。
しかし、助成金を払う基準を知らされない現状では
「検閲」だのと
批判ばかりしていないで、税金の使い方を調べて欲しいですよ。

何故、この映画に750万円を助成したのか?
知る権利位あると思いますよ。
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一般公開後であれば… (ヤメ蚊)
2008-03-14 02:04:39
一般公開前にわざわざ試写をするということの問題性を指摘しているのです。結果的に問題があるという批判をするのはその人の勝手でしょうが、事前審査まがいのことを国会議員たる者(最も自らの表現の自由が守られなければならないはずの者)をすることが問題だ!ということです。
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ま、縮めて言えば要するに… (田仁)
2008-03-14 19:23:18
新銀行東京で有名な御仁が喜びそうな右曲りネタの映画なら、助成が当然!ってなご意見でしょ?
ま、新銀行東京はバブルの時の「公的資金注入(水増し請求)」ボロ儲けを真似ようとしてて、今寄って集って反対されてますけども。
これからは映画なんかでも同じ場面が再現されないとも限らないご時世になりますよね…?
だって、B層右翼の「錦の御旗」、親分たる米国のネオコンが縮小傾向を迎えるんだから。
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Unknown (Unknown)
2008-04-02 02:33:12
>一般公開前にわざわざ試写をするということの問題性
全く問題ない。助成金関係で問題があるかもしれないので試写をさせてくれと言っただけで、表現の自由とは何の関係もない。

国会議員は政府ではない。表現の自由とは国家権力からの自由のこと。したがって事前審査とも全く関係が無い。
政府が上映をやめろという圧力をかけるとでも思うの?
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パブリック・デューティとか選良とか、結果責任とか言って見ても…。 (田仁)
2008-04-02 18:47:17
所詮はB層右翼、聞く耳持たないんでしょうね?
他より給料が高いって事は、義務も大きいんだけど。
欲に呆けた国家神道カルト病に掛かると、何故だか自称「国家に参画している」のが免罪符になると考えるんだよね。
ソレは民主主義の元でなくて、全体主義下での話なんだけど、確かに靖国原理主義の本質はソノ通りだから。
今も靖国が生き延びているのは、全官僚・政府・与党の無能と無策を免罪してくれる便利なお札代わりとして。
姑息な言い訳で済むお話じゃないんだよ、判る?判んないだろうなぁ。
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Unknown (沖縄の憂鬱)
2008-04-14 18:53:35
助成金(税金)を出すに相応しい映画なのかどうか
確認しただけでしょ。日本人が、「靖国」という映画
撮ったのならまだしも、一党独裁で、言論の自由のない、靖国神社をバッシングしまくってる国の人間が撮った映画だぞ。国民の代表たる国会議員が、事前に
観てなにが悪いの?税金だして反日本国家的な映画を外国人に撮られたらだめだろよ。われわれ国民のためにしてんだからね。それに普通に考えても「靖国」なんてドキュメント映画を好きで観るやつは少ないでしょ。いい宣伝になったと喜んでんじゃないの?しかし
刀鍛冶の人はこんな映画とは知らなかったと言ってるし、問題多すぎでしょ。
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