田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『バーニング・オーシャン』

2017-04-26 10:24:42 | 新作映画を見てみた

ちゃんとフロスもしなきゃダメだぞ

 2010年、メキシコ湾沖の石油掘削施設ディープ・ウォーター・ホライゾンで起きた原油流出による大爆発事故の様子を、SFXを駆使して描く。

 大筋は海洋パニック(デザスター)映画の趣だが、実話の映画化だけに、ドキュメンタリーを見ているような気分にさせられ、映画的興奮を削がれるところがある。

 主役の電気技師をマーク・ウォールバーグ、その妻をケート・ハドソン、施設主任をカート・ラッセル、管理職をジョン・マルコビッチが演じている。監督はピーター・バーグ。

 施設の安全確認を、歯磨きとフロスに例えて「後で痛い思いをしないように、念には念を入れろ」と話すラッセルのセリフが印象に残った。

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ボクシング映画あれこれ

2017-04-18 08:00:00 | 映画いろいろ

 マイルズ・テラーが元世界王者のビニー・バジェンサを演じた『ビニー/信じる男』を見ながら、改めて、ボクシング映画には傑作が多いと感じたのでちょっと列記してみる。



 まずは、父親役のウォーレス・ビアリーがアカデミー主演賞を受賞した父子ものの名作『チャンプ』(31)から。リメーク版(79)ではジョン・ボイトが父親役を演じたが、どちらも子役(ジャッキー・クーパー、リッキー・シュローダー)の方が目立っていた気もするが…。



 カーク・ダグラスがいけすかないボクサーを熱演した『チャンピオン』(49)、ロバート・ライアンが八百長を強いられるロートル・ボクサーを演じた『罠』(49)は、ともにボクシングを描いた古典的名作とされるが、奇しくも同年に公開されている。ダグラス、ライアンのどちらも見事にボクサーを演じたが、ボクシングの元祖を描いた『ストリート・ファイター』(75)のチャールズ・ブロンソンもまた素晴らしかった。

  

 そして白眉はシルベスター・スタローンの『ロッキー』(76)だろう。後にシリーズ化され、『クリード チャンプを継ぐ男』(15)まで続く。デ・ニーロ(レイジング・ブル)VSスタローン(ロッキー)の『リベンジ・マッチ』(13)は番外編か。他に、ジェイク・ギレンホール主演の近作『サウスポー』(15)などなど。

   

 実在のボクサーを描いたものでは、ポール・ニューマンがミドル級王者のロッキー・グラジアーノに扮した『傷だらけの栄光』(56)、ジェームス・R・ジョーンズが黒人初のヘビー級王者となったジャック・ジョンソンを演じた『ボクサー』(70)、ロバート・デ・ニーロがミドル級王者のジェイク・ラモッタを演じた『レイジング・ブル』(80)、デンゼル・ワシントンが冤罪で20年間刑務所で過ごしたミドル級王者ルービン・カーターを演じた『ザ・ハリケーン』(99)、ラッセル・クロウがヘビー級王者ジム・ブラドックを演じた『シンデレラマン』(05)、マーク・ウォールバーグがミッキー・ウォードを演じた『ザ・ファイター』(10)などなど。

     

 別格として、伝説となった元ヘビー級王者モハメド・アリは、本人出演の『アリ・ザ・グレーテスト』(77)と、ウィル・スミスがアリを演じた『ALI アリ』(01)がある。

 

 ほかにも、ハンフリー・ボガートがスポーツ記者を演じた『殴られる男』(56)、ロバート・モンゴメリー扮する主人公がボクサーの『幽霊紐育を歩く』(41)など。ちなみに、ウォーレン・ベイティのリメーク版『天国から来たチャンピオン』(77)では主人公はアメフトの選手に変わっていた。

 

 番外編として、女性ボクサーを描いたクリント・イーストウッド監督、ヒラリー・スワンク主演の『ミリオンダラー・ベイビー』(04)、メグ・ライアンがボクサーのマネージャーを演じた『ファイティング×ガール』(04)も。

 

 日本版も結構あるよな。

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【ほぼ週刊映画コラム】『ライオン 25年目のただいま』

2017-04-17 15:26:34 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

“いい話”も工夫がなければ“いい映画”にはならない
『ライオン 25年目のただいま』



詳細はこちら↓

https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1103633
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『グレート・ウォール』

2017-04-17 08:40:00 | 新作映画を見てみた

カルト映画の匂いがぷんぷんする伝奇ロマン



 黒色火薬を手に入れるため、万里の長城にたどり着いたウィリアム(マット・デイモン)とペロ(ペドロ・パスカル)。だが、長城では60年に一度現れる敵を迎え撃つ準備が進められていた。実は、万里の長城は饕餮(とうてつ)と呼ばれる怪物の襲来を防ぐために築かれたものだったのだ。

 チャン・イーモウがSFXを駆使して描く伝奇ロマン。カルト映画の匂いがぷんぷんするが、ここまでやればもはやなんでもありの感もある。オープニングの馬上アクションや饕餮との闘いにおける隊列の組み方などに、西部劇や黒澤明タッチが見られるところが面白い。

 『キングコング 髑髏島の巨神』ではあまり目立たなかったジン・ティエンリンが、ここでは美貌の女性司令官を熱演。うさんくさい軍師役のアンディ・ラウもなかなかいい。

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『ある決闘 セントヘレナの掟』『荒野の対決』

2017-04-09 12:33:42 | 映画いろいろ

ウエスタン・ユニオンの例会に出席



 今回はトークコーナーで6月10日公開の新作西部劇『ある決闘 セントヘレナの掟』の宣伝を。リアム・ヘムズワース扮するテキサス・レンジャーが、連続殺人事件の謎を解くために、国境沿いの村に潜入する、というこの映画は、公開中の『キングコング 髑髏島の巨神』同様、『地獄の黙示録』(79)の影響が非常に強い異色西部劇だ。

 ところで、ザ・シネマで日曜の朝に放映されている「シネマ・ウエスタン」のラインアップは貴重なものが多いそうだ。

 今日は「ララミー牧場」のジェス役で人気者となったロバート・フラー主演の『荒野の対決』(65)だった。原題は「Incident at Phantom Hill」。

 南北戦争末期、軍資金を輸送する北軍部隊が南軍崩れの強盗団に襲撃され、金塊が奪われた。戦後、北軍のマーティン大尉(フラー)は、捕虜にした強盗団のボス(ダン・デュリエ)に恩赦と引き換えに道案内をさせ、砂漠に隠された金塊を取り戻せという密命を受ける。数人の部下(クロード・エイキンズほか)を集めたマーティンは、インディアン地区の荒野に潜入するが…というもの。

 金塊探しの道中物の中に、町を追放された酒場女(ジョスリン・レーン)、インディアンの襲撃、無法者の攻撃など、西部劇の定石が織り交ぜられていたので、面白く見ることができた。主役のフラーよりもいかにも悪役然としたデュリエの方が目立ってしまうのはご愛嬌。そういえば、フラーとエイキンズは『続・荒野の七人』(66)でも共演していたなあ。

 この映画には、『ある決闘 セントヘレナの掟』同様、少しミステリーの要素が入っているのだが、両作の描き方の明暗の違いに隔世の感を抱かされた。

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【インタビュー】『ねこあつめの家』伊藤淳史

2017-04-03 18:37:10 | 仕事いろいろ
ゲームアプリ「ねこあつめ」を実写映画化した『ねこあつめの家』(4月8日公開)に主演した伊藤淳史にインタビュー。




https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1100844
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『光をくれた人』

2017-04-02 08:00:07 | 新作映画を見てみた
高倉健のようなマイケル・ファスベンダー




第一次大戦後、オーストラリアの孤島で暮らす灯台守の夫婦がいた。
たび重なる流産に見舞われた二人は、島に流れ着いたボート内に一組の父親と赤ん坊を発見する。
父親はすでに亡くなっており、夫婦は赤ん坊を自分の娘として育てることにする。
ところが数年後、二人の前に娘の実の母が現れて…。

マイケル・ファスベンダーがひたすら耐えて、一人で重荷を背負う夫のトムを静かに演じる。
まるで高倉健のようだ。

対照的に妻イザベル役のアリシア・ヴィキャンデルと生み母ハナ役のレイチェル・ワイズは激しく感情的に女の情念を表現する。

美しい風景と役者の演技力で見せる映画だが、よくもこんな話を考えたものだと思わされる。
この手のタイプの映画はちょっと苦手だ。
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【ほぼ週刊映画コラム】『ムーンライト』

2017-04-01 18:23:48 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

“私映画的“な色合いがとても強い
『ムーンライト』



詳細はこちら↓

https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1101054
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