去年の末にチラシを見て
気になってたんですよ。
でも、村上淳の顔好きじゃないし、どうかなぁと(笑)
そしたら、友達が見てきて、今年の暫定1位とかいうので
寒い日にレイトで見てきました、十三で。(風邪ひいた・・・)
十三と言うのは、息子の高校がある場所ですが
それ以前に、かなり猥雑なところです。
アダルト系のお店がい~っぱい(笑)。
その中にあるアングラな感じの映画館で、
レイトで見るのがとても合ってる映画でした。
とはいえ、映画はアングラな感じや猥雑な感じではないです。
映画としては、きれいだと思う。
人が動いたり、景色が揺れたりするのを見るという
映画を見る根源的な楽しさを感じられるシーンも多かったです。
たとえば田舎の?住宅地のはずれみたいなところを
子どもがスケボーですーっと横切る冒頭の方のシーン。
右から左へ横切って、それから蛇行する下り坂を、ところどころ
段を飛び越えながら、スケボーのがらがらーっと言う音だけを響かせて
すべって行くシーン。
車の窓に木漏れ日にきらきらする?緑の木の葉がうつるシーン。
道のコーナーにたっているミラー2つの右から左に
二人乗りの自転車とそれを追って走る人が映るシーン。
この映画が低予算で、たった12日間で撮影されたとは驚きです。
古いものでない、新しい映画で
白黒映画といえば、一昨年見た「木漏れ日の家で」(→感想)がありますが
この映画は白黒のコントラストと光の使い方が、
凛として鮮やかで繊細で素晴らしかった。
一方「Playback」は画面は白黒なのにセピアの匂いが少しします。
甘酸っぱいノスタルジーがある。優しい陰影の白黒です。
「アーティスト」も白黒映画だったけど
これは比べるほどでもないなぁ。。。
ストーリーはなんだか入れ子?螺旋?構造になってて
ちょっと混乱します、が、最近は、そういうとこ、
無理にわかろうとしないで、ただただ見る、ということができるようになったので
全然しんどくはなかった。
主人公は、40歳前の俳優の男、体調が悪く病院で良くない結果?を知り
また仕事や家庭も行き詰まってる感じの日々の中、
夢かうつつか、なぜか高校生の学ランを着て、その時代へ戻ったりする。
姿は40歳のまま、というところが面白い。
無精髭のくたびれたおっさんのまま、高校生に混じってるうちに
なんだか少し楽しくなってきたりする。
でも懐古趣味の、甘ったるい話ではないです。
嘘っぽさもない。
映画では現在と過去と、さらにもうひとつの現在?が入り交じり
時系列とか、現実にあったことかどうかとか、わかんなくなりますが
気にしないで見てても、十分いい映画でした。
俳優たちもみんないい。
特に主役の村上淳は、
やさぐれ、うらぶれて、やる気もなくて、拗ねたような目でだらりと立つ、
その立ち方、歩き方、目の表情まで、素晴らしい演技で、
ちょっとくらっと来ました。
「カミハテ商店」の寺島進も同じ系統だけど、色気は村上淳の方が上で、
永瀬正敏が「贅沢な骨」(→感想)の中で演じてた役は雰囲気が近いなぁ。
これくらいの男の、疲れてやる気のないやさぐれた感じって、中々いいものです。
こういうダメさって、もてるだろうなぁと思った(笑)。
なんだかストーリーの説明にもなってない感想だけど
見た直後は、これは感想は書けないなぁと思ってました。
いい意味で。でも無理矢理書いたわ。(笑)
高校時代、共学で、楽しい思い出もある、今は大人の男子たちは
見た方がいいよ、この映画!おすすめです。
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