犬も欲しかったけど、下宿やアパート住まいでは犬は飼えない。
ということで東京ではほとんどが猫たちとの生活だった。
東京での最初の猫はミミ。
私がミミにあったのは冬の寒い雨の日だった。
箱に詰められた7匹ほどの子猫たち。
まだやっと目が開いたくらいの子猫たちだった。雨に濡れて、寒さに震えながら身を寄せ合っていた。
一匹を抱き上げ、さすってやったが、お腹がすいているのかしきりにか弱い声で鳴いている。
道に下ろすと、私のほうへよたよたと歩いてくる。
数歩歩んで後ろを見ると、よたよた、よたよたと必死になって着いてこようとしている。
それで負けてしまった。
当時は学生で大家さんの家の離れを借りて下宿をしていたのだけど、大家さんのところにも猫がいて、猫好きな人なので、快く猫を飼うことを許してくれた。
でもそれからが大変。まだ乳離れをしていない子猫なので、餌をやっても食べない。
ミルクを温めて皿に入れて出してやっても、匂いをかぐだけ。
仕方ないのでミルクに指を入れ、その指を舐めさせてやった。
毎日、毎日、乳離れができるまで、私の指はミミのものだった。
食事を出すようになってもミミには私は母猫なのだろうか、ミミが食べている皿に顔を近づけ、「餌をくれ」っていう風にそぶりを見せると、鼻で皿を私のほうへ押し出して、食べさせようとする。ちょっと大きくなってから飼いはじめた猫だとここまではしない。私のものよって威嚇するのが普通だけど。
でも家の猫や犬は大体ミミと同じような行動をしていた。
問題はトイレの問題。
でもミミは人間の赤ん坊よりも賢いことを証明した。
一番最初は部屋の隅に砂の入った箱を置いて、ここでするんだよって教えた。
翌日からはちゃんと言いつけを守って、そこでやっている。
でもなんとなく部屋が匂う。
それで入り口の土間の隅に箱を移したが、それでもちゃんとやっていた。
でも毎日帰宅するとウンチの匂いがするのはちょっと困るので、どうしようと考え、裏庭に面したドアを少し開け、外でやってきなさいっていうと、これもちゃんと守るようになった。
ある日、起きてみると部屋が妙に寒い。外を見ると真っ白の雪。
東京が20数年ぶりの大雪だった日だった。
さてミミはどうするのかって見ていたら、私と一緒にドアのところまで来て、外をみて、驚いてすくんでいたが、生理現象に耐えられなくなったのか、一躍、体をジャンプさせて雪の中に飛んでいった。
一面の新雪の上にはミミの跡がぽつん、ぽつんとトイレの場所まで続いていた。
飼い始めて一月もしないうちに学校が休みになった。郷里に帰るのに大家さんにミミの世話を頼んで帰ったが、一月後に帰宅してみるとミミは大家さんのところの猫と遊んでいる。
ミミって呼ぶと、飛んできて人の胸までジャンプしてきた。慌てて抱きとめて、よくよく見ると体中が蚤だらけ。
家に入れて、洗面器にお湯を張り、ミミを浸けてやると、水面が真っ黒になるほどの蚤。それから何度も、何度も蚤取りをしてやっと蚤から開放された。
ミミの癖で困ったことは、狩。
朝起きると枕の前に獲物のバッタやカマキリなどがずらっと並べられている。半殺しの獲物たちが逃げていかないように、両手を使って、あっちこっちと押さえている。そして私が起きだすのを待っているのです。
私が起きると、ミミは得意そうに、どう上手でしょうって顔をしてこちらを見ている。
「上手だね。よかったね。ありがとうね。」って言いながら頭をなで、昆虫たちを掃きだすのが春から秋の間の私の朝の日課となってしまった。
ミミもいなくなってしまった。
大家さんの話では、家からちょっと離れたところで、車に轢かれて死んでいたのを見たとのことだった。
走って行って見たけど、何の痕跡も残されてはいなかった。
2005年12月2日 以前のブログからの転載です
2009年11月7日 写真を追加しタイムスタンプを今日に変更しました。
彼女がまだ小さいころの話。
彼女は私の膝の上で寝るのが大好き。
椅子に座っていると、いつもどこからかやってきて、膝の上に丸くなり、寝てしまう。
ある日、急に立ち上がろうとしたら、ミミが膝からずり落ちそうになった。
爪を立てれば私に傷をつけるとでも思ったのだろう、必死に前足でしがみつき、落ちる落ちるって私の目に訴えながら、ずるずるずると落ちていった。途中で抱き上げたときの安心したような顔を忘れられない。
考えてみれば、ミミだけじゃなく、私の恋人たちで私に爪を立てたりした子はいなかったな。
甘噛をする子はいたけど。
野良の母親が物置で出産した子猫の処分に
困って、紙袋に入れて箱に入れ、川に流したのが
今もって忘れられないと書いてあったこと
思い出しました。
家人の実家には5匹の猫が居て、お腹がすいた時だけ
足元に擦り寄ってきて、空腹を伝えます
満腹すると読んでも振り向くだけで
擦り寄ってこなかった
義弟は膝に抱いて梳き櫛で飲み取りしてた事思い出します。(^-^;
命の限り・・生きていく事の切なさを感じます。
爪を立てる・・引っかいた事もあった若い頃(^-^;
ペットを飼うということはそんなことを学べることなのですよね。