田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『張り込み』

2019-06-24 12:14:56 | 映画いろいろ
『張り込み』(87)(1991.6.29.)
 
 
 シアトル市警のクリス(リチャード・ドレイファス)とビル(エミリオ・エステベス)は、脱獄犯の元恋人マリア(マデリーン・ストウ)の家を、24時間態勢で監視することになる。
 
 “のぞき”を扱ったヒッチコックの『裏窓』(54)のパクリは、ブライアン・デ・パルマの『ボディ・ダブル』(84)が代表格だが、この映画やバート・レイノルズの『シャーキーズ・マシーン』(81)のように、刑事の張り込みに利用するという手もあった。ただ、本家『裏窓』の“偶然ののぞき”と、張り込みという“必然ののぞき”は違うので、そちらはほどほどにして、張り込み先の美女と刑事の恋という設定を加えて、見る側の興味を引かなければならない。その点、『シャーキーズ・マシーン』はレイチェル・ウォード、この映画はストウの魅力に負うところが大きい。
 
 監督のジョン・バダムは、このところ軽いタッチの快作を連発しているだけあって、この映画も肩の凝らないアクションコメディとして面白く仕上げている。どんな映画でも2割8分は打てるしたたかな職人監督になってきたようだ。
 
 もう一つ、この映画を面白くしているのはドレイファスの味のある演技である。もはや全盛期には戻れないにしても、一時のスランプを思えば、徐々に復活の兆しを見せ始めているのは喜ばしい。
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『姿三四郎』の蓮の花

2019-06-24 09:48:38 | 雄二旅日記

 

 家の近所にある水元公園の池に咲く蓮の花を見ていたら、黒澤明監督のデビュー作『姿三四郎』(43)で、師匠の矢野正五郎(大河内伝次郎)に反発し、池に飛び込んだ三四郎(藤田進)が、池に咲く蓮の花を見て悟りを開くシーンが思い出された。

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“呪われた”『西部の人』

2019-06-24 08:21:51 | 1950年代小型パンフレット
『西部の人』(58)
 
   
 
 過去の悪事を隠し、今は更生した男(ゲーリー・クーパー)が、図らずも、彼の過去を知る男(リー・J・コッブ)と再会してしまう、という因果を描いた西部劇。
 
 『怒りの河』(52)『裸の拍車』(53)『ララミーから来た男』(55)でジェームズ・スチュワートをいじめてみせたアンソニー・マン監督が、この映画では老いたクーパーを苦しめている感じがする。また共演のジュリー・ロンドンにストリップを強要するシーンもあり、マンのサディスティックな一面が垣間見える映画だと言ってもいい。製作はウォルター・ミリッシュ。脚本はレジナルド・ローズ。
 
 先日、妻が知人からジュリー・ロンドンのCDを譲られたことから、この映画が見てみたいと言い出した。家にはDVDがなかったので、ネットでTSUTAYAの在庫を調べてみたら、松戸店にあるというので、まず確認の電話をしてみたが出ない。仕方がないので直接店に行ってみると棚に該当の商品はなく、結局この店にはもう『西部の人』は存在しないことが分かった。
 
 仕方がないので他の店舗を調べてみたら、北千住と亀有にあるという。ところが行ってみるとどちらも松戸と同じ結果だった。まさに“呪われた”『西部の人』という感じで、こうした映画のレンタルDVDが置かれている状況を象徴しているとも思えたが、それはそれとして、自分のような少数派の客もいるのだから、これはきちんと「在庫なし」にしておくべき。TSUTAYAには、もう少し在庫管理をしっかりやってほしいと強く感じた。
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