スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

パッシングクラウド&不安の排除

2018-01-25 19:35:27 | 血統
 昨年のNARグランプリで2歳最優秀牝馬に選出されたストロングハートの牝系の輸入基礎繁殖牝馬は,1958年にアイルランドで産まれた5代母のパッシングクラウドです。Passing Cloudは一時的な雲。ファミリーナンバーシルバーレーンと同じで5-g
                                    
 近年,中央競馬ではノーザンファームの生産馬の大活躍が目立ちますが,地方競馬を席巻しているのがグランド牧場の生産馬。パッシングクラウドはグランド牧場が輸入し,初産駒が産まれたのが1966年。現在でもグランド牧場の基礎牝系のひとつになっています。
 地方の重賞を勝つような馬はいましたが,そこまで大活躍した馬というのはなかなか出ませんでした。それでも牝系を繋ぎ,ついに出たのが2009年に兵庫ジュニアグランプリ全日本2歳優駿を勝ってその年のNARグランプリで年度代表馬に選出されると,2011年に4歳以上最優秀牝馬,2012年に2度目の年度代表馬,2013年に4歳以上最優秀牝馬と最優秀短距離馬に選出されたラブミーチャン
 ストロングハートは母がラブミーチャンの母の半妹。つまりラブミーチャンとストロングハートは従姉妹です。そしてストロングハートのひとつ上の全姉は2016年にローレル賞を勝っている現役のアップトゥユーです。
 この3頭は牝馬ですから牝系はさらに続いていくでしょう。そしてこの3頭に共通しているのは,父がサウスヴィグラスであるということ。サウスヴィグラスは父がアサティスか,父の父がアサティスという牝馬と相性がよく,グランド牧場にはそういう繁殖牝馬が多くいたことが近年の生産馬の活躍に結び付いているのだと思われます。したがって,父がサウスヴィグラスである牝馬に対して相性がよい種牡馬というのが発見されれば,単に牝系が繋がるだけでなく,さらに活躍馬が続出という可能性が高いのではないでしょうか。

 このようにして不安metusないしは恐怖metusは,ただそれ自体でも,またほかの人びとにそれを煽ることによっても,排他的感情となりやすく,排他的思想を産みやすい感情affectusです。このゆえに僕は排他的思想を産出しやすい感情のひとつとして,不安あるいは恐怖をあげたのです。
 ところでこの感情は,さらに悪質な感情と結び付きやすく,そのためになお排他的思想を強力化するという側面があると僕は考えています。その事情を説明しておきましょう。
 第三部定理七は,自身の有に固執するin suo esse perseverare力すなわちコナトゥスConatusが人間の現実的本性actualem essentiamであることを示しています。第三部諸感情の定義三により,悲しみtristitiaは大なる完全性perfectioから小なる完全性への移行transitioなので,その現実的本性に反する感情です。ですから人間の現実的本性は,悲しみを感じたら,その悲しみを排除しようとするコナトゥスを有していることになります。第三部諸感情の定義一三により不安すなわち恐怖は悲しみです。ですから僕たちは,不安すなわち恐怖を感じたら,その感情から逃れようとするのです。ただ,不安あるいは恐怖についてなら,このように論理的に示さずとも,僕たちは経験的に知っていると思います。だれしも不安すなわち恐怖を感じたらそこから逃れたいと欲望するものであり,そこに留まっていたいと欲望するものではないであろうからです。なお,第三部諸感情の定義一により,欲望cupiditasは受動的な状態において人間の現実的本性であることにも注意しておいてください。
 不安すなわち恐怖から逃れる方法は主にふたつあります。不安すなわち恐怖は必ず何かに対する不安なので,その何かの表象imaginatioを排除するというのがそのひとつです。第二部定理一七によれば,ものの表象像imagoは別のものの表象像によって排除されます。したがってたとえばAに対する不安すなわち恐怖を感じた場合に,Aの表象像を排除するたとえばBを表象するimaginariことによって,そのAに対する不安すなわち恐怖から逃れることができます。これは第三部定理一三が一般的にいっていることと同じです。
 もうひとつ,不安すなわち恐怖という感情自体を排除するという方法もあります。こちらが僕がここで重大視する方法です。
コメント
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