さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

様々な不備、そのしわ寄せは全て選手へ 山中慎介敗戦、無念の引退

2018-03-02 03:03:44 | 関東ボクシング



昨夜は会場にて観戦しました。

試合自体については、もう、見たままです。
ルイス・ネリーの背中が、山中慎介の上体より一回り、二回り大きく見え、
試合開始早々、山中が右リードから左と繋げているさまを見ていながら、
これでは勝負にならないだろう、という、暗い予見が心中に広がりました。

時間にして一分半か二分くらいか、ネリーが手を出し始めると、
いとも簡単に山中がダメージを受け、立て続けに倒される。
想像していたよりもさらに悪い、悪夢のような時間が過ぎ、試合は終わりました。



この再戦について、ドーピング問題を容認するようなものだから組むべきでない、
という意見がありました。帝拳も組むべきでない、山中も出るべきではない、と。
それはひとつの筋論である、と私も思いました。

しかし、ボクサーが、敗れた相手に雪辱したいと思うのは当然だし、
他のスポーツではあり得ない、ドーピング陽性に至った事情を斟酌する裁定が出る、
異様な現実を飲み込んでまで、再戦出来るものなら、それを闘うしかない。
山中慎介の心情はおそらくそういうものだったろうし、その一点において、
私はこの試合を、ボクシングの試合として、見ることにしました。



しかし試合前日、その前提が大きく崩れました。
前日のローマン、松本戦も観戦するがため、東京に着いた午後のことでした。

ことの推移は、ご存知の通りですので省きますが、現実の日時と数字を記せば、
「試合当日、試合開始の約8時間前に、128ポンド以下」なら、報酬減額なしで試合出場、という
これまた、異様な取り決めのもと、ネリーがリングに上がることとなったのです。

私はこの事実を知ったとき、ここで初めて「試合自体を中止にすべき」と思いました。
2.3キロオーバー、Sバンタムでもオーバーです。
キロかいな、ポンドやなしに?と驚きましたし(そりゃ、ポンドでもダメですが)、
ヘビー級の話じゃなく、バンタムでそんなハンデがついて、試合になるわけがないと。

しかも、上記のとおりの、きわめて低いハードルでの試合挙行。
本田会長が、誰とどんな経緯で合意したのかわかりませんが、
約10年前、ロレンソ・パーラが坂田健史との第三戦で計量失格した際は、
金平圭一郎会長が「試合当日、試合開始の約4時間前に、118ポンド以下」という
厳しい条件を王者に突きつけ、実行させた例があります。

今回、もしも夕方に126ポンドまで、という縛りをかけていたなら、
昨夜の試合があのように一方的になったかどうか。
結果はどうであれ変わらなかった、という意見もありましょうが、
少なくとも、見終えて納得感が違った、とは言えるでしょう。

今回、本田明彦会長の、山中のマネージャーとしての仕事には、
ファンの目には、非常に物足りない部分があります。
試合後のコメントも納得しがたいですが、何よりも、選手のために
出来ることは全てやる、という気概が、そうした行動を取った形跡が見えません。
高額報酬を支払うことだけが、選手への貢献ではないでしょう、と思います。

さらに、この当日計量が報道陣に公開されていない、というのも、異常です。
一度、関係者諸氏に聞きたい。「公開しない理由」は何なのか。
出来ればわかりやすく、人間の言葉で教えてくれ、と。



以前、もう10年、もっと前か、このような事例で日本の選手が負けた時に、
報酬減額、出場停止などを組み合わせた、罰則規定のようなものを作り、
統括団体などに提案してみてはどうか、と考えたことがありました。

しかし、その後、日本のみならず、世界でも起こるこうした事態については、
体重超過の度合いに応じて、興行的側面を含めて考慮され、
妥当と言っていいかどうかは別にして、その都度、合意形成の元、
試合が行われる事例を、数多く見てきました。

そして、今回の事例は、その「度合い」を大幅に逸脱しています。
おそらくですが、この試合がベガスで予定されていたら、ネバダのコミッションが、
絶対に試合を許可しないでしょう。1~2ポンドの話じゃないんですから。

つまり、あまりに酷い場合、罰則規定、ルール以前の問題として、そんな試合、やれるわけがない。
だから、ルールを定める必要などない。それが、世界のボクシング界の趨勢なのかもしれません。


そして、それを敢えて挙行せねばならない、日本のボクシング界には、
そもそもの構造的欠陥がある、と言わざるを得ないでしょう。
興行者は大きな試合ともなれば、TV局の枠内に固定される前提でしか動けず、
こうした問題を管理するコミッションも、興行事情に追随するのみ。
歯止めも決まりも何もない。ご都合と、体裁を繕う作業の繰り返しです。

或いは、今回の場合、海外なら、岩佐亮佑の防衛戦をメインに昇格させたかもしれません。
しかしこれまたご覧のとおり、13位の...という以上に中身のない格下挑戦者とのカードでは、
そういう仮定さえ成り立ちはしません。
これが仮に、和氣慎吾との対戦が組まれていれば、最悪メインが中止でも...と思えたかもしれませんが
(それも無理がある仮定だ、と言われればそのとおりかもですが)。


それにしても、前日計量制が定着して以来、もう何度も、こんな事態に直面していながら、
国内のボクシング関係者は、いざとなったら右往左往するのみです。
そして、そのしわ寄せは、結局、全部選手が被っている。

昨日今日始まった話ではないにも関わらず、そのための用意が、万が一の備えが
何一つなされておらず、そのために今回、山中慎介という名王者が、
こんな納得感のない試合を最後に引退する事実は、関係者諸氏が心底恥ずべきことであり、
断じて繰り返してはならないことです。




...毎度のとおりまとまりのない文章になってしまいました。
今回はひとまず、このくらいにしておきます。
他にも言いたいこと、書いておかねばならぬことはいくらでもありそうな気がしますが、
今はそこまで手が及びません。ご容赦ください。

しかし、本当に、この試合は中止にすべきでしたね。
そりゃ、遠路はるばるやってきて、メインが飛べば残念ではありますが、
こういう場合だけは、仕方ないと思います。
実際の試合(というか、試合じゃないですが、あんなの)がああだったから言うのではなく、本心から。




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28 コメント

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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-03-07 07:16:51
>元おっさんボクサーさん

お久しぶりです。今回の試合は競技経験のある方にとり、どう見られたかですが、私はファンの立場から、「壊れた」という言い方は極力避けています。今回の山中が、試合前からそういう状態だったか、と言われると、そう思いたくはない、という言うしかありません。「その瞬間」を見せられた、ということかもしれませんが。
その原因が、山中の歴戦の疲弊からくるものであり、それが力と技によって形になった、ということなら良かったのですが、そうではなかった、とも思います。また、計量の件以降、山中の心身が普通の試合前のそれとは、明らかに違った状態にあったのでは、とも強く感じました。


>NBさん

ドーピングについては、長らく、心の片隅で「これは...」と思うことは多々ありました。ただ、ボクシング界の検査態勢が杜撰なものだっただけで、ここ数年、外部の検査機関が入るようになった途端、まあ出るわ出るわ、という勢いです。
ネリーやカネロなど、たぶん当然故意に、意図的に、さらにいうなら計画的にやっていたのでしょう。検査を受ける際は引っかからないようコントロールしていたものが、ミスをして微量の検出、ということになったのだ、と見るべきでしょう。

尾川については、アトピーの薬を使用していることを、帝拳陣営が把握していなかったという話を聞きました。日本のジムとボクサーの関わりは、ある部分濃密な反面、完全な管理が出来ていない部分も多々あるでしょうから、ありそうな話だとは思います。目薬の話はちょっとわかりませんが、事情どうあれ、禁止薬物の効能をもって練習し、試合をすることが不公平であり、それ自体が違反ですから、どういう経緯で薬物を摂取したかは、処分の際に考慮する要素ではない、それがスポーツの世界で常識とされています。ボクシングだけでしょう、故意じゃないからどうのこうの、って言うたり聞いたりしているのは。
しかし、WBCでいえばネリーを救済するためのつじつま合わせで、オルティスも試合が出来るようになった経緯を見ていると、カネロもなんだかんだといって、そのままゴロフキンと闘うのでしょう。尾川については団体が違い、ネバダ州のアスレティック・コミッションが直に扱う案件なので、WBCより厳しい処分がなされるだろう、という見込みでしたが、いつまでたっても結論が出ませんね。剥奪は避けられない、という意見と、そこまでいかず再戦、という話と、両方の見込みを聞きましたが、本当にどうなるものやら。私は剥奪されて仕方ないと思うのですが、こればかりは何とも言えませんね。


Unknown (NB)
2018-03-07 01:08:05
皆さん凄い勢いでしたので、コソ~ッと、すみません(笑)。
ネリは故意に…って自分も思いますが、という前提で。
でも、尾川にたいしては何かの間違いやろ、肉食っただけやろ、故意なわけない、と思っています。
何これ…って感じ。
なんかドーピング検査がわからんな~て思ってるんですが。
今日カネロに出ましたが、なんでメキシカンてよう出るんですか?みんな故意にって事ですよね、じゃ尾川も故意しかない?

武井壮は、ドーピング違反の話になったら凄い剣幕で犯罪者くらいの勢いで怒ります。
目薬してボクシングの試合出て相手をボッコボコにします、が、ドーピング陽性になり、武井壮に犯罪者扱いされて叩かれたら、たまらんですね(笑)。目薬とは、こん前の冬季オリンピックの日本選手の話なんですが。
陽性でも目薬からなら、違反ではない!て話になるわけないですよね、陽性ですから。
なんか、ようわからないです、出てしまえば故意か故意じゃない、の話で、ある意味可哀想な場合というか、尾川や目薬君は可哀想派ですが、ネリは人として失格、まぁプラス体重超過ですから。
またわからなくなってきました(笑)。
さぁ、カネロはどうなるのか…。
ご無沙汰しております。 (元おっさんボクサー)
2018-03-06 22:09:21

お疲れさまです。
何年振りのコメントでしょうか

山中選手
残念でした

がしかし
ネリの暴挙に非難が集中しすぎ
本当の問題には誰も触れていない。

わずかに本田会長がやんわりと‥

結論
文字にすると少々以上にキツいですが

山中選手
完全に壊れてました。

正直 試合をしたらアカン!
レベルやったんでしょうね。

右(左)ジャブで倒れる選手は試合に出てはいけません。

ボクシングを外から本気で見続けらした
さうぽんさんは
意味を理解してくださるかと。

コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-03-06 18:59:44
>海の猫さん

今回のレフェリングも、流行の「忖度」という表現は、割と的確なのかもしれません。本田会長は権力者ではありましょうが、全能の神ではもちろんなく、周りの人々が勝手にその意を慮って、という出来事は、色々あるのだと思います。それらの物事に、知らず知らずに飲み込まれてしまっている、という面があるのかもしれない、とも。

かつて、帝拳のある選手が敵地で地元判定を食らい、場所をホールに移した同一カードの再戦において、スプリットの判定で負けたとき「前回はともかく、今回、この内容は明らかにウチの負け(=判定が割れる試合ではない)。こんな判定は止めてくれ。意趣返しみたいに思われる。ボクシングそのものの信用に関わる」ときっぱり言った、という話を聞いたことがあります。もちろんその頃から「専横」としか言いようのない現実はあったにせよ、人の上に立つ人間はこうでなくては、と感心もしたものです。しかし最近の言動を見ていると、かつての明晰さはどこへ行ったのか、と思うことが多いですね。そもそも自ら、表立って個人的見解を披瀝すること自体、意図して控えていた印象もありましたが、最近はそのあたりからして変わってきています。かつて青年会長として、業界の旧弊に対してきた人物でもありますが、もう「時」は過ぎたのかな、と思わざるを得ないですね。残念なことですが。

過分なお言葉、恐縮です。拙いブログではありますが、今後ともよろしくお願いします。良いことも悪いこともありますが、何でも気軽に書いていってください。



Unknown (海の猫)
2018-03-06 09:05:03
おっしゃる通り、この手のレフェリングは時折見られるものであり、それらは開催地や世間の空気を考慮したものなのか、主催者への忖度なのか、はたまた単なるミスなのか、はっきりとは分かりません。
ただいずれにせよ、選手の身を危険にさらすものであり、今回のような体重差マッチでは、普段以上に慎重なレフェリングであって欲しかったと思っております。

何度もご丁寧なレスありがとうございました。
このブログは大変勉強になり、また、今回のような時は気持ちが救われております。
今後もよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-03-05 14:40:57
>海の猫さん


昨日のワイルダー、オルティス戦でも、レフェリーによったら7回ストップでオルティスの勝ちにする人おるやろう、と思います。しかし、アメリカ人であるワイルダーに、回復、逆転の可能性を与えるために、けっこう長い時間打たれていても止めない。あれ、逆だったらどうかな、と思ってしまいました。キューバ人がストップされても、文句言うのは少数派だし、メディアが批判することもない、という状況の上で、判断がなされているのだろうな、と。
山中の試合のレフェリーも、スリップ自体はコンパクトで速いパンチだったから見落としたのかな、と思う反面、逆だったらダウンをスコアしていた可能性はありますね。
しかし、歴代の名レフェリーと言われる人たちも、その状況を考慮した仕業がけっこうあったりします。リチャード・スティールは有名なチャベス、テイラー戦で物議を醸しましたが、それ以外にもタイでの勇利、ムアンチャイ戦では「死ぬ寸前まで止めない」レフェリングをしました。アリ、フレイジャー初戦を裁いたアーサー・マーカンテは、所も同じNYでのベニテス、ブルース・カリー戦で、KO負け寸前のベニテスを露骨に「救済」しました。何が世紀の名レフェリーや、たいがいにせえよ、と始めて映像を見たときは心底驚き、呆れたものです。
レフェリーの選定に関して、本田会長がどの程度関与出来るものかは知りませんが...と、去年までなら言えましたが、例の件ではしなくも、ある程度の関与は普通にしているらしい、と世間に知れてしまいましたね。

上手くまとまらないですが、レフェリーに関しては、正直言って難しいところがあります。基本「行ったとこなり」の仕事をする人が目につく、というのが個人的な意見ですが、物事悪く取り過ぎている、と言われればそうかなと思ったり、結構揺らいでいます。もちろん、特に目につくことなく終わる試合の方が、数で言えば圧倒的に多いのも事実でしょうから。


>羽倉真敏さん

こちらこそありがとうございました。一人の人間が矛盾する立場を兼ねる弊害は、これまでなら選手の利益にならない、報酬や待遇の問題がまず第一かと思っていて、帝拳はその部分についてはまったく問題ない、希な存在ではあったのですが、こういう別の大きな問題がある、という事例が残りましたね。やはり日本のボクシングそのものが、それぞれの立場を明確にせず、曖昧なまま放置してきた、そのしわ寄せを、これまでも、そしてこれからも選手が被り続けることでしょう。ルールや法制より先に、その部分を構築していかないといけない、と思い始めています。


マネジャーとプロモーター (羽倉真敏)
2018-03-05 12:22:37
昨晩はありがとうございました。あの場でも話題になった通り、「マネジャー」と「プロモーター」がしばしば同一人物になってしまう、わが国のシステムが引き起こした問題でもありますね。試合をなんとか成立させたい「プロモーター」に対して、選手の心身と利益を守る「マネジャー」がものを言えるかたちを作らないことには、今回のようなうすら寒い状況は繰り返されることでしょう。理想的な制度を作るのはなかなか大変でしょうが、とりあえず「第一歩」になるような法制を作れないものでしょうか……。
Unknown (海の猫)
2018-03-04 21:43:27
さうぽんさん
何度もすみません。。。

山中のもう一度ネリに挑みたいという気持ちが、本田会長の再戦ビジネスに利用されてしまったな、と思っています。それが何とも切ないです。

ご意見頂戴したく、最後にもう一点書かせて下さい。レフェリーについてです。
山中の最初のダウン、ネリのパンチによるものですし、明らかに効いているように見えました。しかし、スリップとみなされ試合はすぐに再開。
レフェリーは前回と同じです。このレフェリー、前回の試合後「山中はまだまだやれた。タオルだけなら投げ返そうと思ったが、セコンドが入ってきたので仕方なく試合を止めた」と信じられない発言をしています。
おそらく、選手の安全性より主催者の意図を優先するレフェリーなのでしょう。そう考えると、今回のスリップ認定もミスではなく意図的。
山中の安全性は何重にもないがしろにされていたのか、とやるせない気持ちになります。

そもそも本田会長は、この試合の安全性、公平性を確保する、などという視点はろくになかったのではないか。そう思えてきました。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-03-04 16:48:07
>もみあげ魔神さん

ルールの強化、体重超過の責任を決めるというのは、以前にも考えたのですが、松本好二や嘉陽宗嗣、大森将平の件があっても、或いはそれ以外の超過案件があっても、そういう動きがあるとは聞こえてきませんね。その現実を見るに、ルール策定自体が難しいのか、そもそもそういう企図が、意志が誰にもないのか。よくわからないところです。
ただ、僅かな差なら当日再計量で両陣営合意の元、試合挙行。大幅ならそもそもコミッションが許可しない、という実情でもって、細かいルール策定は不要、というのが、世界のボクシングの趨勢ではないかと思います。試合を中止した際の責任の所在について定めるべきとしても、具体的に規定をつくるのは難しそうです。世界戦の試合契約に、そのような条項を組み込めるものかどうか。統括団体がそう定める形になれば良いかもしれませんが、そこまでやると、また別の問題が出てくるのかもしれません。ただ、ルールから大幅な逸脱を確信的に行う者の存在が、今後の情勢を変える可能性はあるかもしれませんね。WBCがネリーを厳しく処断するとは、ドーピング問題のときと同様、まったく思いませんし、信用していませんが。

今回のWBCによる処分、出場停止や報酬凍結に関しては、私は徹底的に無意味だと感じ、かえって頭に来ています。出場停止も何も、現に試合出てたやないか、と。報酬凍結、これも...いずれ溶けるんかいな、と。


コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-03-04 16:22:28
>海の猫さん、月庵さん

コメント欄での議論、ボクシングについての思いや考えを述べられるのは、何も問題などありません。勝手に喧嘩をされたり、意味不明の書き込みが連なるようでは困りますが、そういうことではまったくないですし。
私も、うまくまとまらないながらも、改めて返信というか追記というか、させていただきます。


ドーピング問題については、確かに問題ですが、その後の処分については、同時に日本国内の関係者にとり、力及ばぬところだったのかな、とは思います。山中の心情、その一点において、再戦自体は仕方なかったのかなと。様々な見方があるようで、山中はそもそも再戦など望んでいなかったが、本田会長が村田ーエンダム同様「再戦ビジネス」に味を占めて、今回の試合を構想したという説まであるそうですが、本田会長がこのような考えだったとしても、山中自身の心情に関しては、私は疑うものではないと思っています。
ネリーの扱いについては、こんな事態を前提として備えは出来ないにせよ、過去に事例が多くある以上、想定はしていてほしいですね。協栄金平会長が、記事にも書いた坂田の件で「ええ仕事」をしたのに比べ、本田会長は何やってたんだ、と歯がゆい思いが消えません。

今回山中の、或いはファンの、ことによると井上尚弥の?心情的なところは、現実として存在するものでしょう。山中は雪辱したい、ファンは憎き奴を誰かに倒してほしい、井上は日本ボクシングを代表して、山中の仇を討ちたい?と。あくまで心情的な話で、人が何事かを「思う」ことを、止められはしないでしょう。
選手が闘志でモノを思い、プロモーターが金勘定を優先させるのも、ある意味当然です。問題はそこに歯止めをかけるべき力を持つ(体裁上は)機関が、その役割を果たしていない、その能力が備わっていないことではないでしょうか。

今回の場合、やはり試合は中止されるべきでした。繰り返しですが軽量級で2.3キロ超過です。ベガスなら試合は確実に中止でしょう。ランディ・カバジェロとリー・ハスキンスの試合は、カバジェロが似たような数字を超過して、中止になりました。しかるに日本ではコミッションが条件付きで許可をする。

海の猫さんが言われる「競技性」を護ることも、月庵さんの言われる「心情的なファンの追随」を事前に断ち切ることも出来ない。もはやこんなものを「コミッション」と呼ぶに値しない、その事実が残ったと思います。単なる「興行会社の一部門」に過ぎないのだ、と。
とりあえず、JBC、日本ボクシングコミッションに今いる人間は全員クビにするところから始めてほしい、と私は思います。きれいさっぱり更地にして、スポーツ庁だかなんだかがあるというから、そこから適当に、誰ぞに「下りてきて」もらって、新たに人集めて、そこからやり直してくれ、と。まあこれも、井上にネリーを「成敗」してほしい、という心情と、似たり寄ったりなんでしょうが。

現在のボクシングが抱える問題点 (もみあげ魔神)
2018-03-04 16:22:18
管理人さんが仰るように、今回の試合は、現在のボクシング興行が抱える問題点が、最悪に近い形で選手にふりかかったと言えるかもしれません。
自身のブログでも書いたのですが、今回の試合は、「果たして『今のボクシングが、素晴らしいスポーツだ』と胸を張って言えるのか」という問いかけが投げられた試合だと思います。
今回の件では、試合を挙行した帝拳を攻める意見が多く聞かれますが、たとえ今後、国内での世界戦(あるいは日本人絡みの世界戦)でのルールを厳しくしても、本質的な問題の解決にはならないでしょう(逆に、ルールの厳しさに日本人選手との世界戦に二の足を踏むボクサーが増える可能性もあります)。
“ルール破り”が当たり前になっている世界の現況のなかで、どうやって本来の「当たり前」を取り戻していくか。
大和トレーナーを咎める行為など、帝拳の判断に首をかしげることも多いですが、今回は、WBCにとって(今後、世界戦をする選手の供給先として、まだ関係を保っておきたいと思われている)帝拳だからこそ、WBCがネリの資格停止という早い処分をとったとも言えると思います。
今回の山中のような経験をボクサー達にさせないためにも、日本ボクシング界が、各団体の総会に出席した際に、体重超過をしたものに全責任がいくシステムづくりなどの必要性を強くアピールしていく必要があるかと思います。
Unknown (海の猫)
2018-03-04 09:52:45
月庵さん
(さうぽんさん、勝手なやりとりご容赦下さい)

反則をするような選手に、「負けたくない」「勝って欲しい」というのと、「痛い目にあわせろ」「ボコボコにしろ」というのは別物だと思うんですよ。
前者は競技者としての勝利であり、スポーツの範囲です。でも後者は鉄拳制裁であり、それは暴力です。
ボクシングの場合、競技における勝利が相手を殴り倒すことのため、そこは曖昧になりやすい。だからこそ、はっきりとした線引きが必要と思います。
山中は今回の再戦に、もともと単に競技者としてのリベンジという思いで臨んだと思います。
でも、後者の見方をするファンも多く、また、主催者がそれによる注目集めを狙っていた。ここがおかしかったと思います。

ネリは一年間の招聘禁止となったため、年末に井上-ネリなどという悪夢の可能性はなくなりました。
仮にあったとしたら、井上自身はどうでしょうね。何となくですが、敵討ちという発想はなさそうに思えます。ただボクサーとしてネリに興味をもったら、試合を受ける可能性は大いにあるなと。でも、ファンは敵討ちとして見る。本来は周りがしっかりと試合の意味を考えて止めるべきなのですが。

ある程度の話題性は必要といえど、競技性にしっかりと主軸をおいて欲しいです。そこを間違えると、長い目で見た場合、ボクシングは廃れていくかと。
Unknown (月庵)
2018-03-03 14:06:10
海の猫さん

選手側の心情としては、内山がインスタグラムで披歴したそれが全てなのでしょう。日本のプロ格闘家は興行に『出させて貰う』立場であり、試合や興行が飛んでしまうのは困る。何よりも何の為に俺はあんな苦労してトレーニングして減量したと思う? という気持ちになる。だから体重超過だろうがなんだろうがやらせてくれよ! 勝ってやるよ! という気分になるのだろうし、同胞がそんな境遇に追いやられた時も「体重超過野郎を倒して欲しい」という気持ちになる。選手側がそう思うのは仕方ないと思います。そもそも格闘技という本来存在意義があやふやな虚業に身を投じるのです。常人とは異なる感性を持つか、強烈なエゴを持つか、あるいは両方の要素を持つのが当然でしょうから。そうでなくばプロ競技で活躍するのはまず無理でしょう。

ただ、ファンまでそれに追随するのはどう考えてもおかしいですね。私も井上VSネリーなど願い下げです。ただでさえスーパーフライ級で時間を浪費して来たのです(意義があったのは井上の調整を改善させる契機となったカルモナ・ペッチバンボーン戦だけでしょう)。これ以上有象無象と戦ってキャリアを浪費する事自体単純に耐えられません。24・5歳はもう若くないのです。とっくの昔にビッグネームと戦っていなければおかしいのです。そういう意味では、何一つそれをやろうとしなかった(好意的に見ても出来なかった)横浜のほら吹きについては現時点ではいつもの病気が始まった、としか思わないですが、当の井上本人が気持ちを整理した後にどう考えるか……それが頭の痛い所ですね。私の予想では十中八九俺が仇討する、と言い出しそうなんですよね。
Unknown (海の猫)
2018-03-03 10:00:53
さうぽんさん

自分はこの試合、ドーピング問題という視点から極めて異常と思っていました。ただ山中が望んでいるなら、山中のリベンジマッチ、最後になるかもしれない試合とだけ見做そうと。その点はさうぽんさんに近いものだったと思います。でもそもそも組むべき試合ではなかったなと。ネリが何かやらかすのは、これまでの言動からも十分想像できたなと。

帝拳と本田会長に関しては、備えがないだけでなく、最初から最後までネリ陣営にやられっぱなし。ここまでマヌケとは。

何より憂鬱だったのが、この再戦が決まった際の「ネリに正義の鉄槌を」という声の多さ。体重超過が報じられてからも「そんなやつ倒してやれ」。この体重差で出来るわけもないのに。試合後は「井上がボコボコにしてくれ」。
分かってはいたものの、ボクシングはスポーツとして見られていないのかと。力による制裁を行う「正義のヒーロー」まで期待される選手が不憫でなりません。そもそも業界がボクシングをそういう風に「見せて」きたのかと、数日経っても考えることは尽きません。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-03-02 20:52:40
>さんちょうさん

例えばシュガー・レイ・レナードの顧問弁護士マイク・トレーナーが、体重超過したマービン・ハグラーとレナードを闘わせるかというと、絶対にそんなことはしなかったでしょう。しかし山中とネリーの場合、本田明彦はトレーナー弁護士とボブ・アラムの仕事を一人で兼任しているわけです。「商品」扱い、というのとはまた違う部分で問題ですね。論理矛盾です。「商品」だからこそ、徹底的にその価値を毀損しないように守る、というのが本来の意味合いかもしれない、と思ったりもします。それが出来ていない、或いは構造的にやりようもない、そこに問題がある、とも。
大橋会長は、ボクシングファンの意見も当然、知っているとは思います。その辺は頭の涼しい人ではあるでしょう。しかし同時に、それとは違う多くの声も認識しているのでしょう。どちらに軸足を置いて発言し、行動するかについては、彼の後援をする人々の意志にも左右されるでしょうが、やると決めたら、ボクシングファンの(「全体」から見れば少数の)意見など、一顧だにせず行動することでしょうね。ネリーの今後が不透明な現状では、ひとまず静観、なんでしょうが。


>燭台切りさん

ルール設定の件については、世界的な常識として、僅かな超過であれば条件付きの当日再計量、大幅な超過なら試合中止するのが当然、というところなのでしょうね。
今回のような事態で、試合挙行の可能性を探る...というか、やることが大前提になっている、日本の異様さを、統括団体に加盟する各国に訴えても、果たして理解が得られるかどうか?難しいかもしれないと思います。
「試合」自体については、山中の動きにこれまでのスピードを感じなかったですが、やはり心身のバランスが様々に崩されていた、というところでしょうね。私も立ち上がり、山中の攻めを見ながら「上滑り」の印象をぬぐえませんでした。その後はもう、悪夢のような絵でしたね。全てをかなぐり捨てて言えば、試合が長引かなかったのが唯一の救いだったかもしれません。


>CB400Fさん

まあしかし、色んなことが頭によぎる展開ではありました。頭突きとローブローで倒して、脇腹に蹴り入れて、腕ひしぎで締めて、再起不能にしたれ!とか、ちょっとだけ思ったりもしました。ちょっとだけですけど、あくまで。
チャチャイ・チオノイの時は、当日計量でしたし、もう大ベテランだったチャチャイが、自分の思う以上に代謝が悪くなっていて、飲まず食わずの果てに限界を超えたということでした。チャチャイと親交があった矢尾板貞雄が、耐えきれず水を飲んで失格した様子を見ていたそうです。
このチャチャイの事例から、遙か時を経て前日計量制になり、それが定着したころから、減量方法の趨勢も変わり、直前で水抜きして一日で大幅に落とし、飲食制限の期間を短くして体力を温存する選手が増えている、とのことですが、単にそれに失敗した例と、確信犯的に失格を踏まえる輩は明らかに違いますね。
中南米や、タイなんかも計量はいい加減、ないしはそういう表現を越えて「悪辣」な話がよくありますね。取り巻きが秤を囲んでハイOK、というのは「基本パターン」なのかもしれません。最近はどうなのか、よくわかりませんが、情緒や文化の話にまでなってしまう部分ですかね。ギャラクシー兄弟なんか、兄が秤乗って、弟が試合してた、なんて噂まであるらしいですが。まあそれは別の話ですけど。
アラムは「北半球」でしたね、確かに。ついでにドン・キングは「神が犯した繰り返しの過ち」らしいですが。


>まくまくさん

同感ですね。ええとこ突いてるな、というか。こういう理屈になっていない理屈で、自らの心中を整理しているのかもしれないな、と思います。仰るとおりの「思惑」「事情」故の、今回の試合挙行だったのでしょうが、ボクシングそのものの価値が毀損されてまで、その所以が優先されてしまば、結局傷を負うのは回り回って自分たちなのですけどね。ここ最近、世間的には上昇傾向にある(部分的には、ですが)と見えていた日本のボクシングは、この一件で急ブレーキかな、と思ったりもします。
学ぶべき、とは同感ですが、もうそういう段階過ぎてへんか、と苛立ちもします。上記のチャチャイ・チオノイの件から、今回までの間に一度もこういう事例が起こっていない、というならその通りなんですが、そうじゃないんですから...。


>sugarさん

考え得る中で、というよりも想像を絶する酷い話の積み重ねでしたね。話が悪い方へばかり転がっていき、そのしわ寄せを全部被ってリングを去った山中の姿は、本人も誰も彼もが望んでいないものでした。せめて力と技で勝ったり負けたり、という普通の形で、その偉大なキャリアを締めくくれたら良かったですが。
もっとも、これで山中慎介の偉大さが消えるわけではありません。118ポンドでありながら、毎試合のようにダウンシーンを量産し、数々のKO劇を見せ続けた山中は、カミソリパンチの海老原博幸に匹敵する、驚異のソリッドパンチャーでした。


>gggさん

あくまで一般論ですけど、ひとたび、招聘する対象のボクサーが、コンテンダーからチャンピオンになってしまえば、交渉の段階で「不利」ではあるんでしょうね。契約内容に「体重超過の場合はああしてこうして」という条件を盛り込もうにも、拒否されればそれまで。招く側に選択肢は無いのでしょう。
そもそも、どうでもネリーを招かねばならない、体重超過しても試合を中止せず、挙行せねばならない、という異様な前提があるわけです。二重三重の自縄自縛ですね。ひっくるめて「ただのバカ」と言われたら、全くもってその通りです。
この部分において「ドーピング違反した相手との試合を、因縁の再戦として興行しよう」という目論見自体が、そもそもの間違いである、という意味では、私のような者が試合を見に行く選択をしたこと自体が間違いだったとも。


コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-03-02 20:51:52
>R35ファンさん

浜田代表のコメントのとおりというか、計量のあと、おそらく山中の心身のバランスが崩れた、という面も大きかったと見えました。どこか「入り」きれていない、というか。まだ映像をチェック出来ていないのですが、会場で見ているとそういう印象でした。そこで体格差によるパワーの差、耐久力の限度が出ましたね。
ネリーにいわゆる「節度」を求めるのは、泥棒に「真面目にやれ」というのと同じで、そもそも無意味でしょうね。結果、勝って金を得てしまえば、後はどうでもいいのでしょうし。
日本テレビにとっては、今回の中継は「汚点」と傍目には見えますが、今後はどうなるのか。ちょっと見えてきません。会場で見た限り、岩佐の試合ぶりは、日テレの「合格ライン」からは程遠いだろうなあ、としか思えませんでしたから、まず人材の面で厳しいかも知れませんが。

結局、マネージャーならこんな試合に選手を出せない、となるが、プロモーターなら何とか算段つけて試合を挙行したいわけで、矛盾する立場をひとりの人間が事実上兼ねているから、こういう不測の事態に際して、筋の通った話にならないのです。「会長」と呼称される意味不明の怪物が数多いる中、もっとも大物とされる人物にしてこれですからね。たかが知れている、とは以前から思い、あれこれ書いても来ましたが、今回は半ば確信的に、プロモーターの方に比重をかけた行動を取ったように見えましたね。


>れいれなーどさん

松本好二にせよ、嘉陽宗嗣にせよ、「被害」にあったボクサーはだいぶ前からいるのに、何にも対策を練らず、厳しい応対もせず、甘い条件で試合を成立させてしまう側にこそ、大きな問題があると思います。今、山中慎介がまた同じ目にあって、そのことを恥じずに、感傷的?なコメントを出している本田会長は、私にはルイス・ネリーと同レベルで理解不能です。どういう神経してんのかな、と。
フレディ・ノーウッドとネリーは、イメージ的にけっこう重なりますね。聞けば陣営内部でも嫌われていて、まあ勝っている内は仕方ない、という感じだった、という点も。チンピラみたいな取り巻きはまた別ですが、プロのトレーナーやマネジャーたちは、割り切って付き合っている、というところなのでしょう。


>月庵さん

私は記事にも書いたとおり、山中の心情一点においてのみ、今回の試合の存在をファンとして認め、試合を見に行きました。前回の試合の内容、終わり方については、山中の認識とは違い、月庵さんと同様、追撃で無残に倒されて終わっていた可能性が見えたところでの、妥当なタオル投入だった、と思っていましたが。
今回の再戦に関係した人間の意図がどうであれ「実際のところ」がどうであれ、今回の試合挙行に歯止めをかける「力」がどこにも存在しない。JBCは「小さな試合」だったら、1キロ前後のオーバーで試合を中止したことが何度もありますが、こういう試合では違う判断をします。ここがしっかりしていれば、おかしな事にはならないはずで、その「不備」こそ大問題だと思います。関係者諸氏は批判されるべきではあり、そこは同感ですが、同時にもう何かを期待する段階でもない、とも思います。
もし統括団体の総会などで、世界各国の関係者に罰則規定新設を訴えても「そこまでの場合は、まず試合を中止するべきだ」と言われて終わりでしょうが、それをしない前提で動くのが、日本のボクシング業界です。その中で最も大物とされる本田会長とて、その枠内に生きること自体は、他の誰とも変わらないのでしょう。結局彼は、日本の枠内において「大会長」ではあっても、「大プロモーター」でも「大マネージャー」ではないということです。
山中慎介に関しては、プロ入りの際にスカウトしたのでなく「入門」してきた選手である、という点が、その後の「扱い」にも影響しているのかな、と見えます。おそらく本人は「清濁併せ呑んで」山中に巨額の報酬を保証する試合を、もう一試合行うことを優先し、そのことに一定の「納得」をしているのでしょう。或いは、心中でそういう「処理」をしている、というところかもしれません。


>海藻類さん

本田会長が前回のドーピング問題について、どういう立場で事にあたったかは、私にはわからないですが、彼の心中がどうであれ、ドーピングと計量失格というふたつの問題に直面して、結果、山中慎介をしっかり守れなかったことは事実です。ネリー招聘にあたり、細かい条件を契約に盛り込むことについては、やろうとしたのかどうかは不明ですが、これまた結果として出来ていない。どうしてもネリーと再戦する前提ですから、交渉するとしても立場が弱いでしょうし。そのこと自体がおかしい、とも思いますが。
ネリーと山中の組み合わせは、以前のような動ける山中なら充分勝てたと思いますが、どうしてもベテランになり、動きの量が減り、それが質的向上に全て繋がるわけでもなく、強打の手応えを求めてしまう今の山中には、相性の悪い相手ではありましたね。もちろん「あれこれ抜き」の仮定で、ですが。
再戦にあたって、ショートの距離での攻防を練習している、と聞いて、それは方向性としては逆なんじゃないかなあ、と思ったりもしました。まあ、そういう次元の話とは、また違った展開になりましたが。
今回の試合を見終えて、亀田兄弟はある意味、大したものだった、と思い返したりしました。彼らは周辺事情からくる「しわ寄せ」を、ほとんど被ったことがない。ソリス戦の問題くらいじゃないですかね。それ以外に、人にしわ寄せを食わせることは何度でもありましたが。
まあ、彼らの跳梁跋扈を許したのが、業界最大手たる帝拳、本田会長の(積極的か、消極的かは異見が分かれるでしょうが)容認と助力が大きかったのも事実です。大別すれば、同じ枠内の人間だとも言えるでしょうね。


>海の猫さん

見に行った私もその一員ですが「客がチョロいからこうなる」と言われれば一言も無いですね。純粋に「見たい」という心境でもなかったですが。
試合前日の報を受けてからは、これは中止すべきだと思いました。あまりに「大幅」過ぎるし、細かく言えば、前日の再計量の際、1キロほど落ちたということは、シビアに絞った結果ではなく、体力が確実に温存されている証拠。これは危険だ、と。
ただ、そうなった場合の備えが何もない。TV局と共に、万が一の事態を想定してもいない。ダブル世界戦と言いながら、セミには選手とジムの「初防衛は楽なのと」というご都合優先の、消化試合級のカードしか組んでいない。とにかく試合やることが前提。こういう事例が過去に何度もあったのに、そしてルイス・ネリーという「要注意物件」を、挑戦者でなく王者として迎える段になっても、何も変わらず、何の備えもない。度し難い、というしかありません。
大橋秀行は、長年に渡り、そういうボクシング界の常識の中を生きてきた人間のひとりなのだ、というしかないでしょう。まあ、現状ネリーが問題なく活動を続けられるかどうかは不明ですが。

Unknown (ggg)
2018-03-02 19:55:58
詳しい事情は知りませんが、帝拳は国内最大手の割にポンコツ過ぎませんか?
自分とこのボクサーをバカにされボコられ高額報酬渡して帰らせるなんてただのバカでしょう。
ちょっと意味不明すぎてよく分かんないです。
ただ、ただ残念・無念 (sugar)
2018-03-02 18:32:01
ブログを読ませて頂き、改めて怒りや悔しさがわいてきました。世界タイトル奪取する前から応援していた選手があのような試合でボクシングキャリアの終演を迎えるのは残念でなりません。
ボクシングはルールがあるスポーツです。野蛮な殴り合いではありません。ビジネス優先で選手が壊されるのは見たくありません。それが山中選手の最終試合だったというのが...ボクシングに真摯に向かった山中選手には心を打たれましたが、美談にはしないでルールの厳格化に努めて欲しいと心底思いました
Unknown (まくまく)
2018-03-02 15:27:14
某掲示板にこんな書き込みがありました。

第1戦のドーピング?もちろん知っていた。試合中止など考えなかった。山中が勝つと信じていた。タオル?山中はやる気だったし、まだやれるはずだった。本人もそう言っていたじゃないか。試合後山中はリベンジしたいと言った。王座は要らない、ただあいつにリベンジしたい。山中の言う通りにさせてやりたかった。WBCと交渉し、再戦を決めた。体重超過?山中がそれでもやりたいと言った。あいつの好きなようにさせるしかない。俺がそれをやめさせることなどできない。そして、山中は引退を決めた。会長である俺ができることは、あいつがやりたいようにさせてやることだけだ。どんなに非難を受けようが、俺にできることはそれだけだ。

まさか本人が書き込んだわけではないでしょうが、本音はこんなところなのかも、と思わせる妙な説得力がありますね。試合を中止することが日本のボクシングの尊厳と選手を守ることに他ならないのは自明ですが、当事者には、様々な計り知れない葛藤や、思惑が渦巻いたのっぴきならない事情があり、結果目に見える形としてこのような結末となった、ということなのでしょう。
願わくばここから学ぶべきことを学んで、二度と同じようなことが繰り返されない事を期待したいです。
Unknown (CB400F)
2018-03-02 14:49:28
井上の対戦相手としてもう一度ネリさん呼んで来てもらって、1オンスでも超過していたら当日リングには井上じゃなくて村田をあげるというのはどうでしょう?

まぁ敵もさるものでカネロあたりを密かに帯同してきていて村田vsカネロが意外な形で実現したらファン大喜びでしょうか。

しかし昔と違って今日日のウェートオーバーは「確信犯」と言われていて勝つ気は満々なんですね。
旧い話で恐縮ですが花形の挑戦を受けて来日したチャチャイチオノイなどは最初から負け試合モードでやってましたよね。
いずれにしてもプロ失格どころではない話ですが。
そういう人達も時代と共に面の皮が厚くなって来たのですかね?
転んでも只では起きないというか・・・。

これも旧い話ですがスパイダー根本が石松とともに世界タイトル挑戦のためにパナマへ行きでそれぞれマルセルとデュランに挑戦した時にマルセルの計量時(だったと思いますが記憶違いなら失礼)にマルセルが秤に乗って目盛が定まらないうちに立ち会いの現地コミッショナー?が「OK」を出してマルセルが秤を降りた瞬間に水の入ったコップを予め用意していた奴からそれを受け取り飲み干したという話を昔効いた事があります。
日本サイドからクレームが来て再度量っても水を飲み干したことによる体重増を主張出来るように一芝居打った訳です。

日本人には出来ない(思いもつかない)感覚ですが海外でしたたかに活躍していくにはこういう不正を不正まるごとリングの上でKO出来るような人間じゃないと無理なんでしょうね。

ps:ダマトはアラムを「北」半球で〜と言ったんじゃなかったですっけ?
Unknown (燭台切り)
2018-03-02 13:19:39
後味の悪い試合でした。ルールを守れないのであれば中止にすべきでしたね。これを機に(遅いが)ルールの厳格化を徹底してもらいたい。

試合の内容は山中に全くキレがない。仕上がりは前回の方が良さそうでした。奴がジャブ、ワンツーを一通り貰って実力を確かめた後に、淡々と連打を打ち込み山中を追い込んでいくのを見て「やばいな」と思いました。そしてそのまま4度倒されて終わってしまった…
リング外での理不尽を内に持ち込むとこういう結果を招く、それは分かっていたはずなのになぜ止められなかったのか?こんな思いをするのはこの試合で最後にしなければなりませんね。
Unknown (さんちょう)
2018-03-02 13:08:03
もう良心的なファンである皆さんが今回の試合に対する「正論」を書いてくれたので、自分としては結局選手とは商品でしかないのだなとつくづく思います。
大橋会長の仇討ち発言には驚きました。もうネリみたいな奴とはかかわってはいけないと思うのが普通では?やはり大橋会長も井上を商品としか見てないのでしょう。 

ホントに昨年の薬物疑惑から今回の試合後までの経緯は外道の極みですね。
Unknown (R35ファン)
2018-03-02 12:15:42
一晩経ちましたが怒りが収まりません。あのクズは勿論、本田会長に対してもです。山中さんがあんな目にあって、何が納得しただろう、ですか。二回続いて選手を危険に晒し、大和さんに八つ当たりし、あのクズにファイトマネー満額支給。それ以前にも三浦さんをドーピング違反のバルガスとやらせて、尾川君に汚名着せたまま。昨日の試合なら普通、「選手を公平に試合させてあげられず、また、ファンに公平な試合を見せられず、申し訳ない。」ぐらい最低限言うべきでしょう。今回のルール違反に対しても他人事の様な話ぶり。
この人選手やファンを何だと思っているんですかね。今やこの人はただの老害。早く消えて欲しいです。
Unknown (海の猫)
2018-03-02 09:23:46
自分はずっと、タオル議論から再戦に至るまで、ネリよりもWBCよりも本田会長に怒りを感じていました。

ただ今になって思うのは、結局この試合を成立させてしまったのはファンではないかと。
会場でにしろテレビにしろ多くの人間がこの試合を見てしまった。本田会長はプロモーターとして、客が見たいものを見せただけ。仮にチケットが全く売れなければ、この試合は組まれなかったでしょう。
この再戦が決まった時、何の疑問も感じずに「ネリを倒せ」という人の多さに驚きました。そして、一部のファンはもやもやを抱えながらも、決まったからには頑張れと。自分もそう思っていましたが、甘かったと言わざるを得ない。

再戦ではなく「無効試合とベルト返還」を、体重超過の報道後は「試合中止」を、最後までファンは訴えなければいけなかった。そしてそう訴える選手をファンは支持しなければいけない。覚悟を決めて試合に向かう山中を応援してはいけない。
山中にこの試合をさせてしまったのは、選手に正論よりも、強さや潔さを求めるファンではないかと。

大橋会長は、「井上に仇討ちを」などふざけたことを言っているようです。最初から狙っていたのでしょう。今度こそファンは拒絶しなければいけないと思っています。
Unknown (海藻類)
2018-03-02 09:16:44
かつてカスダマトはボブアラムのことを「西半球で最も強欲な男」と罵ったらしいですが「残りの東半球で最も強欲な男」が誰なのかはっきりしましたね。
正当なあるべき物事を全てねじ曲げ、リマッチありきで話を進めた本田会長が全ての諸悪の根源だと思います。
WBCがネリに処分を下さなかったのは単なるメキシカン贔屓ではなく、本田会長が処分を求めなかっただけだと個人的には確信しています。
多くの外国人選手が話すように日本の冬は減量が大変であり、体調を崩してまでリミットを合わせずに、ベルトを失うことになったとしともコンディションを合わせることを優先するというネリの世界的によくある選択は少なくとも帝拳側は想定して契約に盛り込んでしかるべきだったと思います。
前回の試合はドーピングありとはいえタオルどうこうでなく完敗、二人の相性は最悪だと感じていました。
そして今回ドーピング抜き(本当かは置いといて)とはいえ前日1kgオーバーで試合が行われました。
ネリのジャブは山中選手の顔面を簡単に捉え、山中選手のパンチはネリにほぼ完璧に見抜かれており、後出しですが昨日のリングの上では万に一つも勝ち目は無かったと思います。
この状況で試合を行った帝拳は勝ち目があると思っていたのでしょうかね。まぁ端から山中選手から最後の一滴まで絞り尽くすつもりで組んだ試合だったら今更“こんなこと”で中止することなんてあり得ないでしょうけど。
かつて亀田三兄弟は日本ボクシング界の悪い部分を凝縮したようなことを行い顰蹙を買いましたが今回の一連の流れはそれに勝るとも劣らないものだったと思います。
批判&ネガティブな意見全快で申し訳ないです。
Unknown (月庵)
2018-03-02 07:28:47
再戦には元々反対でした。ドーピング問題関係なしに、相手の乱打に無抵抗に等しく、ダメージを受けて右往左往している中大和心の英断で救われた。それは紛う事なき事実です。本来あの試合こそがボクサー山中慎介の終焉になるべきだったし、試合が終わった直後はそう信じて疑っていませんでした。その旨を示唆するコメントも以前書かせていただいた。

その後のタオル問題から始まるあり得ない事しかないような話の流れ。その中心に存在したのはどこの誰であったのか? 初めから王座返還は認めない、即時再戦以外は引退だと言い続けて山中を縛り、事実上再戦を強要したのはどこの誰であったのか? 俺達に諮る事なくタオルを投げるな、もしもの時は俺が責任を取ると言っておいて、今回の『惨状』で地蔵のように動かず山中を救おうとしなかったのはどこの誰であったのか?

これを不備と片付けていいのか、あるいはネリーとその陣営の人間性の問題と片付けていいのか。そんな問題ではないと思いますよ。本田明彦がマウリシオ・スライマンと談合してドーピング問題を実質的に骨抜きにし、スライマンが事実上全面的にネリーを擁護した。その二つの前提条件あればこその行為でしょう。それに加えて世界的には意図的体重超過を商品価値を毀損せず安全に勝つ為の『戦術』と考え、それがデメリットにならない潮流もある。世界的プロモーターと自称する人間が、その潮流にネリーが乗っかる可能性を考えなかった? それこそあり得ないでしょう。

結局の所、本田明彦という男にとり山中慎介というボクサーは単なるカネの取れる商品であって人間ではなかった。その『商品』が経年劣化によって商品としての役目を果たせなくなった時、彼はそれをスクラップになっても構わぬと目先の利益を得る為に使い捨てにする事にした。それが本質でしょう……その『スクラップ』が六年もの長い間会社の大黒柱として貢献した会社の大恩人であり、なおかつ幼い二人の子供を抱えた一人の家庭人である事など、本田の脳裏にはひとかけらも存在しなかったのでしょうね! ルイス・ネリーなど、その虎と比べればただの狐にすぎませんよ。にも関わらずネリーへの非難は集まっても本田明彦や浜田剛史、マウリシオ・スライマンといった真の犯罪者、人殺しどもへの非難が集まらないのは心底失望しています。山中ほどの名王者が、何故そのキャリアの最後でヤクザどもの慰み者にされねばならなかったのか。それをファンもよくよく考えるべきだ。
Unknown (れいれなーど)
2018-03-02 06:20:23
ショックで結局この時間まで起きてしまいました。
かつて体重超過剥奪され、松本好二と試合したフレディノーウッドの試合と重なりました。まるで大人と子供のようなパンチ力の違いに驚かされました。いまおもえば当時モンスターにおもえたノーウッドもネリと同じ確信犯だったんだなと。
来週月曜放送のプロフェッショナルみてこの怒りと悲しみを宥めます。
山中慎介は人としてボクサーとして最高でした。日テレボクシング中継はこれでおそらく終止符でしょうね。
Unknown (R35ファン)
2018-03-02 04:59:48
確かに山中さんの足捌きに違和感、左を打った時の右足の踏ん張りの不安定さは感じました。ただこれらがあのクズの体格差によるものとしか思えない、最も見たくない光景でした。解説の長谷川さんや村田さんは怒りを隠そうとしてなかったし、岩佐君が述べた言葉が全てです。何であれではしゃいでいるのか。計量オーバーを栄養士のせいにするとか、プロとして有り得ない言い訳して、平気でのさばるのが許せないです。
昨日でボクシングが嫌いになりそうです。日本最大のプロモーターが体重、薬、やっちゃいけないことを平気でやらせる、自分の選手を、それも歴代屈指の王者を守れないなど嫌いになる理由は十分です。ゴールデンタイムでこんなアンフェアな光景を許した事で日テレさんに切られる可能性もあるでしょう。

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