「ひまわり」を劇場で見てから
同じソフィア・ローレンとマストロヤンニが主役、
監督もビットリア・デ・シーカの、コメディ映画をDVDで見てみました。
なんとなく借りて見たのに、すっごくよくて、得した気分の映画。
「ひまわり」は堂々の名作だけど
この映画も同じくらい好きだわ、わたしは。
別々の3つの話の主人公を、どれもこの二人が演じているのだけど、
アメリカ映画で言うなら「アパートの鍵貸します」
「7年目の浮気」の雰囲気でしょうか。イタリア版で。
1作目は貧しい子だくさんのおかみさん。
借金を返せないソフィア・ローレンが、
妊娠出産育児期間はつかまらないというので
延々と子どもを作り続ける夫婦のコメディ。
たくましく大らかで生命力にあふれる下町の奥さんの役を
すごくのびのびとやってるし、
下町の人々や街の風情も、見てて楽しい映画です。
マストロヤンニも奥さんを愛しながら
体力不足で夜の求めに答えられない失業夫を、
やさしく情けない感じで楽しそうに演じてます。
2作目は、一番「アパートの鍵貸します」っぽい。
気のいいコールガールと、それに首ったけで
振り回され、おあずけばかりくらう実業家のボン。
やさしいコールガールののぼせる隣りの神学生。
3作目は少し雰囲気が変わってペーソスがある話。
上流セレブの有閑夫人としがないインテリ作家(記者?)のドライブ。
束の間の甘い関係に酔い、
自分のリッチな生活の虚しさを訴えるセレブ女だったのに、
突然道に飛び出してきた子どもをよけて、
乗ってた高級車が故障したことで、豹変する。
物乞いの子どもなんかひいても構わない、という勢いで
作家に対し、貧乏人にこんな車が運転できるわけなかったんだわ!と
当たり散らし、通りがかったお金持ちの男の車に乗って去ってしまう。
残された作家は、渋い顔で煙草を吸う。
女に振り回される、情けなくも愛嬌のあるダメ男のかわいさもいいし
こういう苦みばしった大人の男の顔もいいし、
マストロヤンニはやっぱりいい俳優だなぁ。
しかし
「ひまわり」では切実さとたくましさの権化だったソフィア・ローレンが、
こちらでは3作ともそれぞれすごく美しい。
下町のおかみさんでも、無知なコールガールでも
自己中セレブでも、それぞれすごく美しく
大女優だなぁと思う。
中でもわたしが一番好きなのは1作目のパワフルで明るい役。
まさにひまわりの花のようなおかみさん役の時が一番好きで
一番きれいに見えました。


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