広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

青森の信号機・珍品編

2011-10-29 20:22:15 | 津軽のいろいろ
先日は青森駅前の信号機を紹介しましたが、今回は郊外部のとても珍しい信号機を2つ。
青森のたむたむさんから情報をいただき、見ることができた。どうもありがとうございました。

場所は、国道4号線「青森東バイパス」上で、青森駅から直線で東へ7キロほどの地点。
国道4号線青森東バイパス
片側2車線の道路で、交通量が多い。
海から2キロほどだが、田んぼが多く、住宅などが点在する一帯。秋田市で例えれば、国道13号線の仁井田から御野場辺り、国道7号線の飯島から追分辺りみたいな雰囲気。

●あれの縦版
最初の信号機。
国道を青森市中心部側から来て、青い森鉄道の跨線橋を越え、国道7号線のバイパスが分岐する大きいけれど無名の十字路交差点(横断歩道はなく、歩行者・自転車は地下道を利用)の次の無名の十字路交差点。
交わる道の片方は小さな道だが、一方は広い道で「みちのく有料道路」と「昭和大仏」への入口とされているようだ。横断歩道も地下道も歩道橋もなく、歩行者・自転車が国道を横断することはできない。
交差点の前は、三八五バス青森営業所や青森警察署東部駐在所がある。

その交差点の北側に立つ車両用信号機。
駐在所の前で、市内側から来た車が正面に見ることになる。
【この信号機は2017年以降、全国で設置されている信号機とは少し異なる仕様です。末尾の追記参照】
反対車線から。左奥がその信号機

 これ
薄っぺらでフード(庇)がない。
以前、三重県鹿児島県のものを紹介した、「フラット型LED式車両用交通信号灯器」だ。
秋田県では未採用かと思うが、採用する都道府県公安委員会は増えている。ただ、多くは横型での設置であり、積雪地仕様の縦型の設置例は限られているようで、このような縦型は珍しいと思う。
フードがなくて薄っぺらだから雪が積もる面積が狭いため、積雪地であっても横型で設置してもいいかと思っていたが、やっぱり縦型ということだろうか。
【30日追記】メーカーの銘板(というよりシール?)は縦にした時、正しい向きに貼られている。したがって、横向き仕様の製品を便宜的に縦にしたのではなく、当初から縦設置用として製造・納品されたと考えられる。

同じ電柱の歩行者用信号機は、弘前にもあった「星和電機」製で「2010年9月」製造だった。
フラット型の車両用は、他県と同じく「小糸工業」製であることは確認できたが、製造時期は不明。しかし、たむたむさんが2月21日にブログをアップされているし、やはり2010年度後期に製造・設置されたと考えていいだろう。
※ちなみに、小糸工業の信号機部門は、2011年8月に「コイト電工」となっている。


三重や鹿児島の横型でもそうだったが、離れて見た時はそれほど違和感を感じない。不思議なくらい違和感なく「信号機だ」と認識できる。(多少違っては見えるけど)
でも、近くで意識して見ると、不思議なモノに見える。
「時差式信号」の表示板は、青森県で時々見かけるタイプ。アームも含めて前からの使い回しだろう

 ブツブツ穴が開いているように見える
側面からはあまりはっきり見えないが、これも不思議なことに正面からの視認性は問題ない。

反対側から
裏面(=青森市内へ向う側の車から見て、右手前)の信号機(上の写真右手前)も、同型。

対角線上の信号機は、通常のLED式。
左奥がフラット型。右手前は通常タイプ
1つの交差点内の片方の信号機だけがフラット型ということは、試験設置だと考えられる。不測の事態に備えて、駐在所の前に設置したのだろうか。
脇道の信号機も通常のLED式
横型でもそうだったが、フラット型信号機は専用の金具を使い、従来型よりもだいぶ下向き(うつむき加減)に設置するようだ。縦型では、それがよく分かる。
「時差式信号」の板と比べるとかなり角度があり、裏表2台で「V」字型

真横から
真横から見ると、とても信号機とは思えない。

※その後の秋田県警と青森県警の対応についてはこちら


●フードというより…
フラット型のある交差点の500メートルほど先(方向としては北東)が次の交差点で、そこには別の信号機が。
ここは、狭い道が斜めに交わる十字路というか“X字路”で、横断歩道付き。狭い道側の車両は感応式、横断歩道は押しボタン式。
海も近いのに、山が迫っている。先が浅虫温泉方向
右手前の信号がそれ(左奥は通常型)なのだが、こちらは、フラット信号に比べると分かりにくい。僕は、意識していて、かつ光線が分かりやすい状態だったので、「これか!」と思ったが、車で通過するだけなら気づかない人が多いかもしれない。たむたむさん、よく気づきましたね~

向かい側から。右手前がその信号機
光を反射して、テカテカしてるというのが第一印象。

信号機自体は、LEDが大粒で見やすくなった「面拡散」タイプの通常品だと思われる。ユニークなのはフード。
 いや、フードというより、カプセル
レンズ(点灯する面)が透明なカプセルで覆われ、その上部がフードの代わりとして黒く塗られているのだ。

対角線上の信号機の裏面も、同じ状態。(つまりどちら方向から来ても右手前の信号機が、カプセル付き)
この交差点の信号機は、車両用・歩行者用とも、おそらく同時期製造の「日本信号製」だった。歩行者用の銘板を見ると「2011年9月」製造とまだ新しい。取り付けアームも新品なのだろうか、輝いている。

これもまた、よく見るとヘンな形。
真横から(右がその信号機。左は通常タイプ)
カプセルは、上辺が平らで、下部が丸くなっている。

斜め前から
前側は全体的にふっくらとしている。
つまり、上部の先端だけがとんがっていて、他の部分はカーブしている形状のようだ。
 拡大。カプセルに周囲の景色が写り込んでいる
鳥のくちばしとか、栗とかタマネギとか、そんなものを連想させる。
上がツンととんがっている
通常のフードと同じ穴を使い、ネジ止めされているように見えた。
裏から見ると、なんだかよく分からないが、従来の信号とは違う印象


なぜ、こんなモノを設置したのだろうか。
おそらく吹雪・地吹雪のような、横から吹きつける雪対策だと思われる。片方だけなので、試験的意味合いが強そう。
現地の状況からして、冬は風雪が強そうなので、試験地としてはふさわしそうだ。

いくら信号を縦型にしたりフードを長くしても、信号機のレンズに直接雪が吹きつければ、お手上げ。視認性が低下する。
こんなふうに↓
 (再掲)吹雪の後の秋田市内の信号機
その対策として、秋田県警では「信号電材」社に依頼して「フードにLEDを設置して、フードを光らせる」という、斬新な方法の信号機を設置し、試験を行なっている。実用化される気配はないし、LEDが増える分、高価になってしまうだろうが、「雪が付着してもいいから、他の部分で色がわかるようにする」という考え方なのだろう。

一方、このカプセル状フードは、ツルツルしたプラスチックを、滑りやすいカーブ状にして点灯面を覆い、「点灯面に雪が付着しないようにする」という、抜本的で費用もそれほどかからないやり方だと思われる。
秋田県警さん&信号電材さん、こっちの方がよくありません?
ただ、撮影時のように強い日光を受けると反射するので、場合によっては光ったり写り込んだりして見づらくなるかもしれないし、内部が結露したり、経年劣化で透明感がなくなって見づらくなるなど、問題点もあるかもしれない。

たむたむさんによれば、このさらに1つ先の交差点(「馬屋尻」?)や離れた国道7号線バイパスにも、同じカプセルが付いた信号機があるとのこと。(たむたむさんは9月28日にアップされている)
ある程度まとまった数が設置されたということは、青森県警の期待が大きいということか。


●現地へのアクセス
我ながら物好きだと思うけれど、珍しい信号機をまとめて見られてよかった。
現地へは、路線バスでは「新あおもり農協本店前」バス停が駐在所の前だが、運行本数が少ない。
青い森鉄道の「矢田前(やだまえ)」駅からは1キロほど。事前に地図を見ておけば、迷うような道ではない。1時間に1本程度。
弘南バスの「青森営業所」からは600メートルほどのようだ(本数は毎時2本程度?)。

今回は行きは青い森鉄道。帰りはちょうどいい電車がなかったので、少し歩いて線路を超えて、東高校前を過ぎて西へ曲がった、青森市営バス「矢作(やさく)」バス停から中心部へ戻った。駐在所から1.5キロほどあり、歩道のない跨線橋を越えないといけないので、天候や時間帯によってはおすすめできないが、バスの本数はとても多く、電車と比べても運賃はそう高くはない(青い森鉄道の運賃が高すぎる?)と思うので便利。

※青森訪問記の続きはこちら

【この後の動き】
※その後、カプセル状フードの信号機が秋田市にも設置された
※上の続きのこちらの記事では、青森県警のLED信号機への雪対策に触れています。(末尾の追記)
※2017年度からは、警察庁によって低コストな信号機の導入が全国的に始まった。その1つに、フラット型を少し小さく(点灯部分の直径が5センチ短い25センチ×3色)したものがあり、従来より多くの県で導入している模様。したがって、2017年以降設置されているものは、この記事中の写真(低コスト化前の直径30センチ×3色)の信号機と似ているものの同一ではありません。ネットで紹介されて当記事に多くのアクセスをいただいていますが、誤解なきようお願いします。

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2 コメント

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こんにちは! (たむたむ)
2011-10-30 10:36:34
すご~い!
やっぱり、すごい
私は、
「あ~、なんか変!」とか
「変わってる~!」で、終了なんだけど・・・
詳しい分析と、解説付きで~。
面白いですね~。

冬になって、また通過したときに、
どんな風な状況か?
お知らせできたらと、思います

何で、ここまでいったのかな~?
って思っていたのですが・・・
公共の移動手段だったのですね~。
車ばかりで移動している私からすると、
すごいなぁ~って
関心しきりです。
返信する
どういたしまして (taic02)
2011-10-30 19:19:55
いえいえ。なんか変だと気づくだけでもスゴイですよ。
信号なんてどれも同じだと気にも留めない人が多いでしょうからね~

冬の状況は気になりますよね。効果のほどはいかに?
安全運転に注意して無理をなさらずに、ぜひ“調査”を期待してます

歩いて行った方がじっくり観察できるし、知らない街をウロウロするのも好きなので。
青森市って、わりとバス移動がしやすそうな印象を受けましたよ。今の秋田市よりは。
あの辺りは意外に海が近いのですね。海辺にも行こうかと思いましたが、思ったよりは遠そうで、バスがすぐ来たので止めました。
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