広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

駅から峠・カーブ?

2014-10-13 23:58:41 | 津軽のいろいろ
JR東日本では、各地の駅を起・終点に歩く「駅からハイキング」を実施している。
コースだけ決められていてあとは各自勝手に歩くようなものから、日時を決めて団体でぞろぞろ歩くものまで、やり方はいろいろあるようだ。
東日本以外のJR各社でも、ほぼ同一の内容で名称がちょっと違うもの(JR東海の「さわやかウォーキング」とか)をやっているし、街道歩きや街歩きブームなのか自治体とか地域の団体でも実施することがある。

JR東日本のものは、観光地の駅から観光地を巡るだけでなく、マイナーな駅からマイナーな場所を巡るものがある。羽越本線新屋駅から新屋地区を回るものとか。
特に地元ではこんな場所でも歩くコースになり得るのかと、驚かされることもある。

駅からハイキングの今年7~9月のパンフレットより。
表紙

その20ページ。7月6日・日曜日に弘前でこんなコースがあった。
「弘前の煉瓦建造物と街並みを歩く」
「煉瓦建造物」とあるから、弘前公園周辺の教会でも見るのかと思ったら、違った。

「弘前市内に残る大本営跡などの遺構や、城下町特有の小路や弘前大学文京町キャンパスなどをめぐります。」
だそうで、起点は弘前駅、終点は弘南鉄道大鰐線・千年(ちとせ)駅。
起点と終点が異なるコースがたまにあるし、JR主催でも他社の駅が起点・終点になることもある。

パンフの経路によれば弘南鉄道大鰐線や富田大通りに沿った一帯を、7.5キロ3時間30分で巡る。案内人が同行。
パンフには立ち寄り先の名称だけしか記載されておらず、何を目的に立ち寄るのか、あるいはどこを指しているのか、分かりにくい箇所が多いコースでもある。
例えばJR東海では、ルートの地図もネットで見られるのだが、東日本は公開しないのだろうか(多すぎて大変そうではある)。

一部を拡大

「富田の清水(しつこ)」は、街中の湧き水(関連記事)。これは有名。
「桝形」とあるのは、弘前の場合「枡形(ますかた)」が正当。【14日訂正・現地の表示板は「桝形」になっていたので、これが正当なようです。消防の「枡形分署」など「枡」を使用していることもあるが、印刷用書体ではこちらが標準の文字であることによるのだろう】城下町特有のカギ型の道路が現在にも残り、地名(の通称)としても残っているから、話のタネにはなるでしょう。

「変電所跡」というのは、明治時代に酒造会社が造った変電所の跡。
弘大文京町キャンパス・教育学部裏手の大鰐線の線路寄りにある。現在は中には立ち入れないものの、木々が茂る広い土地にレンガ造りの建物が残っている。それを眺めるのだろう。


「弘前大学文京町キャンパス」。
パンフの説明文にあった「大本営跡」というのは、今の弘大農学生命科学部の場所(中庭に石碑がある)だそうで、そこは見たのだろう。
あとは正門横の外国人教師館くらいしか見どころはなさそうだけど、農学生命科学部からは逆方向で少々距離がある。

このハイキングに参加された方がブログで紹介されていて、それによれば、農学生命科学部の隣の創立60周年記念会館「コラボ弘大」に入って、休憩(?)をしたようだ。
コラボ弘大には、軽食コーナーがあるが、日曜日だったのでお休みだったとのこと。(日曜でも部外者が建物に入ることはできるんだ)
だったら、オリジナルグッズなども購入できて日曜も営業する、大学会館内の生協のコンビニ「サリジェ」にご案内したほうが、楽しんでもらえたのに。


「文京小」「弘前実業高校」ってのは、ほんとうにただの経路上の通過点かもしれない。別段見るものはなさそうだし。文京小の校舎は新しくはなったけど見るほどじゃないし、「桝形」の交差点に面しているのにあえて表示する必要があるのだろうか。
【2022年10月28日補足・過去の地形図が見られるサイト「今昔マップ」によれば、この周辺には軍関係の施設が多くあった。そういうことを説明したのかもしれない。】


「コープ松原店」というのは?
その名の通り「コープあおもり(旧・弘南生協かな?)」のスーパー型の店舗。
ハイキングの最後に買い物をするのが目的じゃなく、建物が見どころ。
この店の建物は、旧・陸軍第八師団の「覆馬場」だったものを改装しているそうで、当時のレンガ造りの外観が今も残る。
戦後は弘南バスの車庫として使われた後、1976年から生協が入っているそうだけど、弘前はほんとうに古いものを大事にできる土地柄だと思う。秋田だったら、ぶっ壊されているでしょう。
※この建物のその後はこの記事中ほど


とても気になる立ち寄り先が2つ。
「寒沢峠」と「三連続カーブ」である。
これって…
そう。
通称「寒沢スキー場」と「バカヤローカーブ」のことに違いない。

掲載された名称がおもしろい。JR発行の印刷物において、ただの急な坂を「スキー場」としては誇大(?)だし、まして「バカヤロー」なんて言葉を掲載できないと判断したのだろう。
でも、「寒沢“峠”」とは初耳だし、ネット上の用例もない。
「峠」とは「山道をのぼりつめて、下りにかかる所。山の上り下りの境目。 (デジタル大辞泉)」。つまり、2方向(以上)に高低差のある道がないといけない。
でも、ここは1方向だけの高低差だから、繰り返すけどただの「坂」。
この辺りは、大雑把には街全体が土淵川に向かって下り坂になっている。寒沢スキー場は、その下り坂が極端に急になっている場所といった感じなので、峠ではない。
「スキー場」を使いたくないなら、「寒沢(の)坂」で良かったのではないだろうか。

バカヤローカーブの「三連続カーブ」も、疑問。
以前の記事の通り、ここはカーブが4回連続するはず。
Googleマップより。赤がカーブ
4回進む方向が変わるのだから、「四連続カーブ」ではないかと僕は思うのだけど、僕が知らない「カーブの数え方」のルールでもあるのだろうか…

寒沢スキー場は弘前の地形、バカヤローカーブは弘前の歴史が関係しているということだろうが、弘大生の内輪の呼び名に過ぎなかったはずの両者が、JRのイベントの目的地の1つになるとは、感慨深い。(当ブログが多少なりとも貢献したと自負しています)
案内人はどんな説明をしたのだろう。

以上、このハイキングコースのテーマである「煉瓦建造物」というのは、変電所と生協と2つだけじゃないだろうか。ちょっと物足りないかも。
でも、意外な場所で意外に楽しめるコースではあったかもしれない。
あと、このコースは弘南バス小栗山線の沿線なので、本数が多いバスを利用すればラク…だったら「駅からハイキング」じゃないか。

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