~ それでも世界は希望の糸を紡ぐ ~

早川太海、人と自然から様々な教えを頂きながら
つまずきつつ・・迷いつつ・・
作曲の道を歩いております。

ベータ崩壊

2024-03-03 16:38:35 | 自然科学
本日は「備忘録」とでも申しましょうか、
ちょっと記しておきたいことがあります。

それは、

“ ベータ崩壊 ”

構造的に不安定な原子核が安定状態を求め、
“ ベータ線 ” という放射線を出しながら、
安定的な原子核の構造へと変移する現象とされます。

炭素14の原子核は “ ベータ崩壊 ” 時、
電子および反電子ニュートリノを放出し、
原子核を構成していた中性子は陽子へと変わり、
その結果、炭素14は窒素14へと変移します。

中性子は、
アップクォーク1個とダウンクォーク2個によって構成され、
陽子は、
アップクォーク2個とダウンクォーク1個によって構成されます。
つまり中性子が陽子へ変わる時、
アップクォークが1個増え、
ダウンクォークが1個減る、
という現象が起きていることになります。

科学雑誌「Newton」2020年4月号の特集は、

「存在とは何か」でした。

量子論や相対性理論では、
「存在」をどう考えるのか?ということが、
丁寧に解説されているのですが、
その中で、

「無から有は生じ、有は無に帰するのか?」

という問題について、

『あらゆる化学反応は原子の組みかえであり、
 反応の前後で原子が消えたり、生じたりすることは、
 決してありません。』
(「Newton」2020年4月号/ニュートンプレス刊)

として、
水素と酸素の化学反応を例として挙げるなど
マクロな物体および原子レベルでの物理事象では、
「無から有は生じず、有は無に帰さない」
ことを明らかにした上で、

『原子核レベル、素粒子レベルの反応では、
 この常識がなりたちません。
 無から有が生じたり、有が無になったりすることが、
 ごく普通におきるのです。』(引用元:同上)

そして紹介されるのが、
先述の “ ベータ崩壊 ” 。
いま一度 “ ベータ崩壊 ” を振り返りますと、
炭素14の原子核が “ ベータ崩壊 ” によって、
窒素14へと変移した際、
それまで存在していなかった、
電子・反電子ニュートリノ・アップクォークという、
3つの素粒子が生まれました。
つまり無から有が生じ、
ダウンクォーク1個が無くなりましたので、
有が無に帰しました。

これは何かが何かに、
組み変わるとか置き換わるといった物理事象とは、
全く異なるもの。

では、“ ベータ崩壊 ” によって生じた、
電子・反電子ニュートリノ・アップクォークという、
3つの素粒子は、一体どこから来たのでしょうか?

“ ベータ崩壊 ” によって失われた、
1個のダウンクォークは、どこへ去ったのでしょうか?


早川の安直な思考のクセと笑われもしましょうが、

どうもこの辺りの疑問は、結局のところ、

「私たちひとりひとりは、
 どこから来て、どこへ去るのか」

という問いかけと同義同根、同等同質、
そう思えて仕方ないのであります。


“ Purple cloud ”
~ 龍、紫雲に立つ ~

皆様、良き日々でありますように!


               









アマテラス粒子

2023-11-26 14:37:06 | 自然科学
昨日(2023.11/25)の当地は “ 小春日和 ” でありました。
その陽気に誘われ名古屋天神・上野天満宮へ。

手前に写る梅の樹が花期を迎えるまで、
あと2~3ヶ月ほどでしょうか。


これからは受験生の参拝も増え、

境内の空気も、少しずつ張りつめてゆきます。

                 

宇宙空間には “ 陽子 ” を主な成分とする、
高エネルギー放射線が飛び交っていて、

「宇宙線」と呼ばれています。

大阪公立大学を含む 8カ国共同研究チームにより、

「2021年5月27日の明け方、
 一つの粒子で “ 244エクサ電子ボルト ” という、
 極めて高いエネルギーの宇宙線の検出に成功した。」

という実験成果が発表されました。

今は2023年ですので、およそ2年に亘り、
膨大な観測データの分析と検証が為された上で、
今回の発表に至ったのでありましょう。

観測された宇宙線は、

「一つの粒子で “ 244エクサ電子ボルト ” 」

1エクサは100京で、
“ 京 ” は10の16乗 = 1000億の10万倍。

桁が多すぎて理解できませんが、
エネルギーが大きいということは分かります。

なんでも計算上では、
この粒子が集積して1グラムの粒子群となり、
地球を照射した場合、地球は崩壊するのだとか。

観測された高エネルギー粒子は、
観測時刻が明け方であったことや、
宇宙天文学の未来を照らす可能性などから、
日本神話における “ 光の女神 ” に因んで、

「アマテラス粒子」

と名付けられたと伝わります。

通常、宇宙線の発生源を辿ると、
そこには超巨大ブラックホールが存在したり、
超新星爆発の痕跡が在ったりしますが、

「アマテラス粒子」が飛来した方向には、
天体が存在しない “ 空洞 ” があるばかりで、
今のところ発生源は不明なのだそうです。

何も無いように見える領域で、
何かが起こっていて、
ポッカリと穴が空いているようでも、
実は、そこにこそエネルギーが満ちている。

「アマテラス粒子」

神話世界と物理世界、
まるで二つの世界を繋ぐかのような名前を持つ、
その不思議な宇宙線に想いを馳せますと、
内界に曙光が射すような心地にもなります。

ブレーズ・パスカル(1623~1662)は言いました。

『宇宙は、空間で人間を包み、
 人間は、思考で宇宙を包む。』

人生という、もう一つの宇宙。

この先、何も無いように思えても、
意外なくらいエネルギーに満ちた何かが、
私たちを待っているかも知れません。


“ Dance of the Dragon Ⅱ ”
~ 龍神舞踊 其の二 ~

皆様、良き日々でありますように!


               







「引力」「重力」

2023-01-15 14:22:32 | 自然科学
城山八幡宮への道すがら、人通りの少ない裏路地に入ったところ、

こ、これは・・・

何らのトリックも仕掛けも、また人為的な加工もありません。
おそらくは枯葉の落下行程、着地点、着地具合、風の按配等々、
諸々の条件が重なりに重なり、この態勢になったのでありましょう。
遠目からは2点で立っているように見えましたが、
近づいて良く観ますと3点で支えられていました。

地面に膝をつき「不思議よなぁ」と感に堪えているうちに、
この不思議さの奥には、普段あまり意識することのない、
「引力」や「重力」と呼ばれる “ 力 ” の不思議さが在るように、
思われてきました。

                 

「引力」や「重力」と一括りに書いてしまいましたが、
日本大百科全書(小学館)に載る「引力」の項には、

『物質間に働く引力はつねに重力であるため、
 重力を単に引力と呼ぶ場合もある』
『万有引力ということばは重力をさす』

とあり、これだけを読めば、
「引力」と「重力」は同じものと解釈できますが、
物理解説本の中には、

『多くの人は「引力」と「重力」を混同している』

と書かれているものもあり、
無学の早川は都度都度とまどいを感じます。
皆様にあっては既に御承知置きのこととは存じますが、
自分自身の為に一度整理させて頂きます。

「引力」とは、文字通り物体と物体が引き合う力であり、
テキスト等には、
「質量を持つ二つの物体の質量の積に比例し、
 物体間の距離の二乗に反比例して働く力」
と書かれています。つまりは、
「物体が重ければ重いほど物体間に働く引力は強まり、
 物体同士の距離が遠くなるにつれ物体間に働く引力は弱まる」
そのような特徴を持った力ということであります。
アイザック・ニュートン(1642~1727)により、
「そういう力が存在している」ことが発見され、
「万有引力の法則」が導き出されました。

                 

さて「重力」ですが、

これが解説書なり解説者によって微妙に違うのであります。
某天文学辞典には、
『「重力」とは、物体と物体の間に働く「引力」』とあり、
某大学の物理用語解説ページでは、
『「重力」とは地球と地球上の物体との間に働いている力』とあり、
また某天文学者は、
『「引力」はグローバルな力で「重力」はローカルな力』
という風に説かれています。

無論それぞれの解説は正しいものと思いますが、
『「重力」とは、物体と物体の間に働く「引力」』であるとすれば、
「重力」は「引力」の一つと理解できますし、
『「重力」とは、地球と地球上の物体との間に働いている力』
と聞けば、「重力」は地球に限定された力のように思われ、
『「引力」はグローバルな力で「重力」はローカルな力』
と説かれれば、ではグローバルとローカルの境界はどこなのか?
という疑問が湧いてきます。

また「地球の重力」ということになりますと、
地球は自転していて、そこには遠心力が発生するため、
地球に引っ張られる「引力」と地球から離れようとする「遠心力」、
これら2つの力を合わせたものが「重力」なのだそうです。
(「力を合わせたもの」という言い方は正しくなくて、
科学的算出法「合力」によって導き出されたもの。)

・・・などと、路上で見かけた “ 倒れない枯葉 ” に触発されて、
「引力」や「重力」の周辺を浅くさらったわけでありますが、
ここまで書いてきて、はっきりと判明したことがあります。
それは、日々「引力」や「重力」の作用を受けているのにも拘らず、
早川は「引力」や「重力」についてさっぱり分かっていない・・・、
ということ。

まずは今一度この辺りから読み直しであります。

名古屋への転居時、処分せずにおいて良かったぁ。


“ Infinite Dragon ” 〜 龍脈無限 〜

皆様、良き日々でありますように!


               









PCR

2020-09-20 15:51:28 | 自然科学

城山八幡宮には、


早くも〈七五三詣り〉の参拝者が訪れていました。


               

春まだ浅き頃から本格化した新型コロナウィルス感染拡大の下、
連日、朝な夕な耳にはするものの、その内容なり意味なりが、
私にはよく分かっていない言葉があり・・・それが、

“ PCR ”

という言葉。
皆様におかれましては、この“ PCR ”なるものの意味、
既に良く御存知のことと思いますが、恥ずかしながら、
お粗末なワタクシめの頭では、中々理解が及びません。

只、分からないなりに生化学の入門書を読んでおります内に、
この“ PCR ”が、どれほど画期的な技術であるのかという、
そのことだけは分かりました。
今更の感ではありますが、私自身の或る種〈備忘録〉として、
いささか聞きかじったことを記させていただきます。

“ PCR ”は“ Polymerase Chain Reaction ”の頭文字。
「ポリメラーゼ連鎖反応」という生化学反応のことを指し、
この反応を用いた検査が、所謂“ PCR検査 ”と呼ばれるもので、
その大まかな仕組みは、

① DNAポリメラーゼという酵素
② dNTPというDNAのパーツ
③ プライマーというDNAの断片
④ 増やしたいDNAを含む試料

という4つの物質を試験管内で混ぜ合わせ、
温度を上げ下げするというもの。

この〈温度の上げ下げ〉1回につき、DNAの量は2倍になり、
2回で4倍、3回で8倍・・・とネズミ算式に増えてゆき、
30回で約10億倍にまで増やすことができるのだとか。しかも、
DNAの、どの部分を増やしたいかを決められるということで、
つまり、

「簡単な操作で、特定のDNAを、大量に増やせる」

というのが、“ PCR ”が画期的である所以であり、
また最大の特徴なのだそうです。

それゆえに“ PCR ”開発者・キャリー・マリス(1944~2019)は、
その功績により、1993年にノーベル化学賞を受賞しています。
(参考及び引用元:日本生物工学会編・
 「ひらく、ひらく『バイオの世界』」化学同人刊)

上記参考書によれば、“ PCR ”は医療の分野に限らず、
犯罪現場の遺留物を用いてDNA鑑定を行う科学捜査、
遺跡から発掘されたミイラの身元を特定する考古学研究等々、
多岐にわたる分野を支える、無くてはならない技術とのこと。

               

洩れ伝えられるところでは、
“ PCR ”開発者・キャリー・マリス博士は、
“ 奇人・変人 ”に類する方だったそうですが、
人類に貢献するような発明・発見を成し遂げた方々というのは、
それまで「良し」とされてきた価値観を疑い、
それまで「是」とされてきた常識を打ち破る方々であるがゆえに、
一般的な社会の眼からしてみると、その言動・行動・発想などが、
“ 奇なるもの ” “ 異(い)なるもの ”に映るのでありましょう。
この辺りの消息は、
世界と社会に変革をもたらしてきた発明家・発見者・思想家・
技術者・事業家等々の歴史や伝記に明らかであります。

そうした意味において、では果たして日本は、
“ 奇なるもの ” “ 異なるもの ”を許容する社会なのか?
良い意味で“ 奇人・変人 ”を育む、懐の深い社会なのか?
この問いは、私自身の内界に対する問いかけとします。





              








交替時間

2020-08-09 16:00:07 | 自然科学
去る8月6日は広島の原爆忌、本日は長崎の原爆忌。

名古屋市港区に灯り続ける、原爆の残り火。

              =◯◯◯=

人間の体表面を覆う〈表皮〉は、
その下の〈真皮〉側から〈表皮〉側に向かって、
基底細胞層→有棘細胞層→顆粒細胞層→角質細胞層という、
4種類の細胞層からなるのだそうです。
基底細胞層は、表皮化細胞の母細胞層で、ここで細胞分裂が起こり、
細胞分裂により生まれた細胞は、有棘細胞層へと移動し、
さらに顆粒細胞層を経て角質化し、最終的に体外へと剝がれ落ちる、
というプロセスを辿るのだとか。
(参考元:physical therapy handbook/改訂第4版/第2巻/第37章)

基底細胞層で生まれた細胞が角質化して剥がれ落ちるまでの時間を、

『交替時間(turnover time)といい、約28日とみられている』
                     (引用元:上掲書)

と書かれていて、『約28日』と聞けば単純なワタクシめ、
月の公転周期が思い浮かんだりもしますが、それはともかく、
誕生から臨終という、大きな〈生〉と〈死〉の巡りもあれば、
基底細胞から角質細胞への移行といった生理現象を始めとする、
小さな〈生〉と〈死〉の巡りもあり、細胞レベルにおいては、
日々に“ 生まれ変わり・死に変わり ”を繰り返しているのが、
生命の実態なのでありましょう。

上記解剖生理学が説くところの、
『交替時間』なるものに浅慮を巡らせておりますと、
宇宙事象も生命現象も常に変化していることに思い至ります。
コロナ禍に心塞がれる毎日ではありますが、
『交替時間』という、時の力・巡りの力・循環の力を以って、
不安は安心へ、暗闇は光明へ、そして絶望は希望へ、
いつしか移り変わってゆくことを信じたいと思います。

               

新型コロナウイルス感染の第2波拡大を受け、
当地、愛知県には独自の緊急事態宣言が発令されています。
隣接する三重県も緊急事態宣言下に在るという状況を考慮し、
両親を始め、祖霊の多くが鎮まる伊勢・鳥羽の地を訪れての、
〈お盆の墓参り〉は、取り止めることにしました。

外宮(昨年末)

いつかまた、マスクをはずし、
ソーシャルディスタンスなどを気にすることなく、
参拝出来る日が来ることを願うものであります。