田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

知恵泉「早川雪洲」(NHK)

2024-04-18 12:20:38 | テレビ

 20世紀初頭、映画の都・ハリウッドで頂点へ上り詰めた日本人俳優・早川雪洲。千葉の漁村に生まれた男がなぜ米国へ? きっかけは大きな挫折と運命的な事件。当時、日本人への差別意識が高まる中、なぜ雪洲は2年足らずでトップスターになれたのか? そこには自分の価値を高める巧みな戦略があった。雪洲が成功を手にするまでの前半生の知恵に迫る。

 実は、雪洲の故郷である千葉県朝夷郡千田村(現・南房総市千倉町千田)は、亡母が生まれ育った白間津の隣村。それ故、雪洲にまつわる伝説の幾つかは、母から聞いていたので親しみがあった。

 後年、雪洲のことを調べた際には、『聖林の王 早川雪洲』(野上英之)と『早川雪洲-房総が生んだ国際俳優』(大場俊雄)がとてもためになった。一時、大島渚監督が坂本龍一を雪洲役にして伝記映画を撮る企画があったが、残念ながら流れている。



『戦場にかける橋』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5484fc1869b984aefe90773abcb55129

『底抜け慰問屋行ったり来たり』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/430dd7c84afcfa4a45871fbd31629e46

 

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「戦後史実録シリーズ 空白の900分-国鉄総裁怪死事件-」

2024-03-24 01:02:31 | テレビ

「戦後史実録シリーズ 空白の900分-国鉄総裁怪死事件-」(1980.10.11~18.NHK土曜ドラマ)

 戦後史の謎の一つとされる下山事件を、複数の視点から前後編で描いた異色作。脚本は岩間芳樹。

 初代国鉄総裁となったものの、GHQから国鉄職員10万人の首切りを迫られた下山定則(小林桂樹)の苦悩、謎の死、捜査陣(佐野浅夫ほか)や新聞記者(寺田農、三上真一郎ら)による推理、下山をひいた機関士(伊東四朗)や娘(竹田かほり)の悲劇などを巧みに描き込み、演技陣の好演もあって、骨太のドラマとして仕上がっている。

 戦後の混乱期に起きた謎の事件を、なぜ今またドラマ化したのかは分からないが、いずれにせよミステリーとしても、人間ドラマとしても見応えのあるものになっていた。

【今の一言】同時期に『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』(81)という映画も製作された。

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「音で怪獣を描いた男 ゴジラVS伊福部昭」

2024-03-12 10:26:57 | テレビ

 “原爆の父”を描いた『オッペンハイマー』と、原水爆実験が生んだ『ゴジラ』が同じ土俵に立ち、ともに賞を受けたことに感慨を覚える。

 「祝『ゴジラ-1.0』アカデミー特殊効果賞受賞」というわけでもないが、「音で怪獣を描いた男 ゴジラVS伊福部昭」という、2014年にNHKが製作した番組を見た。『ゴジラ-1.0』でも伊福部の音楽が流れた。

 伊福部は、いわずもがなの、第一作の『ゴジラ』(54)から、数々のゴジラ映画で音楽を担当した作曲家。番組では、なぜ伊福部の音楽は愛され続けるのか?をテーマに、佐野史郎をナビゲーターとして、60年生き続けるゴジラ音楽がいかにして生まれたのか、その誕生秘話から完成までのプロセスを担当者の証言と再現ドラマを交えて振り返っていた。

 アイヌ文化や神楽の影響、ゴジラの鳴き声はコントラバスなど、知っている事柄もあったが、伊福部のゴジラへの思いなど、新たに知らされたこともあり、興味深く見た。

「クラシック音楽館」伊福部昭
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a663a36b4f1fd16b550904e653c65fa4


 ところで、『ゴジラ-1.0』はVFXが主でゴジラは着ぐるみではないが、その動きなどは着ぐるみ時代のものを踏襲しているようにも見える。そこがアメリカ版とは違うところ。特撮技術も含めて、過去の積み重ねの先に『ゴジラ-1.0』があるのだ。

 だから、今回の受賞を見ながら、こういう人たちの功績も忘れてはならないと思った。ゴジラのスーツアクター、中島春雄、薩摩剣八郎、喜多川務。History's Greatest Monsters - Three Generations of Godzilla Actors
https://www.youtube.com/watch?v=I4l44bG0IAw

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「英雄たちの選択」キネマの夢を追いかけて~日本映画の父 牧野省三~

2024-03-11 09:18:49 | テレビ

 日本で映画作りが始まったのは明治14年。京都で歌舞伎の劇場を運営していた牧野省三は、横田商会の横田永之助から映画製作を依頼され、日本最初の映画監督となる。

 チャンバラの撮影を始めたが失敗の連続。試行錯誤の末、時代劇映画を大衆の娯楽へと成長させた。そんな中、映像に音声が付いたトーキーが登場。無声映画を支えてきた俳優や活動弁士、楽士たちは仕事が奪われると猛反対。牧野に映画の未来がかかる「選択」が迫られた、というなかなか興味深い内容だった。

 「日本映画の父」とも呼ばれる牧野が唱えた映画作りの基本「1.スジ(シナリオ)、2.ヌケ(撮影技術)、3.ドウサ(演技)」は今でも通じる言葉。

 彼の監督作はほとんど残っていないので見たことはないが、彼が製作総指揮をした『雄呂血』(25・主演・阪東妻三郎、監督・二川文太郎、脚本・寿々喜多呂九平)を中学生の頃テレビ(1975.7.6.NTV)で見て衝撃を受けた記憶がある。弁士は松田春翠だった。

 『雄呂血』は、善意の行動が誤解を受けて藩を追われた若侍・久利富平三郎(阪妻)が、やがて無頼漢と呼ばれ、悲劇の道をたどる物語。最後に追い詰められた平三郎が捕り方を相手に大立ち回りを演じるシーンがすごい。最近、4Kデジタル修復が実現し、上映時間が従来の75分から101分に伸びたという。

 そして、この番組にコメンテーターとして出演していた周防正行監督の『カツベン!』(19)では、山本耕史が牧野省三を演じていた。また、同じくコメンテーターだったスウェーデン出身の日本映画研究者だというヨハン・ノルドストロムという人にも興味を持った。


【インタビュー】『カツベン!』周防正行監督、成田凌
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3e05619830e2646254dc35f638aab180

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「ブギウギ」笠置シヅ子とエノケン

2024-01-15 09:01:59 | テレビ

 朝ドラの「ブギウギ」に、生瀬勝久演じる喜劇王の“タナケン”こと棚橋健二が登場した。タナケンは言わずもがなのエノケン(榎本健一)がモデル。生瀬とエノケンはちょっとイメージが違う気がするが、今後どんなふうにスズ子(趣里)と絡むのだろう。実際の笠置シヅ子とエノケンは数多くの舞台や映画で共演している。

「ラッパと娘」『舞台は廻る』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/77f0efbdac231901f36f91122f6f3b9d

「ブギウギ」笠置シヅ子の出演映画
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d03f3d1b24e3c1847ba6cda1a2ec786e

『エノケンのびっくりしゃっくり時代』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/107b9b5bbea3eff685701d2e8393980b

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渥美清の「泣いてたまるか」

2024-01-10 09:26:15 | テレビ

 『拝啓天皇陛下様』(63)での渥美清と左幸子の共演の思い出から思い出したドラマがあった。渥美が毎回違う役を演じた1話完結のドラマシリーズ「泣いてたまるか」(67~68)である。「空が泣いたら雨になる~」と渥美が歌う主題歌(作詞:良池まもる、作曲:木下忠司)も懐かしい。

木下忠司
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a99c1910fdaabe5c7083e90d30a02698


 調べてみると、2人が共演した回は何本かあったが、見たことがあったのは、第67回の「雪の降る街に」(監督・井上博、脚本・灘千造)だった。

 刑事の時実一平(渥美)とその妻(左)は、生活に行き詰った犯罪者の妻たちの赤ん坊を引き取り、実子として育ててきた。子どもたち(渡辺篤史、菊容子ほか)は無事に成長したが、一平は死亡した強盗犯の妻(夏圭子)のおなかの中の子どものことが気になって仕方がない。という結構ハードな設定で、いろいろと問題提起をしながらも、最後は“クリスマスの奇跡話”で終わる心地よさがあった。ここでも左の笑顔に救われる思いがした。


 とても良かったので、何本か見直してみた。 

 第28回「ある結婚」(監督・今井正、脚本・光畑碩郎)

  母親(浦辺粂子)と二人暮らしの靴職人の矢島真吉(渥美)は、見合いをしても振られてばかり。ある日、友人(小沢昭一)の結婚式で孤独な独身OL(久我美子)と知り合う。2人は互いに引かれ合うが…。という、アーネスト・ボーグナインが主演した『マーティ』(55)を思い起こさせるような内容。


 第76回「おゝ怪獣日本一」(監督・佐伯孚治、脚本・稲垣俊)。

 日本一の怪獣役者の田中豊作(渥美)は、妻に先立たれ、男で一つで娘(田中美恵子)を育ててきた。だが、娘が初潮を迎え、担任教師(片山真由美)の助言もあり、母親の必要性を感じた豊作は、行きつけの小料理屋の女将(河内桃子)との再婚を考えるが…。このシリーズは、毎回違う役をやる渥美の芸達者ぶりが堪能できるが、それに加えて、渥美の相手役を務める女優たちが素晴らしい。蛇足だが、豊作は「ウルトラマン」のキーラの着ぐるみに入っている。


 第61回「日本で一番もてない男」(監督・高橋繁男、脚本・橋田壽賀子)



https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/fd48040596c8f8369e87aacd6bab7ccf
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a45a8b38878602d6858fab48483df918


 「泣いてたまるか」は、坂上二郎主演で映画化(71)され、ドラマシリーズとしては西田敏行主演でリブート(86~87)された。

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映像の世紀バタフライエフェクト「ハリウッド 夢と狂気の映画の都」

2024-01-03 00:10:21 | テレビ

 20世紀初頭、発明王トーマス・エジソンに、高額な特許料を求められた映画人たちは、自由に映画を作れる場所を求めて西海岸ハリウッドにたどり着く。

 小さな田舎町は第一次世界大戦を経て世界最大の「映画の都」となり、30年代には黄金期を迎える。だが、その輝きに魅せられ集まった若者たちを待っていたのは、彼らの夢を飲み込み肥え太るモンスターだった。夢と狂気が渦巻くハリウッド百年の物語。

 去年公開された『バビロン』と重なるところもあったが、ジュディ・ガーランドをハリウッドの象徴として描いたのは、一体誰の趣向だったのだろうか。俳優出身のロナルド・レーガン元大統領と彼の命を救ったシークレットサービスとのやり取りが面白かった。


「映画の都!ハリウッド」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a14c93968617792f98a1031449e84d1f

『バビロン』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9e7b260161f2ad2289f0fdedd702631d

『ジュディ 虹の彼方に』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/638e0e1db1dde3744eff182626062033

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【インタビュー】「ポケモンコンシェルジュ」のん

2023-12-31 19:10:26 | テレビ

 株式会社ポケモンとNetflixによる初の完全新作プロジェクト、Netflixシリーズ「ポケモンコンシェルジュ」が12月28日から配信中。

 本作は、ポケモンがお客さまとして訪れる南の島“ポケモンリゾート”を舞台に、新米コンシェルジュのハルがポケモンたちのお世話に奔走しながら、本当の自分らしさに気付いていく様子を描くストップモーション・アニメーション。ハルの声を担当したのんにポケモンに対する思いや、作品について聞いた。

「本当に現実世界にもこんな場所があったらいいなと思うような、幸せが詰まった作品」
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1417587

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『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』

2023-12-24 13:01:46 | テレビ

『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(NHK)

 仕事と結婚に失敗した荒井尚人(草彅剛)は、生活のために“手話”という唯一の技能を生かして手話通訳士となる。彼は耳が聞こえない両親をもつコーダ(Children of Deaf Adults)だったのだ。

 やがて仕事にも慣れ、新たな生活を送り始めた尚人のもとに届いた依頼は法廷でのろう者の通訳。この仕事をきっかけに、尚人は、自身が関わった17年前のある事件と対峙することに。そして、現在と過去、二つの事件の謎が複雑に絡み始める。

 ろう者の生活を描き込んだ社会派ミステリーで、原作は丸山正樹。デフ・ヴォイスとは「ろう者の声」を表す。なかなかない形のドラマなので興味深く見た。草彅が好演を見せる。

 『Coda コーダ あいのうた』(21)『エール!』(14)、そして全員がろう者の共同監督と出演者で製作された“無音の音楽映画”『LISTEN リッスン』(16)について、監督にインタビューしたことを思い出した。


『Coda コーダ あいのうた』『エール!』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/19e20cddc0d06a98c490d5663c7cf333

【インタビュー】『LISTEN リッスン』牧原依里 & 雫境監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/45c17234fe6009b4a65070438b5b62df

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島崎俊郎のアダモちゃん

2023-12-08 09:35:17 | テレビ

 亡くなった島崎俊郎といえば、何といっても「オレたちひょうきん族」で扮したアダモステ(アダモちゃん)が最高。南洋の原住民風のキャラで、コントなどの最中に突然現れて意味不明の言葉を発する。多分ほとんどがアドリブで、たけしやさんまが本気で吹いていたのを懐かしく思い出す。今は放送コードに引っかかるのかな。

 アダモちゃんが突然現れる「タケちゃんマン」のコーナーでは、当時の公開映画をパロディにしたミニドラマがよくあった。

覚えているのは
「戦場のメリーさんの羊」(『戦場のメリークリスマス』83
「フレッシュダンス」(『フラッシュダンス』83
「イルマの竪琴」(『ビルマの竪琴』85
「おいで夜っ叉」(『夜叉』85
「バック・トゥ・ザ・富由知家」(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』85
「コーラスカイライン」(『コーラスライン』85
「遊駿」(『優駿』88)…。

 島崎がリーダーだったヒップアップ(島崎、川上泰生、小林進)のギターを絡めたネタのエンディングの「♪それでは、お別れしましょ。あなたと、サヨナラしましょ。ご機嫌、うるわしゅう~♪』(二葉あき子の『さよならルンバ』の替え歌らしい)も好きだった。これが宝塚の「すみれの花咲く頃」のパターンもあった。

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