「地獄でなぜ悪い」が非常によかったので
気を良くして、邦画の暴力系をもっと!と見に行きました。
でも、暴力系の話にしては、とてもまっとうな映画で
自分の限界をはみ出るえぐさをつい求めてたわたしには
ちょっと物足りなかったかなぁ。
元々がベストセラーのドキュメンタリー本で
実話であるところが肝で
人間ってこわいなぁということなんだけど
映画は、俳優の演技が一番いいところかな。
保険金をかけて老人を殺す仕事をしていた死刑囚が
余罪を告白し、それらの背後に先生と呼ぶ人物がいることがわかる。
それを、編集部の意向を無視して独自に調査する雑誌記者は
どんどん事件にのめり込んで行く・・・というようなお話。
死刑囚のピエール瀧の顔が
文楽の人形の顔がパカッと変わるときみたいに
突然すごいこわい目になったりするのがよかったです。
先生役のリリーフランキーは、飄々とした風情で
完全に何かが欠落している非情な役を、へらへらと演じてて
すごいといえばすごいけど、まあこれは演じる方は
難しくはなかっただろうなぁと思いました。
楽しそうに演じてたもん(笑)。
そして顔が苦手な山田孝之。
この3人の主な登場人物の誰ともお近づきになりたくないけど
彼の演じる、犯罪者でもない真面目な記者とも
ぜーったいお近づきになりたくないですね。
何かにすぐ執着して、執着そのものになってしまう危うさって
それが強い正義感や使命感から来ていればなおのこと
わたしには鬱陶しいです。
こういう人は、変わらないし
きっとずっと、理解し理解される人間関係を
築くことは出来ないんじゃないかと思う。
目の前の妻の苦悩を、どこまでも後回しに出来る鈍さを放置し、
正義と自身の苦悩を言い訳にするような人は、いやですね。
「~するべき」で生きている人は
結局それを人にも強要するものです。
それに、笑わないし。
笑わない精神状態の人って、わたしには近づけません。
窮屈で死んでしまうわ。
好き嫌いで言うと、凶暴で壊れてるピエール瀧や
完全に人間としての何かが欠落しているリリーフランキーの方が
まだ好きかも。いや、暴力も犯罪もいやだけどさ。
先に本を読んでた人の話によると
この記者の家族の話の部分は本にはなくて、
映画では作られた物語も多いようなので、それはよかった、と思ったりした。
映画としては特に好みではないけど
事件のシーンを見せてから、少し戻ってストーリーを辿る作りは
ちょっと映画として平板さを減らしてるし
混乱するほどでもないしで、悪くなかったです。
それより、映画の最中にお腹がなって、恥ずかしかった。
お腹がなりそうだなぁと覚悟してたけど
静かな時に鳴るお腹の音って、なんとも恥ずかしいですねぇ。
ぐ~っ、って字で書くとかわいい気もするけど
実際は、なんか間抜けで恥ずかしい音です(笑)。
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