>体の器官にはそれぞれ役割がある。
>脳は考え胃は消化する。
>でもおっぱいには何の機能もない。
>他の哺乳類は授乳のときにだけ大きくなる。
>役割がないからこそ、女のおっぱいは
>最も愛おしいものだ。
と最初の方で登場人物の一人のおじいさんが言うけど
まあ、このノリで
老人の性の問題もさらりと描いた映画のように思いました。
長年仲良く親交を深めてきた
二組のカップルと一人のシングルおじいさんが
一緒に住めばいろいろ便利だし楽しいだろうと
一緒に住み始める話。
認知症?でぼけの始まっているおじいさんと
病気で余命短いと知ったその妻。
意気軒昂な活動家とその妻、
女好きで今も娼婦を買う写真家。
そこに、老人をテーマに社会学論文を書こうとしている若い男が
世話係として同居します。
ぼけがひどくなって問題を起こしたり
メンバー間での昔の不倫が掘り起こされて揉めたり
こまごまと、いろんなことが起こりますが
「マリーゴールドホテルで会いましょう」のような
色彩はないし、もっと現実的でほろ苦いですね。
どちらにも亡くなる登場人物はいるけど
こうやって比べると「マリーゴールドホテル」は
ファンタジーだなぁと思います。
「マリーゴールドホテル」はその後も
メンバーが入れ替わりながらも同じような日々が続いていきそうだけど
こちらは、もう同じ日々は戻ってこない感じです。
女好きで心臓が悪いのに若者に無理にバイアグラを頼んで張り切る
写真家のおじいさんも、いずれ無理できなくなり
近い将来亡くなるだろうし
認知症で妻もなくしたおじいさんは、施設などにうつるでしょうね。
そう考えると非常に現実的な話になりそうですが
それでも、この映画は悲しい感じはしません。
フランス人の自立心と前向きさ、人生を楽しもうと言う気持ちは
シニアになっても健在だからでしょうかねぇ。
印象に残ってるシーンは
強引にみんなとの同居を決めようとする元活動家の夫に妻が反対したら、
夫が自室で怒鳴り散らし始めたところです。
夫が「なんてエゴイストな妻なんだー!」とベッドルームのモノに当たって
ひとり大騒ぎしてる様子を食卓で聞いた妻は、
食後テーブルの上に残ったワインやブランデーのグラスを次々にあけて、
ふ~、仕方ないわね、という顔で
服の胸元を開き、夫の騒いでる部屋へ行くのです。
次のシーンはベッドの中・・・。
色仕掛けでなだめたわけですね。(結局同居はするんだけど)
結婚して40年以上になる70歳前後の夫婦でも
こういうシーンが自然にあるのだ、と
日本では中々ありえない展開が記憶に残りましたね。
わざわざ老人の性の問題、とカテゴリー分けする必要もないわけですね。
フランスやなぁ~。
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