田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

「午後のロードショー」『ラストスタンド』

2024-05-01 07:19:09 | ブラウン管の映画館

『ラストスタンド』(13)(2013.2.19.松竹試写室)

 元ロス市警精鋭部隊の隊長で、今はメキシコ国境の平和な田舎町の保安官となった男(アーノルド・シュワルツェネッガー)が、スーパーカーで国境突破を図る麻薬王を阻止するため、寄せ集めの助手たちと共に、最後の砦=ラストスタンドとなって奮闘する。

 国境の街で、少数が大人数の敵に挑むというのは、『リオ・ブラボー』(59)などの西部劇を思わせる。それもそのはず。監督はキムチウエスタンと言われた『グッド・バッド・ウィアード』(08)のキム・ジウンだ。

 シュワルツェネッガーが老けてイーストウッド風の面差しになり、肉体誇示の裸にもならない。超人的なヒーローから、弱みやリーダーシップを持った『リオ・ブラボー』のジョン・ウェインのような男へと変化したのが面白い。すぐに殺される頑固おやじ役で名脇役のハリー・ディーン・スタントンが出てきたのもうれしかった。


『ラストスタンド』来日記者会見
https://tvfan.kyodo.co.jp/news/32001

【映画コラム】トム・クルーズからシュワちゃんまで。来日会見アラカルト
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/32266

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「BSシネマ」『ビッグ・フィッシュ』

2024-05-01 07:11:16 | ブラウン管の映画館

『ビッグ・フィッシュ』(03)(2006.1.9.WOWOW)

 

 奇想天外な話で周囲を楽しませていた父エドワード(アルバート・フィニー)と、父の話は作り話だと思い疎遠になっていた息子のウィル(ビリー・クラダップ)。父の死期が迫っていると連絡を受けたウィルは、妻(マリオン・コティヤール)と共に久しぶりに故郷へ戻るが…。

 『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)のような、いかにもアメリカらしい寓話のようなホラ話の連続と、『フィールド・オブ・ドリームス』(89)のようなファンタジーにおける父子の和解、それからフェリーニ風のサーカスと、いろいろな要素が詰め込まれた作品。

 全体的にはティム・バートンにしてはストレート過ぎて抑え気味かとも思えるが、グロテスクな描写やサーカスの場面ではちゃんと彼の個性が発揮され、バランスのいい映画になっている。俳優陣も、エドワードの若き日と老年を演じたユアン・マクレガーとフィニイがそれぞれの良さを出していた。

 とは言え、やはり圧巻は夢(うそ)と現実(真実)が重なるラストシーン。ここはまるでフランク・キャプラの『素晴らしき哉、人生!』(46)を思わせる。ひょっとしたらバートンの映画の中でこれが一番好きかもしれない。


【インタビュー】『ダンボ』ティム・バートン監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/18754cbd4bb244f2cb6b7f0e7a1a7348


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