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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:悪童日記

2014-10-16 | 映画


この映画すごくよかったけど多分原作読んでる方が楽しめたんじゃないかな。
原作読むと、もっといろいろ考えるかもしれないなぁと思いました。
文句を言うなら、評判が元々よくて、見たらその通りによかったので、
つまんない気がするってとこくらいかな。笑

双子が頬よせて眠っている顔のアップのシーン、すごくきれいです。
予告で見てた以上の美少年たちなので、見てて楽しかった。
話の内容は楽しいものではないんですけどね、目が喜ぶんですよ。
きりっとした強い目で他者を信じず拒絶する美少年の双子。
原作読んでないけど、このキャスティング、
これ以上ないくらいいいんじゃないでしょうか?
天使のようなきれいで優しげな顔で冷酷な差別主義者の司祭館の女性とか、
人生まるまる心を硬く閉ざして生きてきたおばあさんとか、
ドイツの将校(ゲイなの?)の恋人?役の若い兵士は、
ルートヴィヒを繊細に演じてた人ですね。
あと、やさしくて素敵だったのに、後半別人のようになるお父さんとか。
全員すごくハマってて、ものすごくぴったりと思う。
原作ではおばあさんは痩せた老婆だったようですが
映画ではすごく太った巨体の女性で、でもこれもすごくいいと思った。

お話については、善悪について考えてしまいますね。
リアルに撮ってある話だけど、寓話的だなぁと思いました。
小説ではどんな風に書かれているのかな?
映画はもっと寓話的にも描ける話だなぁと思いました。
そしてとてもシリアスです。全編シリアス。
もっと暗い笑いをちりばめることもできそうだけど
原作もシリアスなんでしょうねぇ。
暗ければ暗いほど、重ければ重いほど、むしろ
笑いの要素がないと物足りなく思いがちで
笑いの要素がないものに厳しいわたしですが、
これだけシリアスなのに、足りないものがないのがすごいと思った。

でも、わたしなら、たとえば双子が絶食をしてるときに、
おばあさんがいつにないご馳走を作って食べるシーン、
ああいうところは絶対奇妙にダークな笑いをもっと盛り込みたくなりそうです。
でもそれをしないで、真面目に見せててもバカバカしくならないのがうまいなぁ。

ストーリーは戦争で田舎の祖母の家に預けられた双子が
冷たく強突く張りで魔女のような祖母にこき使われたり、
お互い以外味方のいない過酷な状況でひどい目にあいながら
体と心を鍛え、生き延びようとする話です。
でも純真な子どもが健気に生きて行く話ではないです。
残酷さにも醜さにも痛みにも慣れ、他人や常識の善悪を捨て、
強くしたたかに、時に狡く
自分たちだけ生き延びるすべを身につけて行く子たち。
この双子の心の閉ざし方や、歪んだ絶望、孤独、善悪の価値観・・・
ある意味、コクトーの「恐るべき子どもたち」を思い出します。
戦争と言う異常な状況の下で、何が正しいのかはもちろん
どう生きるべきなのか、いったい意味があるのか、何もわからなくなります。

多分小説についても、映画についても賢い人がたくさん
いろんなレビューを書かれているだろうから、
それをこれからネットで拾って読むつもりだけどそれも楽しみです。
そういうのもネット時代の楽しさの一つですね。

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