非常に個人的に、やばかった。
この役のために20キロ痩せたマシュー・マコノヒーが、
昔知ってた人に何もかも似すぎていて重なりました。
猫背でうつむきがちの顔で下から見る強い強い視線。
顎から首への、しっかりしてるけど筋っぽいライン・・・。
減量前のマッチョな感じの時は何とも思わなかった、というか
全然好みじゃなくて、むしろ苦手な俳優だったんですけど、
色気と、ぼんやりした狂気、投げやりですさんだ感じなど、渾然一体で、
みっともないくらいのガリガリのマシューから、目が離せなくなりました。
キョトンとしたようなからっぽで邪気のない目、
普通でない思い詰めるような上目遣いの強い凝視の目、
いたわりの溢れる優しい目、怒りできらきら光る熱い目。
細く長い手足での大きな身振りにも、骨と皮だけの体にも、
何かねっとりした色気があって、
いやぁ、いい俳優だなぁ。
映画自体も、疲れてる時にそっとしてくれる暖かいハグみたいな、
優しいところがあって、よかったです。
(というのを読んで見に行かれたらびっくりするかも、
最初、いきなりはげしい男女のシーンからはじまるので(笑)
また、田舎、アメリカの西部みたいなところで性的マイノリティの人たちが
ひどい差別と偏見にあってきたことも描かれています。そして、
最初はマッチョな態度でゲイを忌み嫌い差別していた主人公が、
だんだん一人の人間として気持ちの柔らかい人になっていくのです。
スーパーで、トランスジェンダーの友達の尊厳を守ろうとするシーンは、
よくある脚本・演出かもしれないけど、マシューがやるとじんときたな。
真面目で無垢で泣き虫って感じの女医さんとの関係もいい。
主人公がエイズだというのもあるかもしれないけど、
安易な恋愛関係やセックスに流れず、優しいハグともたれる肩までの、
いたわりあうような大事な関係になるところが、とても好きです。
どちらのシーンもアメリカ版のトレーラーには載ってたので
今日はそれも貼付けときます。↓
テキサスで電気工をするカウボーイのロン。
酒とドラッグ、女とギャンブルの無軌道でいい加減な毎日の中
突然倒れて病院で目を覚ますと、あなたはHIVに感染してて
余命30日くらいと告げられます。
ばりばりマッチョなメンタルのカウボーイですから、
エイズなんかホモのなるもんに俺がなるワケねえっ!と最初は認めないけど
やがて調べていくうちに、同性愛者でなくても感染することを知ります。
そして当時はエイズに対する無知や偏見も今よりもっと根強く
仕事も仲間も家もなくしてしまいます。
しかし当時のアメリカでは臨床実験に使われるHIV用の薬はあっても
それは製薬会社と病院との癒着などで非常に高価で手が出ない上に
副作用や危険性が高く、症状を却って悪化させたりする。
そして、アメリカ以外の国では他にもたくさんの薬が使われていることを知り
メキシコで薬を手に入れると、症状がずいぶん緩和される。
そこで、そういった、アメリカでは無認可の薬を仕入れては売るビジネスを
テキサスの病院で知り合ったトランスジェンダーのレイヨンと共に始めますが
製薬会社・病院、そして司法に目を付けられ・・・
物語も実話がもとになってるようでいいのだけど
マシュー・マコノヒーの良さにつきますね。
マシュー見るためだけにもう一度見たいです。
マシューは、このあとまた体重を戻して、
堂々とした体のハンサムさんに戻るのかなぁ。
ガリガリに痩せて渇いて筋張った今のマシューが、
わたしは好きなんだけどなぁ・・・。
あ、もうひとつ。
メキシコで蛾?蝶の乱れ飛ぶ部屋の中で、
マシューが踊るように佇むシーンも素晴らしく印象的。
ここももう一度見たいシーンです。
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