今週も頑張って行きましょう!!
高校講座で勉強しました。今日の教科は;
【化学基礎】第6回 原子
今日は、「原子のミクロの世界」を見ていきます。
▶物質は小さな粒子でできている?
どちらも100mL
混ぜても200mLにならない
100mLの水と、100mLのエタノールの2つの液体を混ぜると、体積は何mLになるでしょうか。
ケンは200mL と予想しましたが、実際にメスシリンダーの中にエタノールと水を入れてみると、約194mL という結果でした。
ガラス玉で実験
200mLにならない
なぜ200mLにならなかったのでしょうか。
同じことを、大きさの違うガラス玉を使って試してみます。
大きい玉と小さい玉をそれぞれ100mLずつ用意し、混ざり合うようにメスシリンダーに入れます。
このときの、体積は約185mLです。
よく見ると、大きなガラス玉の間に、小さなガラス玉が入り込んでいます。
混ぜ合わせた時の体積が、最初の体積の合計より小さくなってしまうのは、このためです。
水100mLとエタノール100mLを混ぜても200mLにならなかったのは、これと同様の理由です。
エタノールの大きな粒子の間に水の小さな粒子が入り込んでしまうため、200mLにならなかったのです。
この現象は、物質が小さな粒子からできていると考えないと、うまく説明できません。
渡辺 智博 先生(立教新座中学校・高等学校 教諭)
物質が小さな粒子でできていることを実験で確かめましたが、ケンはまだ うまくイメージできない様子です。
そこで、特別研究員の渡部 智博 先生(立教新座中学校・高等学校 教諭)とともに、別の実験で確かめてみます。
「物質は小さな粒子からできている」という考え方は、古くは古代ギリシャの時代にさかのぼります。
当時の哲学者 デモクリトスが「すべての物質は小さな粒子でできている」と考えましたが、多くの人は信じませんでした。
時代は進みおよそ200年前 イギリスの 科学者ジョン・ドルトンは、「気体が水に溶けるのは、水を構成する粒子の隙間に気体の粒子がはまることではないか」と考え、そのことをきっかけに「原子説」を唱えました。
しかし、それもすぐに受け入れられたわけではありませんでした。
その後、「物質が小さな粒子でできている」と考えることで、いろいろな実験や現象をうまく説明できることが次第に分かってきました。
その現象の1つに「ブラウン運動」と呼ばれる現象があります。
牛乳を数滴水に入れて薄める
水の粒子が脂肪の粒子を動かす
ブラウン運動を実際に見てみました。
牛乳を数滴 水に入れて薄め、それをスライドグラスに載せてカバーグラスでふたをし、顕微鏡で観察します。
すると、白い粒が細かく動いている様子が観察できました。
ローザ 「虫みたいに、ウョウョ動いている。生きているみたい……。」
渡部先生 「ローザさん、それは生きているのではなくて、脂肪の粒なんですよ。」
ケン 「先生、どうして小さな粒が、このような動きをするんですか?」
渡部先生 「それは、牛乳の中の脂肪の粒を、さらに小さな水の粒子が動かしていると考えられます。そう考えると、脂肪の粒の動きが説明できるのです。」
ローザ 「小さな粒子が、大きな粒子を動かす……。どういうことですか?」
ブラウン運動体感マシーン
ビー玉が赤い玉を動かす
ここで、「ブラウン運動・体感マシーン」を使って確かめてみます。
赤い円柱状のものを脂肪の粒、水色のビー玉は水の粒子だとします(右図)。
箱を揺らすと、小さなビー玉が赤い玉に当たって動きます。
つまり、水の粒子が脂肪の球に当たって動かしている様子が再現されています。
水の粒は常に熱運動によって動いています。
そして、その水の粒子がぶつかって脂肪の粒を動かしているのです。
▶原子の大きさと質量
水分子は酸素原子と水素原子からなる
原子の種類によって大きさ・質量が決まっている
これまで見たように、さらさらの水も小さな粒子である水分子からできています。
そして水分子は、酸素と水素が結びついたものです。
酸素や水素のように、物質を構成する基本的な粒子を「原子」といいます。
原子は、
・化学変化によって、それ以上分けることができない
・化学変化によって新しくできたり、なくなったり、別の原子に変わったりしない
・種類によって大きさや質量が決まっており、大まかに表現すれば1億分の1cmほど
という性質があります。
たとえば酸素原子と水素原子とを比べると、酸素原子の直径は水素原子の2倍、質量は16倍にもなります。
アルミニウム原子は1円玉に1億個並ぶ
アルミニウムの質量は1/220億×1兆g
ケン 「ところで原子って、どのくらいの大きさなんですか?」
所長 「とても小さい。たとえばこの1円玉と比較してみよう。1円玉はアルミニウムでできている。アルミニウム原子を1円玉の直径2cmの長さに並べるとおよそ1億個並ぶことになる。」
ローザ 「では質量は、どのくらいなんですか?」
所長 「1円玉の重さが1g。この中には、アルミニウム原子が、220億個のさらに1兆倍含まれている。つまり1個のアルミニウム原子の質量は、『220億の1兆倍』分の1gだ。」
ケン 「この小さな原子、自分の目で見ることはどうしてもできないんですか?」
所長 「方法がないわけではない。自分の目で見届けるがいい!ケミカルワールドの神秘を。」
▶原子を見る
物質・材料研究機構の宝野 和博さん
試料はタングステンの針
ケンは原子を見るため、茨城県つくば市にある、物質・材料研究機構を訪れました。
案内していただくのは、磁性・スピントロニクス材料研究拠点長の宝野 和博さんです。
原子は、電界イオン顕微鏡という特殊な顕微鏡で見ることができます。
原子を見るための試料は、金属元素の一つであるタングステンでできた、非常に細い針です。
タングステンの針を拡大した模型
六角形の構造が並ぶ
宝野さん 「使っている試料は、こういう非常にシャープな針なんです。この針の先端をクローズアップしていきます。先端を、拡大してみるとこの模型のようになります(左写真)。丸くなっていますね。原子レベルで見ると、この模型のようにステップ状に並んでいるんです。このステップの周囲にある原子だけが、見えるという仕組みです。」
針の先端には、模型のような六角形の構造が何万個と並んでいるといいます。
実際に倍率100万倍で観察すると、右写真のように原子が並んでいる様子が見えました。
明るく輝く点の一つひとつが、タングステンの原子の姿です。
3次元アトムプローブ
試料に高電圧をかけ、飛び出した原子を検出
さらに、金属の内部まで立体的に見ることができる、3次元アトムプローブという顕微鏡も開発されています。
この顕微鏡は、金属に高い電圧をかけることにより、飛び出した原子をとらえて映像化します。
表面だけではなく、内部の原子の並び方まで見ることができます。
ネオジム磁石
緑の点はネオジム原子、赤い点は銅原子
原子の位置を3次元的に視覚化
3次元アトムプローブを使って、ネオジムや鉄などの合金から作られる強力な磁石=ネオジム磁石の内部を見てみます。
中写真の緑色の点がネオジム原子、緑色の中に混じっている赤い点は、銅の原子です。
この研究によって、原子の種類や位置と、磁石の強さの間には深い関係があることが分かってきました。
弱い磁石は結晶同士の境界に何も見えない
弱い磁石は結晶同士の境界がはっきりしない
2次元の写真で合金内の結晶同士の境界を見たときに、弱い磁石の場合は結晶と結晶の間に何も見えません。
3次元の映像で見ても境界線は、かすかにしか見えません。
強い磁石は結晶同士の境界にネオジムが集中
赤い点は銅原子
これを、ネオジムや銅を加えて改良した強力な磁石と比べてみます。
強い磁石の場合、2次元・3次元ともに、結晶と結晶の境界の部分にネオジム原子が集中している様子が見られます。
3次元の画像に見られる赤い点は銅の原子です(右写真)。
強い磁石を作るには、
・ネオジムなどの原子が金属の結晶の間に入り込んで層を作る
・この層に微量な銅が含まれる
ということが重要だと分かってきました。
宝野さん 「こういうふうに物質の内部の原子を3次元的に、立体的に、いろんな方向から見る。するといろいろな材料の中に入っている微量元素の役割が分かってきます。」
原子が見えれば構造が分かる
次回もお楽しみに~
所長 「先生、現代の科学は、物質に含まれる小さな粒子・原子を直接見ることができるようにしました。さらにその構造を変え、新しい物質を作り出す段階に入ったということですね。」
渡部先生 「そのとおりです。たとえば、ある材料の原子が見えれば、材料の構造を調べたことになります。先ほどの研究で紹介されたネオジム磁石のように、その材料が “どんな元素からできているのか、原子がどんな並び方をしているのか、どんな不純物がどのように入っているのか” が見えたということです。」
所長 「それらが分かると、どうなるんですか?」
渡部先生 「その材料がどうしてそういう性質なのかも分かってきます。そうすれば、うまく構造を作りかえることで、材料の性質を変えることもできるようになるということです。そして、どんな構造にすれば良い材料ができるかまで、予想がつくようになります。そのためには、まず原子の世界を よく知る必要があるんですね。」
所長 「この技術を応用して、新しい物質を作る時代はもうすぐですね。ところで、2人は新しい物質を作り出すことができるとしたら、どんなものを作りたい?」
【家庭総合】第7回 子ども
子どもの不思議に迫る ~乳幼児期の発達~
なぜ未成熟のまま生まれるの?
乳幼児期の発達の目安
▶乳幼児の行動にはどんな意味がある?
指差しをする赤ちゃんへの対応は?
質問を連発する子どもへの対応は?
泣きは、まだ言葉を持たない赤ちゃんが発する重要なコミュニケーションのサイン
指差しは、自分が興味のあることを他の人に知らせる、言葉の発達の直前に出てくる行為
質問の連発は、行動範囲が広がり興味の対象も増加、知りたいという知的好奇心の現れ
因果関係ではなく、子どもが納得できるような答えを用意する
そして、「なんで」を連発するのは、行動範囲が広がって興味の対象も増え、それを知りたいという知的好奇心の現れです。
岩立先生「因果関係を聞いているんじゃないんですね。そこで難しい科学的なことをしゃべっても、子どもが理解できるとは限らないんです。」
子どもの知的好奇心を保ち、高めるようにすることが大切で、それをともに経験していくことは、とても意味のあることです。
▶人見知りで泣くワケ
人見知り泣き
でも、子どもの発達の過程では、子どもは時として周りの人を困らせる行動を取ることがあります。
代表的な2つを、対応のしかたとあわせて見ていきましょう。
遊びに来た仲良しのママ友。
お母さんが、生後11か月の娘を抱っこしてもらおうとすると、泣いてしまいました。
ひわゆる「人見知り泣き」です。
どんなに泣いていても、お母さんの手に戻ると泣きやみます。
なぜこんなことが起きるのか、ある実験をしてみました。
お母さんの顔ばかり見ている
赤ちゃんの目の前の画面に、お母さんと知らない女性の顔を並べて映して、視線の動きを測定します。
はじめに、まだ人見知りが始まる前の赤ちゃん。
赤い点は、赤ちゃんが見ている場所です。
じっとお母さんの顔ばかり見ています。
知らない人の顔を見ている
一方、人見知り真っ盛りの赤ちゃんは、知らない女性の顔を見ました。
実は、赤ちゃんの脳は生後半年くらいまで、母親などの特に身近な人しか認識できません。
少し成長すると、それ以外の人の顔も認識して、関心を持つようになります。
このとき始まるのが、人見知りなのです。
目が合うと反射的に恐怖が沸き起こり、警戒心が高まる
人見知り泣きを回避するには
どうして泣いてしまうのかというと、動物は基本的に相手を威嚇するようなときにしか、目を合わせません。
そのため、目が合うと反射的に恐怖が沸き起こり、警戒心が高まります。
人間も同じです。
大人なら、恐怖を抑えることができますが、赤ちゃんはそれが出来ないため、恐怖を感じて泣いてしまうのです。
人見知り泣きを回避するためには、赤ちゃんの目を直接見ないこと。
そして、お母さんと仲良しだということを赤ちゃんにアピールするとよいそうです。
▶イヤイヤ期の脳のはたらき
そして、もうひとつ。
子育てで一番大変な時期と言われる「イヤイヤ期」。
このころの子どもは、自分の欲求を我慢できず、激しいかんしゃくを起こしたり大泣きしたり…。
乱暴な行動に出てしまった
3歳の男の子。イヤイヤ期が、もう1年近く続いています。
ある日のこと、一緒に遊んでいた弟が、おもちゃを取ってしまいました。
すると、乱暴な行動に出てしまいました。
本能的な欲求を抑える前頭前野がまだ発達していない
イヤイヤ期の子どもが目先の欲求を我慢できないのは、脳の働きに理由があります。
本能的な欲求を抑える「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という部分がまだ発達していないのです。
やがて脳が発達すると、イヤイヤ行動は次第におさまっていきます。
自分から弟におもちゃを貸してあげた
上手にがまんができた
多くの親たちを悩ませているイヤイヤ期の行動。
それは、未熟な脳がゆっくりと、しかし着実に育っていく過程なのです。
▶子どもの育つ力
南野忠晴先生
子どもは生まれながらに自ら育つ力を持っており、それを引き出すことが保育
子どもの育つ力について、南野忠晴先生に教わります。
子どもの発達には個人差があります。
その違いを前提に考えず、心配しすぎるのはよくありません。
泣いたり、指差しをしたり、いろいろなことをして働きかけていくように、子どもは生まれながらに、自ら育つ力を持っています。
その力を十分に引き出すことが「保育」です。
そして、その基本に「愛着(アタッチメント)」があります。
▶赤ちゃんのコミュニケーション力
生後5か月の赤ちゃん
テレビ画面を通してコミュニケーション
赤ちゃんが自ら育つ力を発揮するために重要な「愛着」とは、どういうものなのでしょうか。
まず、実験を見てみましょう。
生後5か月の赤ちゃん。
まだ、言葉を使ってコミュニケーションを取ることはできません。
この赤ちゃんを、テレビ画面の前に寝かせて、お母さんは隣の部屋に移動します。
赤ちゃんの前の画面には、別室のお母さんが映る仕掛け。
お母さんも、画面で赤ちゃんの様子を見ることができます。
コミュニケーションが成立した
テレビ画面を通してでも、お母さんにあやしてもらった赤ちゃんはニコニコしています。
赤ちゃんが笑うと、すかさずお母さんも笑い返します。
すると赤ちゃんは、ますますご機嫌に。
コミュニケーション成立です。
赤ちゃんは不機嫌になった
ここで、ちょっと細工をしてみます。
赤ちゃんに見せる映像を、録画した映像に切り替えます。
すると、赤ちゃんは機嫌が悪くなってしまいました。
録画だと、テレビ画面に映るお母さんは自分の動きに反応してくれません。
赤ちゃんは、その不自然さを敏感に感じ取っていたのです。
▶愛着(アタッチメント)の形成
愛着(アタッチメント)とは、信頼感を基礎にした特定の相手との心のきずな
馬場さん「この実験と『愛着』とは、どういう関係があるんですか?」
南野先生「投げかけたものに対して、すぐに反応してくれる。その繰り返しの中で『全面的に信頼して大丈夫』というのが築かれていく。積み重ねなんですね。」
「愛着(アタッチメント)」とは、信頼感を基礎にした特定の相手との心のきずなです。
愛着関係を築きやすいのは主にお母さんですが、いろいろなケースがあります。
お父さんや、おばあちゃん、おじいちゃん、あるいは保育士さんなど、いちばん身近で相手をしてくれる人との間に、まず愛着関係が生まれます。
愛着は子どもが外の世界を探索する際に安全基地の役割を果たす
高校生も愛着の対象になれる
赤ちゃんは周りの人と愛着を形成し、それを「安全基地」として世界を広げていきます。
そして、高校生でも、赤ちゃんに関わることによって、その愛着の輪の中に入っていくことができます。
馬場さん「『あ~、かわいいね』だけでもいいから、コミュニケーションを取ることによって、愛着の広がりになる。」
南野先生「赤ちゃんにとっても、自分にとっても、みんなにとって。社会で子育てするっていう形につながっていくと、もっといいですよね。」
▶わたしと仕事~キミのトビラを選べ
島田涼風さん
島田さんの仕事風景
お客さんに愛されるプロの店員でありたい
【 生物基礎】第6回 呼吸
1.なぜ酸素が必要か 2.呼吸という反応 3.ミトコンドリアの構造とはたらき
今日のテーマは「呼吸」。
そして、「吸った酸素は 体内でどう使われる?」です。
今日は、肺で吸った酸素の行方ついて、考えていきましょう。
▶ポイント1 なぜ酸素が必要か
私たちは、呼吸によって酸素を体の中に取り入れています。
では、なぜ酸素は必要なのでしょうか?
食事のことを考えてみましょう。
食事をして、有機物のグルコースなどを細胞の中に取り込みます。
そして、細胞の中で、その有機物からエネルギーを取り出していました。
このエネルギーを取り出す反応で、酸素が使われているのです。
グルコースなどの有機物が分解され、酸素と反応し、エネルギーが得られます。つまり、酸素がないとエネルギーを取り出すことができないのです。
こうして、酸素と有機物から取り出されたエネルギーが形を変えて、体温を上げたり、筋肉を動かしたり、さまざまな生命活動のエネルギーとして利用されます。
だから酸素を体内に取り込むことができなくなると、エネルギーをつくることができなくなって、生物は活動できなくなってしまうのです。
▶ポイント2 呼吸という反応
生物学的にいうと、「呼吸」は、肺で息をして酸素を取り込むことだけではありません。
細胞の中で、その酸素を使って有機物エネルギーを取り出すことも含めて、「呼吸」と呼んでいます。
呼吸について、もう少し詳しく見ていきましょう。
中の式が「呼吸の反応式」でした。
酸素を使って、グルコースなどの有機物を水と二酸化炭素に分解するとき、エネルギーが出るのです。
では、この「呼吸の反応式」を、右の式「燃焼の反応式」と比較してみましょう。
燃焼の反応式も、酸素と有機物からエネルギーが出て、水と二酸化炭素になる、というものです。
つまり、「呼吸の反応式」は、「燃焼の反応式」とまったく同じということがわかります。
しかし、「呼吸」と「燃焼」の反応は、違うところもあります。
マルとマルタの「生物マルマル探検隊!」
●呼吸と燃焼の違いは、何だろう?
「呼吸」と「燃焼」の大きな違いは、2つあります。
まずは1つ目の違いを調べるために、ピーナッツに火をつけて燃やします。
・モノを「燃焼」させるには、火をつけるなどして、高い温度にする必要があります。
・しかし、「呼吸」は、体温ほどの温度ても、反応が起こります。
では、温度が高くなくても、呼吸の反応が起こるのは、なぜでしょうか。
それは、体の中には「酵素」があるからです。
呼吸では、酵素が反応を進めるので、体温ほどの温度でも、有機物からエネルギーを取り出だすことができるのです。
次に2つ目の違いは、反応の速度です。
まずは、燃焼の場合の反応の速度を見てみましょう。
空き缶の中にアルコールの霧を入れ、プラスチックのコップを被せ、アルコールに火をつけます。
爆発してコップが飛びました。
・燃焼は、有機物を一気に燃やすので、大きなエネルギーが一気に発生します。
このとき発生するエネルギーは、熱や光になります。
・一方、呼吸では、ゆっくりと有機物を分解し、化学エネルギーになります。
燃焼と呼吸の違いをまとめます。
●反応を始めるきっかけ
燃焼の場合:火をつけるなど「高い温度」が必要です。
呼吸の場合:体温程度の「低い温度」で反応が進みます。これは「酵素」のおかげです。
●発生するエネルギーの形
燃焼の場合:「光と熱エネルギー」一気に放出されます。
呼吸の場合:反応がゆっくり進み、「化学エネルギー」の形で取り出され、細胞の中の「ATP」に蓄えられます。
▶ポイント3 ミトコンドリアの構造とはたらき
呼吸の反応は、細胞の中で起こっています。
しかし、細胞の中には、いろいろのものがあります。呼吸は細胞の中のどこで起こっているのでしょうか。
実は、呼吸の反応が起こっているのは、ミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官です。
生きている細胞のミトコンドリアを観察してみましょう。
観察するのは、マウスのしっぽの細胞です。
生きたまま観察するために、細胞の中に、蛍光たんぱく質という、青い光を当てると光る物質を入れてあります。
これを特殊な顕微鏡にセットします。
すると、中の写真、緑色に光っているたくさんのミトコンドリアが観察することができます。
右の図は、時間を縮めて見たミトコンドリアの様子です。
ミトコンドリアは、細胞の中でじっとしているのではなく、動いていまっす。
図は、動物細胞のミトコンドリアを描いたものです。
ミトコンドリアは、中の図のように、外と中の二重の膜で包まれていて、この中に呼吸に関わるいろいろな「酵素」が含まれています。
この酵素のはたらきで、体温程度の低い温度でも、酸素と有機物が反応してエネルギーが放出され、ATPがつくられるのです。
そして、最近の研究でミトコンドリアの新たな事実がわかってきました。
今回の生物案内人は、開成中学・高等学校の奥脇亮先生です。
●ミトコンドリアについて新たに分かったことって何ですか?
さきほど見た、マウスの「しっぽのミトコンドリア」は、細長い形でした。
一方、右の図、赤く見えるのは、マウスの「神経細胞のミトコンドリア」の鏡映像ですが、形が全然違いますね。
実は、ミトコンドリアは、どこの細胞のものかによって、形が違います。
神経細胞では、ミトコンドリアは多くのエネルギーを必要とする場所へ、細胞の中をものすごい速いスピードで運ばれていきます。そのため運びやすいように小さい粒のような形になっているのです。
それから、ミトコンドリアは組織によって決まった量にコントロールされています。
年齢を重ねると、体の調子がおかしくなってくることがあります。これは、ATPをつくる能力が落ちた異常なミトコンドリアの割合が増えて、細胞全体でつくるエネルギーの量が減ってしまうことが1つの原因ではないかといわれています。
他にも、ミトコンドリアと病気との関係など、いろいろな研究が進んでいます。
最後に、これだけは覚えておいてほしい「実になる一言」!
今日の一言は、「酸素の終着点はミトコンドリア」です。
呼吸で吸った酸素は、細胞の中のミトコンドリアに運ばれ、有機物からエネルギーを取り出すために使われます。
今週、も頑張って高校講座で勉強します。
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