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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:愛の渦

2014-03-19 | 映画
実はあまり期待せずに見に行ったんだけど
思ったよりよくできてると思いました。
もっと素人臭い映画かなぁと思ってたので。
ただ、好きか嫌いかというと、もう全然好きじゃないです。
観たあとの、微妙~にいやな感じのけだるさ。
人間の深部を抉るみたいなどうしようもないイヤさとは別です。
この映画は、なんというか、人がみな薄っぺらで、
それは人物造形がというのではなくそういう人たちを描いているのです。
それぞれのイヤなところも描かれるけど、ごく普通で、
はっとするようなイヤさはなくて、
ある意味予定調和的な居心地の悪さを描いてる感じ。
この微妙にリアルで薄い感じは何だろうと思ってたら
これは元々舞台用の戯曲だったんですね。
(第50回岸田國士戯曲賞受賞作)
ああ、そういう感じの閉じてる感とか生身っぽさがありましたね。

六本木のマンションに、乱交パーティに集まった男女8人の一晩。
それだけです。
ほとんどのシーンはマンション内で、
タオル1枚巻いただけの男女の間で撮られています。
登場人物のどの一人とも、知り合いにもなりたくない感じで
全く興味を持てない人たちなのは疲れた。
いえ、特別変な人というのはほとんどいなくて、
それぞれ、まあ普通のよくいる人たち、ってとこが、またイヤな感じ。

登場人物は若い人ばかりじゃないんだけど
なんか、今の日本の若い人たちの狭い世界なのかなぁとも思います。
空気必死で読もうと、もぞもぞしてるくせに、
一旦たがが外れると調子に乗って大胆になるようなタイプ、
こういう結局いつも群れてるタイプの人たち、日本っぽい感じ。
セックスしたくてそのためだけに来てるのに
いつまでも上辺取り繕って「お仕事は?」なんてアホなこと言うヤツ。
陰気な女子大生は「学校の友達も本当はみんな
こういうこと考えてるくせに顔に出さない、きたないうざい」とか
周りの偽善者を糾弾し、自分だけが正直でつらいかのように言うけど
誰よりも彼女自身がそういう存在なので、見ててうんざりする。
本人がいない時に陰口を言ってあざ笑いあう人たち。
その場だけのフーゾクでしかないのに
くだらない駆け引きや微妙な人間関係が生まれたりして
人間って即物的になりきれないってことなのかもしれないけど
即物的になれずにこぼれ出るのが、イヤなとこばかりという・・・。

セックスしたくてお金払って行ったなら
変に感情持ち込んだりせず、変につるんで誰かを嗤ったりせず、
変に空気読んだり取り繕ったりせず、さっさとやりたいことしたほうが、
よっぽど薄汚くないんじゃないの?と思ってしまうわたしは
映画を見ている間、けっこうもやもやしてたかもしれません。
とにかくここで描かれる人の悪さもいやらしさも、そして少しの優しささえ、
小人物的というか、小さい卑しさにまみれていて疲れた。
でも、それだけ、そういう普通の人間を、この映画(戯曲)は
うまく書けている映画ということでしょう。

窪塚洋介と田中哲司は、役に合っててでよかったですね。

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