goo blog サービス終了のお知らせ 

sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:ある過去の行方

2014-05-18 | 映画


これ感想書くのめんどくさいなーと思う。
複雑で微妙な話で、ヒロイン好きになれないのに
映画としてはすごくいいんですよ、素晴らしい見事な映画と思う。
でも、映画の襞が複雑すぎて感想書くのイヤになってる映画(笑)。

アーマドがイランからフランスに戻ってくる。
何年も離れていた妻と正式に離婚するための数日の滞在だ。
妻の家に行くと、新しい男とその息子がいる。
妻の娘二人はアーマドの娘ではないが(前の夫の子)、彼には懐いていて
長女は新しい男を避けるように家にも遅くまで帰らず、再婚には反対らしい。
新しい男にも複雑な背景があり、その事情が少しずつ暴かれて行く中で
長女が打ち明けた秘密が大きく状況を動かしていく。

という説明では、なにがなんやらですね。
新しい事実が、こまごまと繰り出され状況が変わるし
ネタバレになるので中々書けませんが、ちょっと複雑な話です。
物語や、その秘密がすごく複雑という訳じゃないのですが
こんがらがった人々の心の糸のもつれ方が
大変微妙で繊細で、見落とさないように追っていると
複雑なところに連れて行かれる、という感じです。

ヒロインが、お化粧っけないけど、やっぱり美人の設定で
美人ならではの話なのかなぁと思いました。
だって、こんなに地味でいつも眉間にしわがあって、すぐに不機嫌になり
小さい子どもに感情的に怒鳴り散らすような女なのに
恋人がとだえず、問題を抱えながらも3度目の結婚をしようとしているのです。
この女性のよさが全くわからないので、
よっぽど美人であるということにでもなってないと意味がわからない。
不機嫌で面白みのない女だけど、心根はやさしいとか、考え深いとか、
寛容なところもあるとか、何かいいところはないかと思うんだけど
何もないんだもん・・・(この映画見た別の友達もそう言ってた)

まあいつも深刻なしかめっ面なのは新しい男の方も同じで、
ずーーーーーーーっと眉間にしわ。ずっとシリアス。
ユーモアでもエスプリでもなんでも、
ちょびっとでも笑えるところがないって、見てるだけでしんどい。
もうダメだ、今夜死ぬ、と思ってても、
何か笑えることを考えられるのが大人ってもんだと思うので、
こんなシリアス一辺倒のカリカリした世界は、
視野の狭い自己中心的なおこちゃまの世界だと思いますね。
でもシリアスに大人ぶったまま話は進むんだけど。

子どもへの対し方も、まったく大人げなくヒステリック。
男の子に対してもダメな母親の見本みたいな怒り方だし、
長女がしたことを知ったヒロインが激怒して
長女を追い出すところも、へ?と思った。
それを知って、長女が来るまでに少し自分を取り戻す間があっただろうに、
あのヒステリーには驚いた。そこまで自分本位な女だとはびっくり。
傷ついてそこまでしてしまった長女の気持ちを考えて
泣きながら抱き合うシーンを想像してたのに、
自分のことを棚に上げて、まだ子どもの長女を罵倒して拒絶して追い出すとは。
他人の気持ちを全く考えない人なんだなぁと、あきれるばかりで、
眉間のしわに加えてさらにうんざり。
でも、ヒロインへのそれらのうんざりを凌駕するほどの、
いい映画だとも思ったんですよねぇ。一瞬も退屈しなかったし。

アーマドは少し魅力的です。
子どもたちにも、ずぶずぶと甘えさせることはしないけど
きちんと向き合って理解し対処しようとしているし、
自分の責任は自分で抱えようとする姿勢がある。
それができなくて、フランスからイランへ逃げた過去があるので、
(はっきりとは描かれてないけど彼女との関係や移民としての問題など?)
心の中に葛藤や未練を抱えているけど、
そういうことをちゃんと自覚はしているし
だからこそ寛容さを持つこともできる。
彼が大人の中で唯一、寛容さを持っている人物かなぁ。

新しい方の男も、いつもシリアスだけど、また別の魅力はあります。
結局彼が愛していたのは誰だったのかわかる頃には
彼は自分の弱さずるさもわかってて苦しんでいるんだなと思える。

登場人物の気持ちが、どこか真っすぐぶつかり合わずに、
みんなどこか目をそらして、周辺だけを受け取りあうような感じで
本質をぶつけないことで、繊細な複雑さを醸し出している映画というか。

この女優さんは→「アーティスト」の主演女優さんで
「アーティスト」ではミスキャストだと散々文句言いましたが
この映画では全く別人のように、役に合った演技をしています。
顔自体は結構好きな顔だし、次はもうちょっと好感持てる役を見たい。笑

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。