吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

勝った負けたと騒ぐじゃないよ

2012-01-31 23:11:43 | インポート
朝、私が家を出て仕事先へ向かう途中、時々会う男性がおります。
見た目年齢は50歳くらいです。
黒いコートにチャコールグレーのマフラー、髪は既にほとんどが白髪の
お堅い仕事をしていそうな、神経質そうな、眼鏡をかけた男性です。

私は、仕事へ行く時には、いつも時間に充分な余裕をもって家を出ます。
それでも何故か、早歩きで仕事先へ向かうという癖があります。
そんなときに、その男性と出くわすのです。

男性は、慎重な性格の持ち主なのでしょう。
足を滑らさないように、そろそろと雪の道を歩いています。
私は、元々歩くのが早い方なのですが、早歩きだと、益々速度が上がります。
その速度で、そろそろ歩きの彼の横をすり抜けて前へ出ます。
すると、彼は急に足を早めて、私の前へ出ます。
でも、私を追い越して暫くすると、彼はまたそろそろ歩きに戻ります。
そろそろ歩きたい慎重派の彼と、常に早足きの私とでは
どうしても、私がまた前へ出ざるを得ません。
でなければ、壁にぶつかった電動式の自動車のおもちゃのように
彼の背中にくっついて、足踏みをしなければならないのですから。
男性は、また急に足を早めて、私の横をすり抜けました。
その時、明らかに横目でちらりと私の顔を見ました。
しかも、彼は完全に私を追い越した後、一度振り返って私を見て
ふん!という感じで再び前に向き直り、歩き出したのです。

ああ、下らない…。

こんな、雪で道幅が狭くなった(しかも滑りやすい)歩道の上で
どっちが先を歩いたって、たいして変わりはしないのに。
男性が焦って駅へと向かう背中を見送りながら
駅構内を通り抜けて仕事先へ向かうつもりだった私は
途中で曲がって、コースを変更したのでした。

しかし、その翌日、またその男性に遭遇。
それまで慎重にそろそろと慎重に歩いていた男性は
私を見て、はっという表情になった男性は、いきなり足の回転を早めて
大急ぎで私の前を歩いて行きました。
その後ろ姿を見送りながら、私は最初からいつもと違うコースを選び
思う存分、早歩きで気持ち良く仕事先へ向かいました。

それが続く事数回。
実は、最初の数日は、私はこの男性をほとんど意識しておらず
ただの、「そろそろ歩きの男性」としか、認識していませんでした。
でも、男性の態度が、あからさまに(なんだコイツ)という感じなので
嫌でも、その空気に気付いてしまうのです。

でも、もしかしたら、私の勘違い(気にし過ぎ)ということも有り得る。
だとしたら、男性に対して、失礼な誤解をしたことになってしまいます。
こんなときのための、あくゆーず。
全員に、一喝送信(←こんなもの送信されちゃたまりませんね)
一括送信メールで、このことを伝え、どう思うか聞いてみたら
なんと、他のメンバー全員が、似たような経験を持っていました。
結論として、別に勝敗を競っているわけではないので
行きたかったら先へ行けということでした。

因みに、今日のタイトル、「勝った負けたと騒ぐじゃないよ」は
昭和を代表する演歌歌手、水前寺清子さんの
『どうどうどっこのの唄』という、有名な曲ですが
この歌詞は、こう続きます。
 
 あとの態度が大事だよ

賭けてもいい、あの男は、大して仕事できない。
だって、後の態度がアレだもの。

ハイタッチ

2012-01-30 21:55:53 | インポート
今日は、さっちゃんの歯の治療の最終日でした。

普段は、そんなに愛想の良くない先生が
診察台の上のさっちゃんに、数秒間ほど優しく微笑みかけ
さっちゃんも、それにニコニコと応じて、治療が始まりました。
治療した歯の状態を診て、歯茎の状態を診て、歯垢を取り除いて
治療は、30分ほどで済みました。
なにもなければ、次は定期検診です。

「うーん、次の定期健診は
 矯正歯科へも定期的に行っているようだから
 うーん…」

 暫くはうちに来なくても大丈夫でしょう
 なにかあったら来て下さい

…って、続くのかと思ったら。

「じゃあ、2ヵ月後」

えっ?はやっ!
私が治療を受けたときは、治療終了後の定期健診は
確か、4ヵ月後だったような…。
先生は、私でもなく、さっちゃんでもなく、どこかをぼんやり眺めながら

「さとみちゃんはー、うーん…
 こっちの言ってることはちゃんと分かってくれているし
 麻酔も嫌がらないし、機械も嫌がらないし、落ち着いて治療を受けてくれるし
 先生は、大変治療がやりやすかったです」

普段、ほとんど無駄口を利かない歯医者さんは
まるで、卒業する生徒を送り出す、担任の先生のように語り出しました。
お仕事柄、色んなお子さんを治療してきたのでしょう。
手の掛かる子や、おもしろげな子も、大勢いたのでしょう。
さっちゃんは、「おもしろげな子」の仲間に入るのでしょうか。

「さみしいなー」

えっ?

「先生、なんだかさみしいなー」
先生は、まだ診察台の上にいるさっちゃんに、再び微笑み掛けました。
「ねー、さとみちゃん」
先生が言っていることが伝わっているのでしょうか。
さっちゃんは、ニコニコ笑っています。

「じゃあ、さとみちゃん、またね」
先生が、席を立ちました。
「さとみちゃん、先生と、最後のハイタッチをしよう」

えっ?

私の、不思議そうな顔に気付いたのか、先生はこう言いました。
「いつも、去り際にハイタッチしてくれるんですよ」
「えっ?知りませんでした」
「はい、お母さんの後ろで」
「そうだったんですか」

いつの間にそんなことを…。

「さとみちゃん、最後のハイタッチ」
先生が、右手挙げました。
でも、さっちゃんは照れているのか、ハイタッチをしようとしません。
「私が見ているから、照れているのかもしれません」
私は、2人に背中を向けて、荷物をまとめるふりをして
こっそり2人の様子を窺いました。
先生が、無言で右手を挙げると、さっちゃんも無言のまま右手を挙げて
2人は、静かにハイタッチをして、にっこりと微笑み合っていました。

オニの日曜日

2012-01-29 17:12:04 | インポート
今日は、さっちゃんはヘルパーのKちゃんと調理をする日でした。
でも、肝心のさっちゃんが見当たらないので

急遽、気のいい赤オニが代わりに調理をしてくれることになりました。
でも、赤オニは、1人(1匹?)では心細いということで
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青オニも参加することになりました。

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赤オニがお肉を切り

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赤オニが、じゃがいもの皮をむき

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赤オニが、人参を切り
(多分、玉葱を切ったのは、青オニ)

青オニが、じゅうじゅう炒めて
赤オニが、ぐつぐつ煮込み

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美味しいカレーライスが出来上がりました♪
(サラダは、私が作ったごぼうサラダです)

食事の後は、Kちゃんとカラオケに行く事になっていたので
私は、赤オニと青オニがカラオケで盛り上がることを期待していたのですが
(Kさんも、微かに期待していたらしいのですが)
上着を着るときに、赤オニと青オニが棚の上に…
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赤オニと、青オニは、お留守番をすることになってしまいました。
うーん、残念。

魔法の鏡

2012-01-28 23:57:01 | インポート
「いちばんやさしいの おかーさんです」
「いちばんかわいいの おかーさんです」
「いちばんたからもの だいすき おかーさんです」

「じゃあ、1番甘やかすのは誰ですか?」

「ぱぱ」

魔法の鏡は、相手が言って欲しい言葉を見逃さない。


「昔」と「何十年か後」の話

2012-01-27 13:00:40 | インポート
昨日は木曜日、さっちゃんとヘルパーさんの調理の日でした。
昨日の担当は、さっちゃんとの調理が今回で3度目の、Tさんです。
Tさんとは、1ヶ月に1度、会うか会わないかなのに
もう既に、さっちゃんの「おともだちリスト」に入っています。
入れてもらう方も、入れる方も、どっちもスゴい。
こういうお仕事って、センスは勿論ですが、相性も欠かせないんですね。

さて、昨日は、さっちゃんが気持ちに少々波があって
施設のお手洗いで、赤オニのお面をしたまま号泣してみたり
帰宅後、お手洗いのスリッパや、私の靴や眼鏡を唾まみれにしていて
流石に、目の前で私の眼鏡に唾のイタズラをしたときには
(本人は、私が後ろにいることに気付いていなかったようです)
「ふいてね」
と、本人に始末をするように声掛けをしたのですが
それが気に入らなかったのでしょうか。
さっちゃんは、その後大荒れに荒れ、自分のほっぺを引っ掻いたり
痕が残るほど腕を強く噛んだり、引っ掻いたり、強く抓ったりして
ほんの数分で、大乱闘をした後のようになってしまいました。
その後、さっちゃんがシャワー浴をしているときに、Tさんがやってきました。
Tさんに事情を説明し、さっちゃんがシャワーを出た後も
私は暫く自宅にいて、様子を見ることにしたのですが
さっちゃんを注意深くじろじろ眺めていては逆効果なので
Tさんと、世間話などをしていました。
丁度その時、たまたま着けっ放しにしていたテレビのニュースで
先日、某社の携帯電話が通信不能になったことを取り上げていて
そのために、お仕事に支障が人がインタビューに答えていました。
「この人が悪いわけじゃないのにね」
と、私が言うと
「そうですよね、でも今だったら、仕事にならない人が多いですよね」
と、Tさん。

そう、「今だったら」なのです。

Tさんは、私より6歳年下ですが、一応同世代です(無理矢理)
ですから、まだ携帯電話がなかった学生時代
友だちと遊ぶときは、イチかバチかの自宅訪問で
ドアチャイムを鳴らして「遊ぼう!」だったよね
で、相手がいないと残念!って感じだったよねとか
学生時代は、学校の下校時の流れで遊んだよねとか
大人になって、人と待ち合わせをする時は
何月何日の何時に、何処の何を目印にと、綿密に日時と場所を決めて
それでも、私みたいにとんちんかんでぼやっとしている人間は
駅の「東口」と「西口」を間違えるミスをして、相手に迷惑をかけてしまうとか
喫茶店での待ち合わせをしていて、自分が遅れそうになったときは
喫茶店の電話に連絡を入れて、相手を呼んでもらうとか
待つ側は、ただひたすら待つしかなかったよねとか
そう言えば、私たちが子供の頃は、コンビニなんて無かったし
スーパーやデパートも、お正月2日まではお休みだったから
年末の買い出しの量は、ハンパなかったよねとか
生理用品だって、量サイドにテープが付いたときや、夜用スーパーが出たときは
なんて画期的なんだ!!って感動したよねとか
そう言えば、最近のドラマも、携帯電話を使うのが当たり前になっていて
相手から電話やメールが来ないもどかしさっていうのを表現しているけど
昔は、現場に相手が現れないもどかしさが主で
雨や雪の中を、「きっと来る!」みたいに待ち続けていたよねとか
そんな話で、随分盛り上がってしまいました。
(さっちゃんの様子を心配していたんじゃなかったのか?)

そのうち、Tさんのお嬢さんが
「携帯電話が無かったなんて、有り得ない」
と、言っていた話が出てきたものだから
「何十年かしたら、『冷蔵庫なんて有り得ない』なんて時代がきたりして」
「ヘルパーロボットとかは有り得そうですよね」
「今は、入浴介助の機械がありますけど、利用者の方には不評ですよね」
「より人間ぽく、優しい女性のロボットにしたらどうでしょうね」
 (↑私の中では、綾瀬はるかや井川遥を妄想してました)

こんな話をすると、ネタや妄想は尽きません。
私がいつまでも話を引っ張ってしまったため、調理の開始時間が遅れ
Tさんには、すっかっりご迷惑をお掛けしてしまいました。
私の口が通信不能になったら、便利になるかもしれないなぁ。

ところで、昨日はとても寒かったので、調理のお献立は…
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白菜と豚バラのスタミナ鍋と、ほうれん草のピーナツバター和え
お鍋には、ニンニク2片と生姜のスライスが入っているのですが
レシピによると、ポイントはニンニクだそうです。
食べてみると、ニンニクはそんなにヘビーに個性を主張せず
でも、「おっ♪」という効果を発揮していて
身体がぽかぽかになる、美味しいお鍋でした。
しめにおうどんがあれば、なお良かったかも。