田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『原子力潜水艦浮上せず』ミリッシュ・カンパニー

2019-06-07 12:44:33 | 映画いろいろ
『原子力潜水艦浮上せず』(78)(1986.1.1.)



 貨物船と衝突した米海軍の原子力潜水艦ネプチューンが水深1400フィートの深海に沈没する。艦内に閉じ込められた乗組員を救うため命を賭ける男たちの姿を描いた海洋スペクタクル。製作ウォルター・ミリッシュ、監督デビッド・グリーン。

 同じくチャールトン・ヘストンが1970年代前半に主演したパニック映画『大地震』(74)『エアポート75』(74)と、その4年後に作られたこの映画を見比べると、ヒーロー像に対する微妙な変化が感じられる。もはやこの映画では、ヘストンが演じてきたような正統派のスーパーヒーローは姿を消し、悩み多き主人公の代わりに、デビッド・キャラダイン演じるアウトローが自らの死を持って事を解決させるのだ。

 こうして“ヘストン型”の正攻法のヒーローは姿を消していくのだが、この映画には、『ドク・ホリディ』(71)などのニューシネマでさえないヒーローを演じたステーシー・キーチや、『スーパーマン』(78)で一時スーパーヒーローを復活させたクリストファー・リーブの姿も見られる。それもあり、ヒーロー像の変遷を考える上で、ちょっと面白い映画だということもできるのだ。



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『X-MEN2』

2019-06-07 10:38:20 | 映画いろいろ
『X-MEN2』(03)(2006.9.11.日曜洋画劇場)



 日曜洋画劇場で『X-MEN2』を見る。キャラクターの説明や設定などは前作で描かれていたためか、今回はいきなりナイトクロウラーなる新キャラクターの大統領襲撃で始まり、報復の学校襲撃に至る前半はなかなか快調なテンポ。ところがいくつものエピソードが重複する後半になると整理不足の消化不良を起こして失速し、残念ながら冗漫な印象を受けた。おまけに“続き”を意識したのかウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)の秘密やラストの処理も中途半端。後は公開中の『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(06)を見なさいということか。ブライアン・シンガーが『~ファイナル ディシジョン』を蹴ってまで監督した『スーパーマン リターンズ』(06)ともどもちょっと気になる。
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『X-MEN: ダーク・フェニックス』

2019-06-07 08:37:38 | 新作映画を見てみた


 アポカリプスとの闘いから10年。ミュータントの一人ジーン・グレイ(ソフィー・ターナー)は、宇宙での事故によって、自身の中のダークサイドの力が増幅し、制御不能に陥る。仲間たちは何とか彼女を救おうとするが…。

 若き日のプロフェッサーX(ジェームズ・マカボイ)やマグニートー(マイケル・ファスベンダー)を中心に、X-MENの結成前を描くところから始まったシリーズの4作目で、今回が最終章となるらしい。監督はシリーズのプロデューサーを務めてきたサイモン・キンバーグ。音楽は新たにハンス・ジマーが担当している。

 「X-MEN」は、マーベル映画の嚆矢として、ミュータントたちの超能力をVFXを駆使して見せる、2000年から始まった長期シリーズ。とは言え、途中から登場人物が若返ったり、スピンオフ作品もあるので、よほどのファンでなければ、全体的なストーリーのつながりや登場人物の相関関係などはもはやよく分からないのではあるまいか。また、最終章としては、オールスターによる総括的な映画になった『アベンジャーズ エンド・ゲーム』に比べると、地味な印象を受けるのは否めない。

(蛇足)冒頭、カーラジオから流れる曲がジーンのトラウマとなる事件の引き金となるのだが、それはグレン・キャンベルの「恋はフェニックス=By The Time I Get To Phoenix」。この曲の“フェニックス”は地名だが、この場合は、映画のタイトルと掛けて使ったのだろう。

『X-MEN アポカリプス』(16)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8e59fdd9c20ea241016deda2c124d7f7
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