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要望書についての質問へのお答え

2011-03-10 03:39:59 | 事務局より
緊急アピールをブログのトップ記事にするために、過去の投稿として設定してブログを書かせていただいております。


緊急アピールに関して、何件かの問い合わせをいただいています。
その内容は主に、
「阪神大震災で被害があったというのは事実か」
「被害後の対策よりも、予防を呼びかけることが重要ではないか」
「不安を煽るような行為」
というようなものです。
これらは、要望を出す事を決めた時点から懸念していた項目でもありました。
ご意見を頂いた方につきましては、本当にありがとうございます。
mixiの震災関係のコミュニティーでご紹介いただき、そこでいただいたご意見に対してRC-NETとして答えさせていただいたものから抜粋して、
以下に記させていただきます。

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阪神の際の公式な発表では、震災を起因とした「強姦」被害は0件です。
災害地での性暴力事件はない、という認識は根強いものでもあります。
なので、そうした疑問をもたれることは最もです。
災害時の性暴力などが社会的に問題になったのは、スマトラ沖地震での人身売買などの事案についてを女性達が公に訴えたことでようやく認知されたものです。

元々性犯罪というものが「隠蔽された環境下で起こりやすい」ということ、そして「強姦」という事案は男女での「挿入行為の有無」「行為事態の違法性」を“被害者自身が証明しなければならない”という、被害者にとって大変ハードルの高いものです。
それを踏まえた上で、やはり阪神大震災でも、被害はありました。
震災後のPTSDなどでの治療の過程でそうした体験を訴えられた方が多くいたこと、強姦だけじゃなく、広く性に関わる侵害について、いろんなケースを訴えられた方がいました。
その辺のことは、「災害と女性」情報ネットワーク
による、「事例と対策」あたりに詳しいので、ぜひご覧ください。
http://homepage2.nifty.com/bousai/jirei/boryoku.html

被害の申告事態を受け付けてもらえなかった、みんなが苦しい時に、その相談を誰にしたらいいか分からなかった、誰にも言ってはいけないと思った。そんな気持ちで過ごしていた方々がいる、ということだけは、確かなことです。

また、被災地では全ての人にとってプライベートが奪われてしまいます。
プライバシーの守られない環境下に長い事いること、どうしようもない事実の中で誰に怒りを向けることも出来ずに耐えるしかないストレスフルな環境の中で、
その怒りや不満、恐怖心が、
女性や子ども、あらゆる弱者に対して向けられるということは、まるで想像に難くないことだと思います。それが、性と言うものを通して行われることがある、ということも。

性暴力被害というのは、性欲のみによって愉快犯的に行われるものばかりではありません。
ほとんどが、そうした歪んだ精神状態の中で「何者かを虐げる」ことによって自分の精神を保つ、という類のものであるのです。

これは、歴然とした事実であり、
そこに対する対策は、やはりどうしても必要な、急務なことなのだということを、ご理解いただけたらと思います。

「いる」「いた」という事実は事実として、お知らせしたかったのです。
また、多発したということではなく、文章の中でもあるようにその後の心的外傷の原因の中でも性的な関係でのトラウマ体験は、やはり相応の数あったということは実際のことです。

阪神大震災で多発したということではありません。ただ、あったのです。
そして、多分他の国などでの震災による人的被害に比べたら、その数は確実に少ないとも思います。日本は、本当にすごい国だと思います。
ただし、数の問題ではありません。そこに被害がある、今後も被害の可能性があるのであれば、その対策は打っていかなければなりません。

また、予防策の周知も含めた対策が必要であるというのが今回の趣旨です。
私たちのような小さな団体がブログ上でいくら予防についての知識を書いても、それが現地に届くには果てしなく遠い道のりだと感じました。
国をあげて、やってもらわなければ、と思いました。

それに、ただでさえ張りつめた環境です。みんな既に気をつけて生きています。どうしても、一人きりになってしまうことはあると思います。どうしても、危険な場所に行かなければならないこともあると思います。
その中でもしも被害にあってしまった場合に、「あなたにも隙があったのではないか」というような常時でさえありがちな言説が被害者に向けられるのをどうしても避けたいと思っています。

まず知ってもらうこと。
被害があるということを知ってもらった上で、それに対する対策が当たり前にあること、それは被害を許さない環境を作ることに必ず繋がると私は思っています。
その為に、少しでも知ってもらうために、今回の緊急アピールを出したのです。

ご理解いただき、
今後ともご支援たまわれますよう、何卒お願いいたします。


RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク)
代表 岡田実穂
http://rc-net.info