映画「皆さま、ごきげんよう」は、久々に予告編に騙された映画。
悪くはないんだけど、トレーラー見たら、
ちょっと不思議な心温まるヒューマンおじいさん映画と思うよねぇ。
まあ、ちょっとはそうだけど、いろいろ困ってしまった映画。
とりとめなくて、なんかよくわからないまま見て、なんか肩透かしだったのに、
1週間くらい経ってじわじわと、悪くない気がしてきた。
そして今、何ヶ月もたって予告編見ると、またじわじわと見たくなってきた。
また予告編に騙されてるのか、実はいい映画なのか?
3つくらいの時代と場所の話が交差します。
貴族のおじいさんのギロチン処刑をわいわいと待つ群衆のフランス革命の頃と、
兵士が街を壊し略奪、老女をレイプする兵士のいる戦場と、
覗き見趣味の警察署長がホームレス一掃を企てるパリのあたりの話。
露悪趣味的なところもあって、微妙な気持ちになるけど、
わりと脈絡なく3つの話が進みます。
全体的には、人間の愚かさ冷酷さなどの嫌な面と
恋や友情の暖かさ、明るさなどのいい面と、どちらも等価に描いてる感じの映画です。
「グルジア(現ジョージア)出身の世界的巨匠にして人生の達人、
オタール・イオセリアーニ監督が81歳にして軽やかに謳いあげた人間賛歌」らしく、
実はストーリーもカメラも動きも全部、綿密な計算で作られてる映画ということで、
行き当たりばったりではなさそうなんだけど、
どうも詰めが甘いというか、とっ散らかっちゃった感があるんですよねぇ。
回収してないモチーフも結構あるような。
その中でも中心になってるのは現代のパリの二人のおじいさん。
アパートの管理人さんは、武器商人という裏の顔を持つし
その親友らしい人類学者は、骸骨集めが趣味で、この二人の交流は確かにいい味。
ワインの悪口を言い合うとか、同じ女性に恋しててヤキモチで喧嘩するとか
それぞれのエピソードもいいけど、ちょっともったいぶったユーモアだなぁとも思う。
でも今思うと、映画の中のディテールはすごく良かった気がする。
古いアパートも、人類学者の部屋も、恋人たちの向かい合うテーブルも
どれももう一度見たい気がする。
途中で、やっぱり脈絡ないよう挟まれる塀の向こうのエピソードが特に印象的だった。
おじいさんが古い塀に沿って歩いてるとドアがあって、入っていくとそこには
庭と美しい女性がいたけど、別の時にその塀のどこを探してもドアはなかった、
みたいなエピソード。
特に珍しいわけじゃないけど、美しい場面だったし、ここももう一度見たい。
そして、この気が利いてるでしょうと言わんばかりなのに、失敗してる邦題の
原題は「CHANT D’HIVER」(冬の歌)で、こっちの方がいいし、合ってる。
グルジアに古くからある冬の歌「CHANTD’HIVER」からとったらしいです。
予告編の最後のところ歌われてるのがその曲だそうです。
うーん、この予告編、ほんとそそるなぁ。
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