さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

世界熱狂の一日 ゴロフキン「V17」、ロマゴン4冠、亀海も勝つ

2016-09-11 14:26:46 | 海外ボクシング



ということで早朝からオンデマンドと本放送で、生中継二本立てを見ておりました。
なんとも贅沢な一日となりました。ざっと感想。


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今回、WBAからタイトルマッチの認可が下りなかったわけですが、しょうもない団体の選り好みなんぞ
我々ファンには知ったことではなく、防衛戦、と括ってしまえば今回が17度目となります。

カリブの怪物ウィルフレッド・ゴメスと並ぶ、17連続KO防衛なるかという一戦で、
相手がなんとケル・ブルック。ロンドンの大箱、O2アリーナは大盛況でした。結構なことであります。

いざ向かい合うと、両者そんなに体格差はなし、というかブルック、負けてない。
初回からジャブの応酬、ゴロフキンが出る。ワンツーから追って左ボディ、ブルック少しぐらつく。
しかし、ブルックもガードを巻く右を決める。場内沸く。
ゴロフキン、圧して出るが、簡単に捉えられるような感じではない。

思った以上に「やれる」ブルックは、その時点でまさしく驚異。
これまで見たゴロフキンの試合の中で、一番「勝負」になっている。

2回はブルックが連打をアッパーで締めくくる攻撃で、打ち勝つ。
しかし3回からゴロフキンが巻き返し。ジャブで出て、ボディも攻め、執拗に出る。
ブルック出血か、顔が赤くなるが踏ん張り、速いパンチを返す。

しかし、しきりに右目のあたりを気にしていたブルックが、5回に攻められている最中、
セコンドがエプロンに上がりタオルを掲示。レフェリーしばらくしてから気づき、TKO。

最後は若干残念な終わり方でしたが、試合中の緊迫感、そして興奮は相当なもの。
パワーの差がどのくらいあるのか、と心配さえした組み合わせでしたが、
ブルックの健闘が光り、それがゴロフキンの強さをさらに引き出しつつあった一戦でした。

ブルックはこの棄権に対する興行面での評価がどうなのか、ですが、
その実力はこれまでよりも、さらに一段上の評価をしていいと思いました。
もうウェルターには落ちないでしょうし、ミドルかSウェルターのクラスで
新たな闘いに身を投じることになるのでしょう。今後が楽しみですね。

ゴロフキンは、やっと「いい相手」に巡り会えたのかな、という印象でした。
直接はないでしょうが、再戦しても面白そうですし、何せ実際に挑戦してきてくれるだけ、
誰や彼やとはえらい違いだったりします。それも二階級下からですから。


しかしブルック、ホンマに大した奴ですね。ちょっとファンになってしまいました。
これって、日本でいうと、負ける前の内山高志が、さいたまスーパーアリーナで
テレンス・クロフォードに挑むようなものですかね。
もしそんな試合があったら、そらもう、白装束で会場に乗り込むところですが...。


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ローマン・ゴンサレスは、カルロス・クアドラスに大苦戦ながら3-0で勝利。
4階級制覇を達成しました。

ロマゴンのスタイルが通じないときが来るとしたら、それは階級を上げて、
体格の壁に突き当たる以外ないだろう、とはわかっていても、実際にそれを見ると
なかなか衝撃的でした。

良いパンチが入っても止まってくれず、捉えて追撃という流れにならない。
その上、大柄なクアドラスが、打ち合うでなく足を使って動き、クリンチも駆使し、
速い連打でポイントを取りに来る。要所で好打はありましたが、苦しい展開でした。

序盤はロマゴンがいつもの流れに持ち込めるのかと見えましたが、
5回に場内の「メヒコ、メヒコ」の合唱にクアドラスが奮起したあたりから、流れが変わったような。
また、クアドラスが遠い距離から左ボディフックを決めたりと、これまでの相手にはない
体格を生かした攻撃があり、終始思うに任せぬ闘いぶりだったように思います。

最近は桁外れの例外もありますが、普通は、こういう状況が四階級目あたりで来るものでしょうね。
もし今回、四階級目への転級、しかも調整試合もなく、4人いる王者の中でも
上の方に挑んで、もし問題なく勝っていたら脱帽でしたが、さすがにそうはいきませんでした。


採点はちょっと意外な印象でした。TVとリングサイドじゃ当然違いますが、
私は迷う回もありましたが、一応ドローでした。
僅差ならどっちもありかなと思いましたが、ロマゴンが3ポイントしか落としてない、というのはさすがに...でした。

リングサイドに井上尚弥の姿がありましたが、対戦実現は、両者のそれぞれの状況が
少し前までに思い描いていたそれとは違ってきていますので、ちょっと不確定要素が増えてきたかも、ですね。


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亀海喜寛はヘスス・ソト・カラスとのダイレクトリマッチに8回終了TKO勝ち。完勝でした。

初回から左のレバーパンチがまともに決まって、ソトカラスが相当効いた模様。
亀海は身体をシャフトのように回して外し、その回転を生かして打つボクシングで、
正確にヒットを取り続ける。それに対し、驚異的な粘り、タフネスを示すソトカラスでしたが、
8回、ボディ打たれついにダウン。レフェリーはカウント9から意思確認をしていて、
実質ロングカウントみたいなものでしたが、結局インターバルで棄権。

亀海はHBO放送のイベントにおけるセミファイナルで、メキシコの人気選手である
ソトカラスを終始圧倒し、TKO勝ちという大きな勝利を手にしました。
試合内容も逃げや遊びのない打ち合いで、見ていて面白いですし、評価も上がることでしょう。

好機に、相手の手を外して打つだけでなく、自分からジャブで崩して攻める手がもっとあれば、
さらに良いと思いますが、今回は相手が特殊な選手だったので、その辺は仕方ないか。
しかし前日の小原といい、日本の選手が、世界の中量級と闘っている姿を見ると、
どうにも力が入って疲れますね(笑)


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WOWOWのHPでは、少し前まで「時間未定」とあったオンデマンド配信、
英国だから朝の5時か6時くらいかな、と思っていたら、前日見たときに「午前2時頃」とあり、
えー、そんな早いの、と驚きました。

まあ、前座から全部やるということだろうし、そんなの全部お付き合いしてられん、と思ったものの、
結局2時半くらいから見始めてしまいました。やれやれです。

スーパーミドルの6回戦、スーパーフェザーの英国ナショナルタイトルなどがあり、
その後ジュンリエル・カシメロが登場。知らなかったので、ちょっと嬉しい驚き。
地元?の9戦目、チャーリー・エドワーズを10回TKO。
エドワーズはバランスの良い体型のボクサーファイターでしたが、9戦目でカシメロはやはり厳しい。
押されまくった挙げ句、終盤に倒されてしまいました。

そのあとIBFバンタム級タイトルマッチがあり、これがどうにも面白くない。
途中で寝てしまい、目覚めたらセミの最後の方。スミス兄弟の何番目か知らないですが、
けっこう男前のお兄さんが勝ち名乗りを受けていたような記憶がぼんやりと(笑)

結局、メインは7時頃開始。まあ、程よく仮眠も取れたし、いいようなものですが。
しかしあちらの会場で見てたお客さん、もちろん途中から来た人もいるんでしょうが、
ぱっと見た感じ、最初の方からけっこう入っていたような。
皆さん、ホンマにタフですね。ちょっとかなわんなぁ...としみじみ思った未明でありました。


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Unknown (れい れなーど)
2016-09-11 21:39:19
日本人なんで外人どうしの対戦だとなかなか興奮できない自分ですが(メイウェザーやアルバレスとか眠い試合ばかりなんで)今日のWOWOWは亀海の勝利からロマゴンの激闘、結果知らずlive気分でゴロフキンブルック漢の闘いに久々興奮しました。ゴロフキンはジャブがよく伸びて強いですね。ブルックの強さを理解してたんでゴロフキンはもう少し苦しむとおもってましたが。ブルックの今後を考えたストップは残念でしたがブルックは階級上げてゴロフキンとの再戦目指してほしいです。
ロマゴン応援してましたが前回のアローヨ戦同様苦しみましたね。負けたとおもいましたがロマゴンが勝って嬉しかったです。ロマゴンもゴロフキンも人としても素晴らしい人格ですね。
くだらない妄想ですがハグラー、ユーリがいまいたらな…と。
カシメロの亀3みたいな相手に敵地勝利も嬉しいです。井上はまずコンセプションとやるべきです。
あとは16日ですね楽しみで毎日会社連中と展望を談義してます。こんな凄い2試合この先も当分ないとおもいます。仕事早退して大阪向かいます(笑)。
Unknown (失吹丈)
2016-09-11 22:31:33
私も目覚ましを2時と6時半に合わせて、とりま、2時にPCで観たらまだやってなかったので、一回寝て6時半に起き直してメーンだけ生で観てました。少し消化不良な感は否めませんが、ブルックが160lb.で戦ったこと自体は天晴れですね。155lb.級は要らないです。可能性は感じさせてくれましたが、いきなりでは流石に荷が重かったですね。今後、160lb.でやっていくなら1年後くらいに再戦したら面白いかも知れません。

実況の高柳氏が、思わずロマゴン敗れるみたいに口走ってしまった気持ちは分かる気がします。ユナニマスなら、あぁ、クアドラスの勝ちか、と私も思いました。でも、「ニュー」というコールには正直驚きました。ジョー小泉氏が言ってたことは当を得ているかも知れませんね。カネロなんかも、負けたか?と思った試合で結構大差で勝ったりしてましたし。
遂に階級の壁にぶつかったかというのが正しい見かただと思う一方で、このクラスでも、もう2、3戦こなせばフィットしてきそうな気もするんですね。個人的には。被弾はしてるし顔も腫れてたんですが、ピンチって感じでもなかったのも事実です。
亀海はKO勝ちは予想してませんでした。実績キャリアでは現状、村田の上を行ってますね。村田も言ってたように、もう少し上をしっかり撃ち抜けるようになれば、もう一つ上のレベルでやれると思います。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2016-09-12 20:03:07
>れい れなーどさん

高度になり、洗練されればされるほど、抜け落ちていくものもある、という感じも多かった昨今の海外ビッグマッチですが、今回はそれを上回る激しさが見られましたね。ハグラーなどは洗練と凶暴を同時に表現出来る、真の最強王者でしたが、ゴロフキンもその点では同様かもしれませんね。ロマゴンについては今回は苦しんだものの、徐々に115ポンドに適応してくるだろうと思います。井上はまず、良い状態でリングに上がって闘ってもらいたいですね。こないだみたいな調子では勝負にならないでしょうから。
16日はいよいよ迫ってきました。厳しい結果が並ぶ可能性も大いにあると思っていますが、だからこそ勝てば千金の価値がある、そういう二試合ですね。

>矢吹丈さん

155ポンドの人たちは、ブルックの爪の垢でも...といいたくもなりますね。再戦があるなら楽しみですが、そこに行くまでの過程もまた、大事にしてほしいと思います。
採点への先入観の存在は、けっこう昔から言われますね。それこそアリの時代から。元々「そう決めてた」ような悪質な採点じゃなくて、致し方なし、というものとして。それもどうかなと思いますが。
私もロマゴンは、今回苦しかったにせよ、こちらの思うより早く、適応してくると思っています。ドネアも122ポンドの最初、少しどうかなと思いましたが、西岡利晃戦のときにはきっちり慣れていましたしね。亀海はこの勝利で、またひとつ上のレベルの試合が組まれることでしょう。ソトカラス相手に、身体を寄せられても対応できる闘いぶりは見事でしたが、違う展開ではどうか、という部分が今後問われるでしょうか。

Unknown (ててて)
2016-09-15 13:20:57
自分は(例によって)奮戦するクアドラスに興奮してクアドラスの勝ちか?と思ったんですが、見返して採点すると115-113か116-112でロマゴンでした

ロマゴン対井上が来年末に日本開催という噂で、観に行けるのは嬉しいけれど、井上のキャリア・体格としては米国で九月の方が、という微妙な気持です笑
帝拳側としてはクアドラス再戦エストラーダとやって、井上が最後の試合の方がメリット多そうですしね

それにしてもSフライはタレント揃いになりましたね……。エストラーダもWBA返上して階級を上げる、と
これは穿った見方なのかもしれませんが、本気で交渉してたのかなぁと。相手が返上してくれれば、スーパー王座が減ってフライ級王座統一戦という喧伝をして大晦日に試合は出来ますしね。相手はあのアムナットをKOしたカシメロだ!なんつって。それも興味ありますけど笑
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2016-09-16 04:57:01
>てててさん

見方によって割れる試合ではありましたね。ロマゴンのパンチの効果、それによる攻勢を見るか、精度に問題はあったかもしれないが手数と防御の良さでクアドラスと見るか。採点への先入観という点で言えば、あのロマゴンが顔腫らすというのは相当なことだ、と見てしまう部分もありましたかね。
ロマゴンvs井上実現のキーマンであろう本田会長が国内開催を示唆したのは、現状においては日本でやった方が興行面では良いということなのか、それとも他の理由があるのか定かではありませんが、米国でやってチキータvsカルバハルのような巨額報酬が出る試合になる情勢でもないとしたら、そうなる可能性もあるでしょうね。HBOの井上に対する評価は、一度も米国のリングで闘っていない選手に対するものとしては非常に高いようですが、同時に「そこまで」ではない、それが現状ではないか、と。

エストラーダはまあ、当然の選択をしたということでしょうかね。残念ながら、エストラーダから見て、井岡は違うリーグの選手だったということでしょう。そして、その現実を動かそうという意志が特にない陣営にとっては、それも好都合、なのでしょう。そして、カシメロが属する、或いは属したいと思っている「リーグ」もまた、井岡のそれとは別物だと見るべきでしょうね。

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