私がSNSに消極的なわけ

2014年08月30日 | 日々の暮らし

 私は、幼いころから聖書(のプロテスタント的解釈)を学ぶ機会を与えられたため、早くから人生の有限性ということへの強い自覚がありました。

 自分に与えられた有限の時を、意味のないこと、意味の少ないことに費やさず、より重要な、さらにはもっとも重要なことをする機会にすべきだという教えです。

 それに加えて、個人的な性向としてはもともと、あまり広くない範囲の人と直接の親密な深いコミュニケーションをするのが好きでした。そういう意味で、みなさんがもってくださる印象と異なり、必ずしも非常に社交的な人間というのではありませんでした。

 しかし、ある種のメッセージ発信をするという立場上、かなり広い範囲の方々と交流しなければなりませんでしたし、これまである程度はしてきました。このブログもその一環です。

 私の伝えたいメッセージを、改めてきわめて簡略にまとめて言えば、「現代は人類史に例がないくらい大きな危機の時代であり、その危機は、個人としても社会としても内面と外面の根本的な変革なしには克服することはできない。しかし、幸いにして変革と克服の可能性・筋道はある」ということです。

 学生時代以来50年近く、危機の本質を明らかにすること、変革と克服の可能性・筋道を明らかにすること、明らかにしえた範囲でメッセージを発信することに、大げさなようですが私の人生の持ち時間の主な部分を費やしてきた、というのが自分の思いです。

 しかし、課題が深く大きすぎて、いくら時間があっても足りない、という思いを持ち続けてきました。

 そのために、自分の課題にとって本質的なこと以外にできるだけ時間を使いたくなくて、浅くなりがちな広い人付き合いは必要最小限にとどめてきました。ですから、「付き合いの悪いやつ」と思われて当然ですね。

 発信に関しても、伝えたいメッセージを発信することに集中してきましたから、「自分の言いたいことだけ言って、人の話を聞かないやつ」というふうにも思われているのかもしれませんが、それもある程度は覚悟の上です。

 しかし、社会的発言を始めて以来、私のメッセージには――本人としては本質的な「社会的価値」があると思っているにもかかわらず――当面「社会的需要」があまりないらしく、期待したような質・量の反応を得てきませんでした。

 特に大震災の後、原発―放射能からの避難という意味もあって、首都圏を離れて半引退・田舎暮らしをすると決めた時点で、当面社会的需要の少ないことに時間を費やしすぎるよりは、自分が個人としてやり残したこと・できることを成し遂げることに集中したほうがいい、と考えました。

 人生の時として言えば、広げる時ではなくまとめに入る時だと感じています。

 とはいえ、届いても届かなくても――期待したような質・量の反応があってもなくても――メッセージを発信するのは自分のカルマのようなものですから、ある程度は続けていきますので、それにも時間が必要です。

 ……等々というわけで、確かに広がるかもしれないけれど、深くは届かないのではないかと思われ、しかもそれなりに時間を取られそうなSNSに対して、私は消極的なのです(もちろん、まだ広げる時にあるみなさんにとっての有効性はあると思いますから、SNSそのものを否定するわけではありません)。

 以上、最近、いろいろなかたちのSNSに誘ってくださる方が何人もおられるので、このブログでまとめて説明責任を果たさせていただこうと思った次第です。

 どうぞ、ご海容(海のような広い心で受容すること)ください。私のこれまでの仕事を知って誘ってくださるみなさんなら、きっとわかっていただけると信じています。


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3 コメント

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わかりました~。 (松見)
2014-08-31 10:09:55
拝読いたしました。

時々は、覗いていただき、アドバイスなど頂けるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。
SNSの広がり・・・ (HIRO)
2014-08-31 17:03:01
岡野先生、「説明責任」を拝読しました。

広がりを期待したくて、SNSにお誘いしたこともあったかと思います。

お立場と考え、よくわかりました。

「社会的需要」の高まりを期待しつつ、できる範囲で広報を続けます。
ご了解感謝します (おかの)
2014-09-01 13:09:57
>松見さん、HIROさん

 わかっていただけてうれしいです。

 お二人とは、次の機会、直接お目にかかった時に、親密なコミュニケーションをさせていただけるものと期待しています。

 今後ともよろしくお願いします。

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