歴史的な合意の実効性はともかく、わが国は次の一歩を踏み出すチャンスを得たと思っています・・・
ご存知のとおり先月12日、アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は核廃棄に向けた包括的合意文書に署名しました。両国は相互の信頼醸成が朝鮮半島の非核化を可能にするとしたうえで、次の4点について一致しました。
①米朝の両国民が平和と繁栄を望んでいることに従い、新たな両国関係を構築する
②朝鮮半島に永続的で安定的な平和体制を構築するためともに努力する
③北朝鮮が朝鮮半島を完全に非核化するために取り組むとした4月27日の板門店宣言を再確認する
④米朝はすでに身元が確認されたものも含め、戦争捕虜や行方不明兵の遺骨回収に努める
トランプ米大統領は署名式で「非核化プロセスは迅速に始まる」と語り、「北朝鮮との関係は過去とはたいへん異なる状況になるだろう。われわれは特別な絆を築いた」と述べました。そして金正恩氏は「歴史的な会談を行えた。過去から離れ、世界は歴史的な変化を見るだろう」と語りました。
以上が米朝両国の「歴史的な」署名内容と両国首脳コメントの概要になります。さて、これをどう評価したものでしょうか?「たしかに朝鮮半島の完全な非核化に北朝鮮が合意したことは評価できる。しかし、いつまでにそれを行うのか、また核の放棄をどのように検証するのか、などがはっきりしていないではないか!」―――日本人一般の感覚からすると、そう突っ込みたくなりなす(?)。つまりこのままだと、上記合意に基づいて経済制裁がなし崩し的に(?)解除されるだけで、北朝鮮が核を隠し持ったままであり続けるリスクが消えない、といった具合です。個人的にも北朝鮮はそのとおり、核廃棄はするにはするつもりだけれど(?)、期限を切らずに段階的に、みたいなリラクタントな態度を取るだろう、と予測するものです。まあ同国の戦術はそれ以外にないはず、核こそは唯一無二のカードですからね・・・
・・・ですが、ここで重要なのはアメリカが上記決断をしたという事実です。これ、素人目にも懸念が残る危うい取り決めにもかかわらず、米トランプ政権は北朝鮮とあえて合意する道を選択したわけです。その意味するところは・・・やはり、アメリカは北朝鮮に対して軍事力を行使する―――体制の転覆や核戦力の破壊を目的とする戦争を仕掛ける―――気はまったくない、ということでしょう(?)。