田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『キネマの神様』映画化

2020-01-31 10:17:35 | ブックレビュー

 先日、原田マハの傑作小説『キネマの神様』を山田洋次監督が映画化するというニュースが流れた。

 けれども、原作の、大手企業を辞めた39歳独身の歩が、映画雑誌「映友」の編集部に採用され、ひょんなことから、映画狂の父のブログをスタートさせると、それが評判となって…という設定とはまるで違う話になるようだ。一体どうなるのだろう。

『キネマの神様』公式サイト
https://movies.shochiku.co.jp/kinema-kamisama/

『キネマの神様』(原田マハ)を再読
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8028269b0cf5e5baa9d099d34fda3589

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『スピード』

2020-01-31 06:48:52 | 映画いろいろ

『スピード』(94)(1994.12.5.渋東シネタワー)

 高速バスに、時速50マイル以下に減速すると爆発する爆弾が仕掛けられた。ロス市警のジャック(キアヌ・リーブス)は、走っているバスに飛び乗り、スピードを落とさずに乗客たちを救出しようとするが…。
 
 これまでポール・バーホーベン、ジョン・マクティアナン、リドリー・スコットたちの監督作で、撮影監督をしてきたヤン・デ・ボンの監督デビュー作。またまた異邦人のハリウッド参入である。

 この映画は、例えば、全体は『ダイ・ハード』(88)、バス内のドラマは『駅馬車』(39)、減速不可は『新幹線大爆破』(75)、そしてヒーローと犯人が善悪の裏返しであり、実は似て非なるものであるという構図は最近の『ザ・シークレット・サービス』(93)といった具合に、過去の様々な映画のエッセンスが取り入れられている。減速不可というアイデアとしては、幻に終わった黒澤明の『暴走機関車』が最も近いのかもしれない。

 そして、『ダイ・ハード』同様、無駄なバイオレンスや殺人の描写を極力見せずに、日常の中の異常を、タイトル通りの抜群のスピード感で押し切ったところがいい。これはドラマを巧みに転がしたグレアム・ヨストのシナリオのうまさに寄るところも大きいだろう。

 加えて、これまではなよなよとした二枚目役のイメージが強かったキアヌのヒーローとしてのイメージチェンジ、話が進むにつれて魅力が増してくるサンドラ・ブロックの存在感、ジェフ・ダニエルズの好助演、デニス・ホッパーのいかにもの犯人役といった、俳優たちの生かし方も見事だった。

 ただ、エレベーター、バスまではいいのだが、ラストの地下鉄までくると、しつこさを感じて少々もたれるところがあった。すでに「パート2」が準備されているようだから、そのあたりの絡みもあったのかもしれないが、作っている最中から“続き”を考えてはいかんよな、と安易なシリーズ化に一言苦言を。

 ところで、このデ・ボンによるアメリカ版の「ゴジラ」とは一体どんなものになるのだろう。この映画を見る限りでは、アクション面では期待できそうだが。

【今の一言】アクションヒーローとしてのキアヌは『マトリックス』(99)でさらに飛躍。逆に『スピード2』(97)はキアヌが降りたこともあって失敗作となった。また『GODZILLA』(98)はデ・ボンが降りてローランド・エメリッヒが引き継いだが、これも失敗作となった。こうして現在から過去を見ると、映画製作がいかに水物であるのかがよく分かる。

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「贋作 男はつらいよ」

2020-01-29 18:51:04 | 男はつらいよ

 桂雀々が落語会で扮した寅さんの風貌が似ていたことから山田洋次監督が着想し、設定を現代の大阪に置き換えて“贋作”として製作したもの。

 最初は違和感があったが、慣れてくると思いのほか楽しめた。前半は吉永小百合の歌子がマドンナだった『~柴又慕情』(72)を松下奈緒で、後半は太地喜和子のぼたんの『~寅次郎夕焼け小焼け』(76)を田畑智子でリメークしていた。

 東京・葛飾柴又の帝釈天参道は、東大阪市の石切神社参道に代わっている。ここは『~浪花の恋の寅次郎』(81)にも登場したが、帝釈天参道と雰囲気が似ていて驚いた。というよりも、日本中にある門前町は皆どこか似ているということか。

 演技は素人の雀々が随分頑張っていた。もちろん渥美清とは比べるべくもないが、あくまで贋作ということで。

 ほかにも、さくら(常盤貴子)、おっちゃん(綾田俊樹)、おばちゃん(松寺千恵美)、タコ社長(曾我廼家寛太郎)と、関西出身者や、関西で活躍する俳優を集めていたが、彼らが皆いい味を出していた。

 特に、本物の『男はつらいよ』シリーズで、関西弁のくるま屋の店員・三平役を演じてきた北山雅康が博役で登場してきたのが楽しかった。

 また、山本直純の音楽をそのまま使っていたので、改めて絶妙ないい音楽だったと気づかされた。

 

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『タワーリング・インフェルノ』から『スター・ウォーズ』へ

2020-01-29 11:05:09 | 映画いろいろ

 NHKの「逆転人生」で「スター・ウォーズのCGを手がけた脱サラ証券マン」をやっていた。

 主人公は、現在、ジョージ・ルーカス主宰のインダストリアル・ライト&マジック(ILM)でシニア・ハードサーフェス・モデラーとして働く成田昌隆氏。氏は45歳まで証券マンとして働いたが、夢捨て難く、妻と幼い子供を抱えて脱サラし、苦難の末に、ハリウッドのCGアーティストとなった。

 氏は少年時代に『タワーリング・インフェルノ』(74)に感動して、ショットリストを作ったというから、ほぼ同世代。「好きこそ物の上手なれ」「芸は身を助く」の典型だが、ある意味、映画好きは、自分も含めて厄介な輩が多い。

 東大寺の金剛力士像のCGや宇宙船の模型の細かさには思わず目を見張った。創造物には魂が入っていなければ駄目なのだ。

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【ほぼ週刊映画コラム】『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

2020-01-29 10:09:24 | ほぼ週刊映画コラム

エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
『~/最後のジェダイ』ライアン・ジョンソン監督最新作 脚本が見事な
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1212702

 

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『ニューヨーク東8番街の奇跡』

2020-01-28 10:41:05 | 映画いろいろ

『ニューヨーク東8番街の奇跡』(87)(1987.12.28.日本劇場) テレビで久しぶりに再見した。

 再開発の波が押し寄せるニューヨーク。古いアパートの住人のフランク(ヒューム・クローニン)たちは、立ち退き問題に悩まされていた。ところがある日、UFOのような生命体が現れ、アパートの屋上で暮らし始める。 原題の「Batteries not Included」は「バッテリー(電池)は含まれません」という電気製品の注意書きをもじったものらしい。

 今年のラストショーはまたしても“スピルバーグ印”の映画(監督はマシュー・ロビンス)になった。それにしても、最近のアンブリンの多作ぶりには驚くばかりだ。そして、それぞれの映画の奥には、スピルバーグが大好きなディズニーやロッド・サーリングの影響が伺えるのだが、今回はもろにフランク・キャプラのタッチだった。

 もともとスピルバーグの映画は、心温まるキャプラ魂を、SFXを使って現代によみがえらせたと言えなくもないのだが、この映画などはその最たるものだろう。

 最近、日本でも深刻化している地上げ屋の横行が、ニューヨークでも起きていることには少々驚いたが、地上げ屋という目新しい存在を、かつての街のボスや悪徳政治家に置き換えれば、それに対抗する善良な人々と、奇跡が起きるハッピーエンドは、もろにキャプラのタッチである。まあ、そこに宇宙人を介入させるところが現代風であり、スピルバーグ印映画の真骨頂だとも言えるだろう。

 さて、この映画をピリッとしめるのは、ジェシカ・タンディ、ヒューム・クローニンという老名優夫婦の圧倒的な存在感であり、ロビンス監督が『コクーン』(85)の二番煎じにしなかったところが、また見事だった。

【今の一言】なかなかいい味を出していたマシュー・ロビンスだが、残念ながらこの後はあまり活躍しなかった。スピルバーグは『レディ・プレイヤー1』のインタビューで「80年代はイノセントで楽観的な時代だった」と語っていたが、今改めて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズやこの映画を見ると、なるほどと思う。

【コラム】「1980年代が再びブームに スピルバーグの映画から」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/85e114aac84e6082e0b867b9fbf80cd5

【インタビュー】『レディ・プレイヤー1』スティーブン・スピルバーグ監督

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0252d427482eb27bb9e501c5b7b8acce

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『ギターを持った渡り鳥』

2020-01-28 07:04:15 | 映画いろいろ

『ギターを持った渡り鳥』(59)(1980.12.23.)

 函館を舞台にした、小林旭主演の大ヒットシリーズの第1作。

 心が疲れている時には、こんな昔の、でたらめでセンチメンタルな映画が大いに慰めになったりもするのだ。最近、このシリーズや、加山雄三主演の「若大将」シリーズがリバイバルブームになったのは、そんな効用があるからなのかもしれないと思った。

 旭が「赤い夕陽が~」と歌うウエスタン調のテーマ曲もいいが、主人公・滝伸次が吐く、こんなキザないいセリフもあった。「思い出すというのは忘れているからさ。俺は忘れてはいないから、思い出すということもない」

【今の一言】心が疲れている時、などと書いているのは、確かこの前日に彼女と別れたからだ。この映画で、ジョージというやくざを印象的に演じていたのが、先頃亡くなった宍戸錠だった。

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『イーディ、83歳はじめての山登り』

2020-01-27 12:48:43 | 新作映画を見てみた

『イーディ、83歳はじめての山登り』(17)(柏キネマ旬報シアター)

 イギリスに住む83歳の主婦イーディ(シーラ・ハンコック)が、昔、父と登るはずだったスコットランドのスイルベン山への登頂を目指す姿を描く。

 山好きの妻に誘われて見た。そして、こちらの勝手な思い込みだが、登山を通して、老人の夢の実現と頑張りを描いた感動作を予想していたら、これが大間違いだった。

 主人公のイーディは、ひたすら亡くなった夫を恨み、自分は被害者だったと一方的に主張するわがままで頑固な老人。しかも、自分の夢のために周囲に迷惑をかけながら、他人の親切や助言には耳を貸そうとはしない。それに加えて、まだ女としての生々しさも感じさせる、という何とも厄介なキャラクター。彼女を見ていると、腹が立つやら、気分は悪くなるわで本当に困った。

 もっと彼女の人間的な魅力や心の変化を見せろ、とまでは言わないが、もう少しキャラクターの設定や描き方を考えるべきではなかったのかと思う。例えば『ドライビング Miss デイジー』(89)のように。

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『スタンド・バイ・ミー』

2020-01-27 10:00:03 | 映画いろいろ

『スタンド・バイ・ミー』(86)(1987.4.29.丸の内ピカデリー2)

 

 珍しく、スティーブン・キングの原作を先に読んでしまっていた。そして、これまでの彼とは一味違った世界に驚くとともに、意外にも感動させられもした。それ故、見る前は、原作のイメージを壊さないでほしいという願いと、原作の良さを映像で表現してほしいという思いが相半ばして、複雑な心境だった。

 映画を見終わった今は、そんな思いはどこかに吹っ飛んでしまっている。ほとんど完璧に原作の良さを生かし切っていたし、主役の四人の少年たち(ウィル・ウィートン、リバー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル)が全く違和感を抱かせないばかりか、彼ら以外のイメージが浮かんでこなくなるほど、登場人物に成り切っていたからだ。その点では、原作を超えていたとも言えるだろう。

 彼らの存在がなければ、この映画や原作の持つ、過ぎ去った少年時代への郷愁というテーマを表現することはできなかっただろうし、12歳にしてすでに心に傷を持った少年たちの姿が、単に暗いものとして映ってしまったかもしれないからだ。

 そして、少年期だけが持つ二度と戻らない“夏の日”を描いたこの映画を見ていると、現代は、描かれた1950年代後半以上に、複雑な社会であるだけに、せめて少年時代への郷愁が持つ甘さ、切なさ、苦さなどは、時代が変わっても不変であってほしいと願う、自分を含めた大人たちが、この映画のヒットを陰で支えているのかもしれないと思った。

 ベン・E・キングが歌うテーマ曲「スタント・バイ・ミー」が心にしみる。この曲を初めて知ったのはジョン・レノンが歌ったのを聴いた時だった。ジョージ・ルーカスの『アメリカン・グラフィティ』(73)もそうだが、この手のアメリカン・ノスタルジー映画には、ちゃんとそれに合った音楽が用意でき、映画のテーマをさらに強める効果があるのは、うらやましい限りだ。

 

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『映画の森』「2020年 年末年始の映画から」

2020-01-26 08:45:51 | 映画の森

 共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)1月27日号で、『映画の森』と題したコラムページに「年末年始の映画から」として4本を紹介。独断と偏見による五つ星満点で評価した。

ルーカスの息子世代による完結編
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』☆☆☆☆
過去のシリーズを見るきっかけに
『男はつらいよ お帰り 寅さん』☆☆☆
男たちによる骨太なドラマ
『フォードvsフェラーリ』☆☆☆
イーストウッドの熟練技
『リチャード・ジュエル』☆☆☆☆

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