『拝啓天皇陛下様』(63)での渥美清と左幸子の共演の思い出から思い出したドラマがあった。渥美が毎回違う役を演じた1話完結のドラマシリーズ「泣いてたまるか」(67~68)である。「空が泣いたら雨になる~」と渥美が歌う主題歌(作詞:良池まもる、作曲:木下忠司)も懐かしい。
木下忠司
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a99c1910fdaabe5c7083e90d30a02698
調べてみると、2人が共演した回は何本かあったが、見たことがあったのは、第67回の「雪の降る街に」(監督・井上博、脚本・灘千造)だった。
刑事の時実一平(渥美)とその妻(左)は、生活に行き詰った犯罪者の妻たちの赤ん坊を引き取り、実子として育ててきた。子どもたち(渡辺篤史、菊容子ほか)は無事に成長したが、一平は死亡した強盗犯の妻(夏圭子)のおなかの中の子どものことが気になって仕方がない。という結構ハードな設定で、いろいろと問題提起をしながらも、最後は“クリスマスの奇跡話”で終わる心地よさがあった。ここでも左の笑顔に救われる思いがした。
とても良かったので、何本か見直してみた。
第28回「ある結婚」(監督・今井正、脚本・光畑碩郎)
母親(浦辺粂子)と二人暮らしの靴職人の矢島真吉(渥美)は、見合いをしても振られてばかり。ある日、友人(小沢昭一)の結婚式で孤独な独身OL(久我美子)と知り合う。2人は互いに引かれ合うが…。という、アーネスト・ボーグナインが主演した『マーティ』(55)を思い起こさせるような内容。
第76回「おゝ怪獣日本一」(監督・佐伯孚治、脚本・稲垣俊)。
日本一の怪獣役者の田中豊作(渥美)は、妻に先立たれ、男で一つで娘(田中美恵子)を育ててきた。だが、娘が初潮を迎え、担任教師(片山真由美)の助言もあり、母親の必要性を感じた豊作は、行きつけの小料理屋の女将(河内桃子)との再婚を考えるが…。このシリーズは、毎回違う役をやる渥美の芸達者ぶりが堪能できるが、それに加えて、渥美の相手役を務める女優たちが素晴らしい。蛇足だが、豊作は「ウルトラマン」のキーラの着ぐるみに入っている。
第61回「日本で一番もてない男」(監督・高橋繁男、脚本・橋田壽賀子)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/fd48040596c8f8369e87aacd6bab7ccf
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a45a8b38878602d6858fab48483df918
「泣いてたまるか」は、坂上二郎主演で映画化(71)され、ドラマシリーズとしては西田敏行主演でリブート(86~87)された。