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それでも欧米型雇用ですか?「働き方改革」を斬る

2021年04月09日 13時30分10秒 | 労働
それでも欧米型雇用ですか?「働き方改革」を斬る
 安倍政権以来、送付の推し進めている「働き方改革」は、人間中心の日本型雇用は効率が悪いから、仕事中心の欧米型雇用システムに切り替えていこうというものだという事は、すでに多くの方々がご承知のことと思います。
 なぜ自民党政権が、そうした選択をするのか解りませんが、まだ舶来崇拝の名残りが日本の保守派の中にも残っているのでしょうか。

 ところでこんな数字が、日本労働研究兼修機構(JILPT)から出されています。
 新型コロナがアメリカと日本の雇用(失業)にどんな影響を与えているかで、JILPTの資料はアジアは日本と韓国、欧米はアメリカイギリスフランスなど6か国ですが、ここでは特徴的な日米の数字を比較してみたいと思います。

  <新型コロナによる失業率への影響>
日本:昨年1月の失業率2.4%、今年2月の失業率2.9% ピークの失業率3.1%
米国:昨年2月の失業率3.5%、今年2月の失業率6.2% ピークの失業率14.8%
    (資料:JILPT)
 
 アメリカのピークの14.8%は、日本のマスコミでも紹介されていましたが、職務中心の雇用システムの国では、仕事がなけれが雇用がないのが原則ですから、失業率は大きく動きます。
 多分、日本でも、職務中心の雇用システムになっていきますと、(今の日本では)「非正規」といわれている雇用が一般的になり、 アメリカ型の雇用と解雇のやりかたが一般的になっていくのでしょう。     

 もともと日本では、従業員を安易に解雇する事は企業にとって大変望ましくない事でしたが、近ごろは、仕事がなければ解雇するというのが許されるような雰囲気も、何となく出てきたようです。

 確かに企業にとっては,その方が便利かもしれません。企業にとって便利なことは、企業の効率を上げ、結局は経済活動全体が効率化されるというように考えるのが、欧米流の雇用システムです。

 ですから、採用も仕事があって人がいないときに行われるわけで、1年中必要な時に行われ、新卒一括採用などはありません。日本の非正規の採用と基本的に同じです。これが欧米諸国の 若年層の失業率 の高さの主因です。

 ところで、アメリカ型の雇用システムが、本当に企業の効率化に役立つのでしょうか。実はこれが問題の本質なのです。
 確かに短期的には、アメリカ型の方がより合理的なのかも知れません。しかし、人間は機械と違って、いろいろ考えるのです。

 機械ならスィッチを入れればいつも同じように動きます。人間はそうではありません。やる気がないと能率は落ちます。日本型雇用というのは、雇用の安定を重視するのが特徴で、企業が雇用の安定を重視していることが従業員に理解されることが、やる気の根源にあるという認識にたっています。(これは多分日本人らしい性善説に立つ考え方でしょう)

 考えてみると、欧米流の職務中心の雇用システムは理論的かもしれませんが、短期的な視点に立つもので、日本流の人間中心の雇用システムは、経験的なものに起因し、長期的な視点に立つものということが出来るのかもしれません。

 世の中、政治も経済も、よろず短期的な視点が多くなって来ているようですが、近視眼になるとリスクも多い事は事実でしょう。
 日本の企業としては、こうした視点をどう組み合わせるのか、どう選択するのか、政府の「働き方改革」のそれはそれとして、今後とも、よくよく「長い目で」で見て考えていく必要があるのではないでしょうか。

 








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