~ それでも世界は希望の糸を紡ぐ ~

早川太海、人と自然から様々な教えを頂きながら
つまずきつつ・・迷いつつ・・
作曲の道を歩いております。

松果体

2018-07-29 14:45:43 | 雑感
今夏、打ち続く異常気象。
台風12号の移動方向は観測史上前例がないと聞き、
昨晩から当地方を通過してゆく怪異の声に耳を澄まし、
気象を通して訴えられる真意を聴かんと沈思黙考したものの、
いつしか寝落ちしておりました。修行不足であります。

               

松かさは松かさでも

私たちの脳内の松かさと言えば〈松果体〉。

松果体は“pineal gland(ピーネアル グランド)”
ラテン語の“pinea”は松果・松かさ・松ぼっくりの意。
“pinea”はラテン語で松を意味する“pinus”に由来し、
英語の“pine(パイン・松)”はその派生語であり、
“pineapple(パイナップル)”は果実の形が松かさに似て、
味はリンゴを思わせるところから名付けられたのだとか。
      (参考書籍:原島広至著「脳単」株式会社NTS刊)

オットリーノ・レスピーギ(1879~1936)作曲
交響詩「Pini di Roma(ローマの松)」の“Pini”も又、
先のラテン語“pinus”からの派生語であります。

中世フランスの哲学者・数学者にして解剖生理学者、
ルネ・デカルト(1596~1650年)は、
親交のあったドイツ・プファルツ選帝侯フリードリヒ5世の娘、
公女エリザーベト(1618~1680)との書簡往来の中で、
「心と身体は区別されて然るべき・・・」としつつも、
人間には〈心身一如〉とでも言うべき次元があり、
その次元においては〈魂〉が心と身体を結んでいるとし、
その魂の在りかこそが「脳内の松果体である」と説きました。

『「脳の中で対をなさない唯一の器官で、ヒトにしかないから」
 という誤った根拠からとはいえ、
 それまでの脳室に重きを置いたガレノスの説と比べれば、
 脳の実質に注目し、脳の局在を示唆した点で前進といえる。』
                    (引用元:前掲書)

               

デカルト先生が「魂の宿・精神の座」と考えた松果体。
医学の発展に伴いその機能や役割が明らかにされ、
現在では睡眠誘発作用を持つホルモン
「メラトニン」の分泌を司る器官、とされています。
このメラトニン(メラニンではありません!)の分泌は、
脳内・視交叉上核(しこうさじょうかく)で調整され、
概日リズム(朝・昼・夜の生体調節)に関わるのだとか。

概日(がいじつ)リズムは、
時間の推移・天体の動き・生体の働きの三要素が響き合い、
生命活動を通して鳴り続けている大音楽・・・と、
浅はかにも個人的にはそのように解釈しております。

たしかに〈魂〉こそ宿ってはいませんでしたが、
壮大にして緻密な交響曲の重要な声部を担う松果体なれば、
デカルト先生の考えは、
あながち荒唐無稽なものでは無かったのかも知れません。


皆さま、良き日々でありますように!



              








イノシシの目?

2018-07-22 13:22:50 | 雑感
遭遇するたびにギョッとさせられるのは

直径およそ30cm・・・ピザ・Lサイズ大のキノコ


出会うたびにホッとさせられるのは

気の森のそこかしこに現れては消える


ハートの形


               

ご承知置きの通りハート型模様は、
日本において古来イノシシの目「猪目(いのめ)」と呼ばれ、
寺院建築や仏教美術の中に多く見られます。

猪目の由来については先賢の論考百出しておりますので、
自分にとってシックリくる説や、
自身を豊かにしてくれる説に心を委ねるものでありますが、
寺院建築内の懸魚(げぎょ・けぎょ)と呼ばれる装飾部に、
猪目が散見される等々のことから、
猪目には火難除けの願いが託されてきた・・という説は、
大きく頷けるものであります。

また、中国から伝わった陰陽五行思想では、
十二支と五行(木・火・土・金・水)との関係において、
亥(イノシシ)の象徴する世界が〈水の世界〉と重なる為、
尚のこと猪目には火防の霊験が期待された・・という説にも、
多少のアトヅケ感を覚えつつも「なるほど」と思わされます。

               

こちらは東寺・宝蔵の密教法具

弘法大師・空海上人が唐より請来した五鈷杵・五鈷鈴・金銅盤
(関根俊一著「金剛鈴と金剛杵」/ぎょうせい刊より転載)

「まさにわが国の本格的密教法具の劈頭を飾る遺品。
 迫力ある形姿と気宇壮大な雰囲気を醸している。」(上掲書)

これらの法具は、青龍寺の恵果阿闍梨の命により、
官撰の鋳物師・楊忠信、趙呉が制作したものだそうで、
盛唐の密風を今に伝える五鈷杵の長さは24.1㎝。

空海上人自らが手に執って数々の修法を行じ、
千年を超えて受け継がれてきた祈りのバトン。

手ずれで黒く変色した中央「把(つか)」部分に、
猪目の紋様が穿たれています。

こうした法器や仏具にあしらわれた猪目を拝見しますと、
猪目が「菩提樹の葉の形状」に遡るという説にも心惹かれ、
菩提樹を始めとする植物とそれらを養う〈水〉との親和性から、
猪目のハート型が仏教で説かれる〈アムリタ〉〈甘露〉といった
法水の一滴・法雨のひとしずくにも観えてきます。

               

ところで多くの方々が呈しておられる疑問、

「そもそもイノシシの目は、ハート型なのだろうか」

イノシシの目がハート型には見えないワタクシめも、
全く同じ問いを持つものであり、個人的には、
動物違い?パーツの取り違え?中国語からの誤訳?
などと推測しますが・・・分かりません。

〈猪目〉とは何なのでしょうか?
未だ訪れ得ませんが、転居して参りました名古屋には、
東山動物園という大きな動物園がありますので、
まずはイノシシを始めとした様々な動物の目および生態を、
じっくり観察してみたいと思います。

               

さても猛暑の日々でありますが、
日本より赤道に近く、暑いイメージのある国々・・・
例えば昨日の、
インド西部・ムンバイの最高気温:29度
インド南部・バンガロールの最高気温:27度
アフリカ中部・ニジェールの最高気温:31度

ひきかえて昨日の本邦。
京都:38度、鳥取:38度、岐阜:38度等々、
各国の気温は一概に比較できない事は承知しつつも、
日本の現況は高温による自然災害と心得ます。

皆さま、くれぐれも御自愛ください。




              










山海の 恵み豊かな伊予の国

2018-07-15 12:17:39 | 日常
ジェイアール名古屋タカシマヤで開催中

四国・瀬戸内・山陰物産展

関東在住時、
早川が作るツタナイ楽曲の演奏依頼にも嫌な顔ひとつなさらず、
瑞々しい命を授けて下さった演奏家の方々の中には、
四国御出身の方がいらっしゃいます。

ヴァイオリニスト・遠藤百合さんは、
愛媛県・宇和島市の御出身であります。
「平成30年7月豪雨」は各地に被害をもたらしましたが、
中でも愛媛県では甚大な被害が発生しました。

開催中の物産展において、当初は、
かの「宇和島じゃこ天」をメインとして、
宇和島市〈安岡蒲鉾店〉さんが出店される予定が、
豪雨災害の影響で出店が取り止めになったとのことでした。

こちらは

愛媛県今治市〈かまぼこの村上〉さんの
じゃこ天詰め合わせ(写真上部がじゃこ天)。


こちらは

愛媛県宇和島市〈美味工房みちよ〉さんの太刀魚巻。
お話しを伺ったところ、
「宇和島ではライフラインの復旧に一ヶ月を要する地域がある」
とのことでした。


こちらは

左上方から時計回りに愛媛県新宮村〈霧の森ようかん〉
同県新居浜市〈レモンケーキ〉同県松山市〈一六タルト〉。
新宮村は愛媛県の東部に位置しますが、
その地域においても土砂崩れが発生したと教えて頂きました。


愛媛県の一部地域では、
蛇口をひねるとミカンジュースが出る・・・とは聞くものの、
柑橘王国ならではの都市伝説?と思っておりましたら

思いがけない場所にありました。

山海の 恵み豊かな伊予の国。

              =◯◯◯=

お世話になった演奏家の方の故郷が、
自然災害に襲われることほど、心の痛むことはありません。

水害・水難のあとは猛暑・酷暑の日々。
瓦礫撤去作業中や避難所でお倒れになる方も多いと聞きます。
各被災地に、一日も早く平穏な日常が戻りますように。




いま自分に出来ることを出来るかぎり。





              












水は尊し 水は恐ろし

2018-07-08 14:56:02 | 日常
「水は尊し 水は恐ろし」

京都の奥座敷、
洛北・貴布禰総本宮・貴船神社の教えであります。

今を遡る事およそ1300年。
鴨川・桂川の氾濫を始め日本全国の水難・水害を鎮めんとして、
高龗神(たかおかみのかみ)闇龗神(くらおかみのかみ)という、
二柱の水神が祀られました。

一説に、
高龗神は山上の龍神、闇龗神は谷底の龍神とされ、
それぞれ降雨・止雨を司るのだとか。

水は、
一方においては生命を育み、
一方においては生命を脅かします。

安定をもたらすものは、必ず不安定をもたらし、
安心を授けるものは、必ず不安をも授けます。

雨、降り止まず、列島は水難・水害の日々。
恩恵と災害は二つで一つ・・・、
そのことを思い知らされるものであります。

「水は尊し 水は恐ろし」

今後は土砂崩れの危険性が増すと聞きます。
これ以上被害が拡大しない事を切に祈ります。




              













問うて意味なき愚問なれど

2018-07-01 14:22:11 | 雑感
植物の葉脈は、水や養分を運び

動脈・静脈等の脈は、人体内部に張り巡らされ


山脈・水脈・鉱脈等の脈は、自然界に横たわり

人脈・気脈・金脈等の脈は、その人の社会生活に関わり


血脈(けちみゃく)と称される脈は、仏教の師子相伝を証し

龍脈と呼ばれる脈は、風水上の地形・地相を伝え


任脈・督脈等の脈は、中国医学において重要視され・・・と

今更ながらの感ではありますが、
「脈」は何かを運び、繋げ、巡らせ、結びます。
脈の意味や構造、仕組み等は、ある程度分かるとしても、
脈を脈たらしめているものとは一体何なのでありましょうか?

               

あらゆる脈には、流れる方向・方角があり、
例えば動脈・静脈等の内部を移動する血液は、
決められた方向に流れなければ命が危険にさらされます。

私たちの人体において、脈拍・脈動を生んでいる大元は、
心臓を構成する右心房上部・洞房結節の働き。
胎生から逝去に至るまでの期間、
休むことなく一定のパルスを刻み続けます。

参考書籍を紐解けばそこには、刺激伝導系の初節として、
A.キース博士とM.フラック博士が発見した為、
〈キース・フラック結節〉とも呼ばれるという歴史から始まり、
電荷を持ったイオンの働き・細胞膜内外のイオン濃度差・
膜電位・イオンチャネルの開閉・活動電位の発生・
ミオシンとアクチンの相互作用等々・・・、

お粗末な頭脳のワタクシめにはサッパリ分かりませんが、
洞房結節における筋収縮のメカニズムが詳しく説かれています。

そうした仕組みの一つ一つは精緻精妙を極め、
数十億年の生命進化に溢れる無数の奇跡に打たれると共に、
そうしたメカニズムが、
いま現に自分自身の中で時々刻々行われている事に、
畏れを通り越して恐ろしさを感じ、
しばし呆然と立ち尽くすものであります。

このような仕組みを仕組みたらしめている根源には、
一体何が在るのでしょうか。
メカニズムをメカニズムたらしめているものとは、
一体何なのでありましょうか。

もっとも・・・こんな疑問は、
問うて意味なき愚問なのかも知れません。

               

探査機・はやぶさ2号が、
小惑星「りゅうぐう」から20㎞圏内に到達し、
秋以降には着陸して本格的な調査が開始されるのだとか。

「りゅうぐう」深部の土壌も採取・解析されるそうで、
21世紀の浦島太郎が持ち帰るであろう玉手箱には、
何が収められているのでしょうか?

生命誕生の謎に迫る新しい知見がもたらされることを、
楽しみに待ちたいと思います。

皆さま、良き日々でありますように!