田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『スパイ・ゲーム』

2020-06-30 09:31:50 | 映画いろいろ

『スパイ・ゲーム』(01)

 伝説のCIA諜報員ミュアー(ロバート・レッドフォード)が引退する日に、部下だったビショップ(ブラッド・ピット)が、中国で逮捕されたとの情報が入る。ミュアーは上層部の判断に逆らい、独自のルートを駆使してビショップ救出に乗り出すが…。

 ブラピが売り出してきた頃、若い頃のレッドフォードに似ていると思っていたら、レッドフォードが監督作の『リバー・ランズ・スルー・イット』(92)で、自身の分身とも思える役にブラピを起用した。「そうか、レッドフォードもそう思っていたのか」と、我が意を得た思いがしたのを覚えている。

 それから約10年を経て、ついにこの映画で2人が共演したわけだが、トニー・スコットの他の映画同様、“いまいち”になってしまったのは否めない。今となっては、親子役の2人も見てみたかった気がする。

『リバー・ランズ・スルー・イット』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e560db62b20c3883af1781b742f07d8f

 

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『ダンス・ウィズ・ウルブズ』

2020-06-29 07:05:07 | 映画いろいろ
『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)(1991.6.28.日本劇場)
 
 
 
 物事を逆の立場から見直してみると、こうまで違った感慨が浮かぶのかということ。つまり、巷間語られている歴史の中にこそ、実は大きな落とし穴があることを、この映画は教えてくれる。
 
 西部劇というアメリカの時代劇において、『折れた矢』(50)などの例外を除けば、白人開拓者にとってのインディアンは残忍な敵役で、邪魔者として描かれることがほとんどだった。だが裏を返せば、それは白人から見た一方的な言い分であり、先住民族のインディアンから見れば、白人こそが侵略者にほかならない。その事実を、この映画ほど切実に描いたものはかつてなかったのではないか。
 
 その最たる例は、物語の後半で、軍隊に捕らわれの身となった主人公のダンバーを、インディアンたちが救出に来るシーンで示される。ここに至るまでに、誇りあるインディアンたちに同化していくダンバーの姿をずっと見せられている観客にしてみれば、彼を苦しめ、己の利益しか考えず、インディアンたちに理解を示すこともない軍人たちが悪役になり、インディアンたちがヒーローのように映るのだ。
 
 つまり、インディアンに襲われた白人を間一髪で救出に来る騎兵隊、という通常の西部劇とは逆のパターンに感動させられているのである。だから、このシーンを見ながら、ケビン・コスナーは何と勇気ある、とんでもない映画を撮ってしまったのか、という驚きを感じた。
 
 そして、この映画は、ヒステリックな『ソルジャー・ブルー』(70)とは違う形で、アメリカの西部開拓史の恥部を明かすとともに、もはや昔ながらの西部劇が作れない状況を生んでしまったとも言えるだろう。なぜなら、もはやわれわれは、駆けつける騎兵隊のラッパの音を聞いても、素直に喜べなくなってしまったのだから…。
 
 ただ、この映画のすごさは、そうした西部劇的な側面だけでは片づけられない奥深さを持っているところ。ここには自然、動物たち、人間同士の心のふれあい、あるいは無垢の精神といったものが、見事なロケーションとカメラワークで描かれており、西部劇という枠を超越している。
 
 実質的なデビュー作である『ファンダンゴ』(85)以来、注目してきたケビン・コスナーではあるが、まさかここまですごいことをやってのけるとは思ってもみなかった。これはうれしい驚きであった。加えて、この映画のコスナーは、ちょっとスティーブ・マックィーンに似ている気がした。 
 
【今の一言】そのコスナーが、この後、見事に転落していくのだから人生は分からない。最近の『荒野の誓い』などもこの映画の影響下にあると思う。
 
All About おすすめ映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5c696c1e1aec42ebaf9604d9c044112e
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【インタビュー】『一度も撃ってません』阪本順治監督

2020-06-29 06:05:22 | インタビュー

「こういう時代だからこそ石橋蓮司を見てほしい」
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1229490

『一度も撃ってません』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3a44a8c17e2c486e4bbe8f2128dd1a97

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【インタビュー】『トニー滝谷』市川準監督

2020-06-28 19:24:19 | BIG ISSUE ビッグイシュー

 毎日新聞の「村上春樹をめぐるメモらんだむ」という記事の、新刊『村上T 僕の愛したTシャツたち』を紹介する中で、興味深い逸話が語られていた。

 それは、この本の中で最初に紹介された「TONY TAKITANI」という文字の入った黄色いTシャツについてのこと。これは、村上がマウイ島で1ドルで買った古着で、「いつかこの名をタイトルにした小説を書こうと思った」のだという。そして「~1ドルで買ったTシャツが基になって小説が出来、それが映画にまでなった。人生最良の投資」とまで書いている。

 その小説と映画のタイトルは『トニー滝谷』(05)。監督は先年惜しくも亡くなった市川準で、公開前に『ビッグイシュー日本版 21号』(2005.2.1.)でインタビューをした。
  
 掲載されたページでは書き切れなかったが、実は途中から、映画マニア同士の話みたいになってしまい、とても楽しいひと時を過ごしたことを覚えている。中でも、宮沢りえが演じた二役について、ヒッチコックの『めまい』(58)を引き合いに出したら、こんな会話になった。 

-今回、原作を読んだ時に感じたんですけれども、(アルフレッド・)ヒッチコックの『めまい』をすごく思い出したんですよ。

(市川)そうですよ。ちょっと気にした映画です。キム・ノバクのね。

- あれも一人二役でしたから。

(市川)あれはもう、髪の毛を直したりしてね。

最後もこんな会話になった。

(市川)この『トニー滝谷』という映画は、何か、いなくてもよかったような人たちばかりが出てくるような気分。そういう小説だったし、映画だったような気がするんだけど、なくてもよかった人生なんて一度もないんだということが届いていたらいいなあと。いなくてもよかった人なんて一人もいないんだみたいなね。

-(フェデリコ・)フェリーニの『道』(54)の中に出てくるセリフみたいにですね。

(市川)フェリーニも大好きですよ、僕は(笑)。ジュリエッタ・マシーナがいいね。

-私も映画が好きでこういう仕事をしていますので…。この映画は、監督が影響を受けたとおっしゃる、小津安二郎監督とか成瀬巳喜男監督の映画に似ているなあ、というところも感じましたし、さっきのヒッチコックの『めまい』とかですね、そういう感じもちょっと…。

(市川)シナリオを書いている時に、そういえば、『めまい』が近いものがあるぞと。ビデオを見て彼女の髪型とかね、研究しましたよ。いきなり変わるからねあれは。あなたも映画マニアだね(笑)。

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『アイガー・サンクション』

2020-06-28 11:01:46 | 映画いろいろ

『アイガー・サンクション』(75)(1978.11.10.ゴールデン洋画劇場)

  

 殺し屋で登山家でもあるヘムロック(クリント・イーストウッド)は、アイガーの岩壁に2度挑戦して失敗。今では登山も殺し屋稼業も現役を退き、絵の教師をしていた。そんなある日、CIAの元上司から暗殺=サンクションを依頼される。その標的は、アイガー北壁の国際登山隊の中にいる正体不明の男だった。

 実際にアイガー北壁でロケを敢行。イーストウッドがスタントマンに頼らず、危険な山岳アクションに自ら挑んだ。原作は覆面作家トレヴェニアン。確かに山岳シーンはすごいのだが、そこにスパイものの要素を無理矢理盛り込んだことで、全体的には妙な映画になった。

 今から考えると、まだ名優でも名匠でもない、若き日の、いい意味でチンピラっぽいイーストウッドが撮った粗削りな映画という感じがする。相棒役のジョージ・ケネディの好演、悪党役のジャック・キャシディの怪演が印象に残る。

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『キングコング 髑髏島の巨神』放映

2020-06-27 17:24:37 | 映画いろいろ

 今夜、地上波で『キングコング 髑髏島の巨神』(17)が放映される。最新作『ゴジラVSコング』の公開は新型コロナウイルスの影響で21年に延期になった。

『キングコング 髑髏島の巨神』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/70ea739a2f3829bdd948acb0dce3e188

【インタビュー】『キングコング 髑髏島の巨神』ブリー・ラーソン
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d2324bde64e5f6844b09e6c0acf4160c

『キング・コング』(33)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/292f392acda0b5e8efa7db0929b9e09d

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【ほぼ週刊映画コラム】『ランボー ラスト・ブラッド』

2020-06-27 07:05:38 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
さらばランボー! その歴史に思いをはせる完結編
『ランボー ラスト・ブラッド』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1231146

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『ビッグケーヒル』

2020-06-26 07:44:22 | 映画いろいろ
『ビッグケーヒル』(73)(1981.12.18.月曜ロードショー)
 
   
 
 ジョン・ウェイン晩年の映画の一本。この時期の彼の主演西部劇はどれも人情くさい。まるで日本の浪花節的な映画を見ているようで、見ているこっちが、何だか照れくさくなってしまうところがある。
 
 この映画も、『11人のカウボーイ』(72)同様、彼が主役でありながら、ポイントはむしろ子供たちに置かれてる。彼はその子供たちを正しい道に進ませるために、涙ぐましい奮闘を見せてくれるのだが…。
 
 ニューシネマの進出、時代の変化などによって衰退した正調西部劇。ジョン・ウェインはいわばその最後の砦だった。だが、悲しいことに、彼が奮闘すればするほど、時代に合わなくなった男の姿を見る思いがした。もはや、彼が演じる昔気質で、頑固で、温かくて、照れ屋で…そんなオヤジはノスタルジーに過ぎなくなってしまったからだ。
 
 ネビル・ブランドがケーヒルの相棒役のインディアンを好演。悪役ではない彼を見た記憶はほとんどないが、その彼が、この映画では最も愛すべき人物を演じていた。そのギャップが面白かった。
 
 と言いながら、2007年の『MOVIE NO2.ジョン・ウェイン特集』ではこんなコラムを書いた。
 
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今夜は『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』

2020-06-26 07:00:23 | SCREEN スクリーン

 先週に引き続き、今夜、日テレで『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』(90)が放映される。キャッチコピーは「こんな時こそ明るく楽しめる最高の映画を」だ。

 『SCREEN(スクリーン) 増刊』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』メモリアル特集から

『外国映画男優名鑑』『20世紀の映画監督名鑑』から

今夜は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9f04698d4981023805b54650c76caa32

今夜は『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e27f1f97e3d428828b0ec6b7346f6810

 

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『グラン・プリ』

2020-06-25 07:14:28 | 映画いろいろ

『グラン・プリ』(66)(1974.4.11.18.木曜洋画劇場)





 スピードに命を懸け、ヨーロッパ各地を転戦するF1ドライバーたちを迫力のレースシーンとともに描く超大作。カメラを装着したレースカーを猛スピードで走らせて撮影した映像は迫力満点。

 迫真の映像を作り上げたのは、骨太のドラマを得意とするジョン・フランケンハイマー監督と撮影監督のライオネル・リンドン。耳に残る音楽はモーリス・ジャール。印象的なタイトルデザインはソール・バス。

 ジェームズ・ガーナー、イヴ・モンタン、三船敏郎、エバ・マリー・セイントと、国際的なスターが共演。中でも三船が本田宗一郎を思わせるチームオーナー役でいいところを見せる。

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