見た後に1時間も2時間もいろいろしゃべった映画。
とても面白かった。
ゆるふわ系の映画は、嫌いじゃないものもあるけど
あー無理、と思うものもあるので、この映画はそういうのじゃないよね?
是枝監督だし大丈夫よね?と心配しながら見に行ったけど
全然大丈夫だった。
原作が吉田秋生で、わたしはまだこれは読んでいないんだけど、
というか漫画自体もう長い間読んでないんだけど、
この作者は若い頃とても好きだった漫画家です。
友達の中にも、この原作が大好きという人は多い名作のようです。
まず冒頭、ベッドで眠る長澤まさみの長くてきれいな脚を下からゆっくりと
映していくところから始まります。
となりには男の子が寝てて、長澤まさみをうしろから抱くようにして眠ってる。
でも全く色っぽいシーンではなく、この映画全体に色っぽいところはないんだけど
この導入で、とりあえずふわふわゆるふわ映画ではなさそう、と安心。笑
鎌倉の古い一軒家で暮らす3人姉妹が、浮気や借金で家を出た父の葬式に赴く。
そこで、残された中学生の異母妹と出会い、
引き取って鎌倉で一緒に暮らすことにする・・・。
そんな4人の物語なのですが
鈍いわたしは1時間くらいたって初めて、あ、これ、diary、日記なんだなぁ、
日常を淡々と描いてある話なんだなぁと、気づきました。
だから一つのドラマとして見ると、物足りないように感じたり
散漫とした印象を持つかもしれません。
でも、日常の日記だから、これで、こういう感じでいいと思いました。
姉妹に引き取られる異母妹すずちゃんは、姉妹の父親が再婚した相手との間の子。
でもすずちゃんの母親は死に、その後父親は再々婚したので、
再々婚相手である義母とすずちゃんは血が繋がってない。
お葬式での、この義母の、ちょっと嫌な感じ、うまく描かれています。
頼りない悲劇のヒロイン風になよなよしながら、自分の権利はしっかり守る
実のない女の雰囲気がよく出てるし、よくわかるエピソードです。
そして、その母の元で、自分を押し殺し、我慢して生きている少女の役、
すごくうまいし、かわいいです。
鎌倉での生活で、姉妹それぞれの恋愛や、彼女らに関わる人々との
いろいろなエピソードが綴られていくのですが、
キャスティングの良さにうなりますね。
父が出て行った後、娘たちを捨てて出て行った
どこかいい加減でわがままな感じの母親役が大竹しのぶ。
大竹しのぶの叔母役が樹木希林。
どちらも絶妙。
そして、やさしい食堂のおばちゃん役の風吹ジュンと
それを支えるリリーフランキー。
リリーフランキーはいつも通りの感じで、この辺のキャスティングは
面白みがないほど、ハマりすぎだけど、やっぱりいい。笑
全体的に、やさしくてほっとするのは
映像の気持ち良さや、四姉妹の魅力、古い家のリアリティはもちろんだけど
(古いけど微妙にセンス良くてきれい、なのではなく
本当に古い家で、壁紙や障子から全部、古さやほどほどのよごれ方、
ずっと置きっぱなしのものが、なんとなくそのままあるような、
美意識のなさそうなものの選ばれかたなどにリアリティがある)
何より、女性だけで住んで充足してる、女性だけの世界だからだなぁと思う。
恋人や友達や、男性はいるけど、全部外側。
それが、とても心地よく見える。
四女を引き取ったときに、大叔母役の樹木希林が、
犬や猫じゃないのよ、あんたたちだっていずれは結婚して
ここを出て行くんだし、いつまでもここでに一緒に住んでるわけじゃないし、
みたいな忠告をするんだけど
なんで?ずっと一緒にいたらいいやん、って思った。
平安時代の通い婚?の逆バージョンみたいで、すごくいいと思う。
女たちはそれぞれ仕事してて自立してるし、
姉妹一緒に暮らせば生活の心配はない。
男のいない小さな世界は、暴力や権力の影もなく、ものすごく穏やかで
ほっとする場所と時間です。
みんなずっとそこに暮らして、男の人は外に作ればいいんじゃないの?
実際3人姉妹はそれぞれ恋人や恋人的な人がいるんだけど
家には連れてこないし、恋人が家族公認で出入りしてる感じもない。
恋人はいつも外側にいるのです。
外側にいて、会えるときに会いに行く。通い妻っぽく。それ、いいやん~!
(長女カップルで、長女が恋人の家へ行く時、いそいそと買い物して
料理して洗い物するシーンだけはちょっとがっかりしましたが。
なんでそんな昭和の演歌の尽くす女みたいなのだ?)
誰にも支配されず、好きなように付き合って、自分の生活はそのままあって、
赤ちゃんできたら姉妹で育てればいい。
わたしの見てきた狭い経験からですが、大体の場合育児ってものは、
男と育てるより、女ばかり4人で育てるほうがずっと楽だと思う。
お父さんとも自由に会わせればいいけど、基本的に姉妹の家で育てる。
ラクだし、楽しそうだよ。わたしなら、そうしたいなぁ。
そういえば、「マッドマックス」で砂漠の生き残り女性戦士たちが現れた時に
ものすごくほっとした気分になったことを思い出しました。
男の作る世界が、あまりに安易に暴力や支配と服従や権力争いなどに
染まってしまうからでしょうか、それに比べて
自立した女たちの世界は、やっぱりほっとするものがある。
そういうことを思い出しました。全く違う世界の映画だけど。
女優たちに関して、
長女、綾瀬はるかの美肌力はすごい。うんと若い広瀬すずちゃんより
はるかに繊細で滑らかで透き通るような肌。
次女、長澤まさみはスタイル力と笑顔力。手足がすらりと長くかっこいいけど
にっこり笑った顔のかわいさは格別。
四女、広瀬すずちゃんは文句ない美少女で、本当にきれいでかわいいです。
三女、夏帆ちゃんの、のんびりとした癒し力は
ここには不可欠なものだなぁと思わせます。
こうやって四姉妹見るだけでも楽しめる映画だけど、
映画自体、かなり好きな感じだったので、ロングヒットになってるのも納得。
あと、どうでもいいけど気になったところ、
やたらと「あれ」という言い方が出てたとこ。
いや、きょうはそれは、あれだから、とか、
ちょっとあの、あれ、してて遅れちゃったのよとか、
まあそういうことは、あれだから仕方ないわね、とか、
そうなの、やっぱりちょっとあれしちゃうもんだからさ、とか
そういう使い方の「あれ」。
軽く違和感あるほど多かったけど、これは原作がそうなのかな?
それともひとつ感想、
ちくわカレーとジャコチーズトーストは作ってみようと思いました。
確かにキャスティングが絶妙!
未だに通い婚が理想なので(笑)こういう生活も経済的に自立出来ていれば、充分ありかな、と思います。絵空事でいいんです、映画だから。
長澤まさみは、ちょっとはすっぱな感じがするところも好きです。女優陣は皆魅力的でしたね。男性は全部脇役的な扱いなところも面白い。
梅仕事のシーンやちくわカレー、なんてことない食べ物の描写も良かったです。
スポーツクラブ、私は近くの別のところに10年くらい通ってました。プールは気持ちいいけど、確かに塩素注意ですね。何とかこの夏を乗り越えましょう!
生きてるだけで精一杯の暑さですね。
そうそう、この映画、男性陣がみんなダメ男(笑)。やさしいけど、いい人だけど、ダメな感じの人ばかりですね。すずちゃんを好きな男の子も、そういう風になっていくのかな?笑
通い婚はホント理想ですが、ネックは経済力でしょうかね。家があって、仲のいい姉妹が数人いたら、なんとかなりそうで、姉妹のいる人が羨ましいです。
ジム、がんばります。