ストーリーはフランス舞台の時代物メロドラマだけど
原作はコレットなのです。
コレットはフランスの女性作家で
奔放な人生と多感な文章で知られていますが
日本ではあまり有名じゃないかな。
わたしの中では、たとえばジョルジュ・サンドと同じジャンルの女性ですね。
自立して奔放で性的に自由で才能のある女性、です。
20歳くらい年上や年下の男性と結婚したり
女性とも恋をしたり舞台に立ったり、好きに生きた。
プルーストあたりの時代の人で
シェリの粗筋を見てもわかるように
通俗小説とされることも多かったようですが
今は文学的評価を受けている作家、だと思います。
描かれる風俗などは、プルーストの時代、世界を
彷彿とさせ、独特の美し差があります。
わたしはコレットは「青い麦」だけ読んだことがある。
これは若い頃に読んであまり印象に残らなかったけど
もう少し大人になって読んだら、もう少しよくなってた。
今読んだら、もっと好きかもしれないなぁ。
さて、そのコレット原作の「シェリ」ですが
引退して悠々自適に暮らす優雅な元高級娼婦のレアが
友達(これまた元高級娼婦のキャシー・ベイツ)の息子を
自堕落な生活から守るために預かる、というか
たらしこむというか、恋愛して結局6年も一緒に暮らすが
彼に結婚話がもちあがり・・・というような話。
この時代には本当にいたのでしょうか、超高級娼婦。
各国の首相や貴族、王様を相手に
桁違いのお金を使わせる
知性も美貌も教養も趣味も何もかも一流の高級娼婦。
まあとにかく、そういう存在に描かれているレアは
ミシェル・ファイファーで、勿論今も美しいけど、
同じくらい成功した元高級娼婦のキャシー・ベイツは、よくわからん(笑)
彼女が世界の王様を手玉に取る美貌と気品を、若い頃には備えてたとは
想像しにくいです、が、まあそれもまた面白いからいいか。
ミシェル・ファイファーの相手役が二十歳そこそこの設定の美青年。
この男の子は、もうベルバラの世界の住人です。
すごく美しい。
でも、全然わたしのタイプじゃないし、馬鹿っぽいし
甘やかされたきれいなだけの、怠惰な生き物、にしか見えないので
レアがこころ乱すのに共感できなかったです。
そりゃ、若い子はきれいでフレッシュで元気で自分に染めやすくて
かわいいでしょうけど、
このきれいなだけの子と半日以上いっしょにいても
一体何がおもしろいのか???
性格がわがままで悪そうな所がいいのか、それならまだわかる(笑)。
美しいだけで天才だ!とも思うけど、レア程の百戦錬磨の大人が・・・。
いや、まあ、それが恋というものなのでしょうけど。
ミシェル・ファイアーもきれいだけど
皮膚のハリや口のまわりのほうれい線のしわなど
ぎりぎりな感じが切ないですね。
いっそ、そこを超えちゃったらラクになりそうなのに
まだ現役の美貌が残っているだけに、残酷な感じ。
(以下ネタバレあり)
美青年が結婚して別れて、お互い気も狂わんばかりに想いは募りながら
しばらくの間会えずにいた後で、
結局レアの元に戻るかのように思われたが・・・・。
なんかどこにも共感できないので
ただ美術と美しい男女を見るのだけ楽しんだ映画でした。
小説だと違うのかなぁ。
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