Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

醜悪を隠す被り物を取れ

2009-11-14 | 歴史・時事
外国人問題としてある事件を取り上げたが、その事件の判決が下りた。マックスプランク研究所で研究するご主人にエジプトからついて来て東ドイツに住む女性が、ドレスデンの法廷でロシア人に殺傷された事件である。ロシア人は、やはりドイツ系であったようで、既にドイツ国籍を取得している。ファーストネームしかでていないために、ファミリーネームのドイツ名は確認できないが、そのアレックスおそらくアレクサンドル・Wは、2003年からドイツに滞在しているが実際はそれ以前に入国して入ると疑われている。要するに不法入国のまま、民族的な条件ですんなりと国籍を取得したようだ。もちろん五年での国籍取得も可能であるが、その経緯を弁護側は犯行の動機つけとして情状酌量を狙った。

つまり「ドイツ語で喋るということは ― 2009-11-05 | 女」で紹介したようなドイツ系移民がシベリアなどの貧しい地域から、別天地のパラダイスを求めて先祖があとにした土地に移り住む舞い戻り移民に相当するのであろう。しかし、その多くが民族的な優先的扱いによって、十分な移民の根拠を持ち得ていない状況は十分に察せられ、丁度日本へと帰国した中国孤児と同じような状況ではなかろうか。その存在自体が厄介な歴史的存在であることも。

そうした根深い事情を破棄するかのように裁判長女史は断言する。動機は一義的に外国人嫌悪であって、被告の「ドイツでの酷い生活への恨み」は動機としてより低位のものであると。さらに、弁護側の主張する責任能力への懐疑に関してもロシア当局から届いたばかりの報告をもって、「無定義の統合失調症」の過去の診断事実は無く、その情動的な犯行とする弁護を「十分に冷静であり論理的であった」として完全否定した。

逃げ場のないドアの枠内で入廷しようとする被害者を狙い妊婦を母子共に惨殺して、更に止めに入ったご主人を刺している行為を殺人未遂と断定している。そして被害者に関しては当日三歳になる子供を連れてきていることから「全く悪気がなかった」として、その犯行の重大性を鑑みて、終身刑を言い渡した。それに加えて二十年先の釈放の可能性を牽制していることから、考えられる限り最も重い刑の言い渡しとなった。

これらを総合して、ドイツ人が犯人であればこうした自暴自棄行為もあまり無かろうと思われるが、通常はその背景にあるネオナチなどの政治的な傾向を無視すれば、その責任能力が問われる事例に違いない。判決が言い渡された第十一回法廷でも黒頭巾を被るなどの姿勢を見せた被告に対して、「被り物を剥がせることを強制出来たが、そのようなことは些細なことだ」と裁判長は語ったようである。

こうしたどうしようもない人間に対して社会はなすすべがない。裁判費用など全てを支払う義務がこの被告に課されたが、そもそも公園でおそらく被害者の黒い被り物を称して「テロリスティン」と非難した加害者を侮辱罪で訴えるのは仕方ないとして、こうした「不良外人」から金を取ろうとしたのが間違いであろう。被害者のご主人も各種外国人団体も、この判決を歓迎しているが本当のドイツの問題はこれでは解決されていない。寧ろ、汚いものには蓋をしているだけのことなのである。本当の問題である移民法やその他の問題が背後に大きく横たわっているのは繰り返すまでもない。

ついでながら言及すれば、鳩山政権が試みているような特別外国人への参政権などの問題はその歴史的な植民地の意味の再認識や、経済的社会的な理由で植民地時代以降も日本へやってきたもしくは余儀なくされた朝鮮人の真実の姿を顧みることなく、また移民政策を確立することもなく施行されるべきではない。人権を顧みることなく表層的なリベラリズムを標榜するぐらいならば積極的に二重国籍の施行を利用すべきである。



参照:
Lebenslang gegen Alex W. für Mord aus Fremdenhass, Peter Schneider, FAZ vom 12.11.09
帰国した日系ブラジル人の苦悩 (時空を超えて)
ドイツ語で喋るということは 2009-11-05 | 女
あまりふれたくない真実 2009-11-03 | マスメディア批評

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