goo blog サービス終了のお知らせ 

Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

孤立へと逃げ込む小日本

2012-09-28 | マスメディア批評
孤立する日本の行方について大きな記事が新聞を飾っている。現在話題となっている中国との魚釣島問題であり、韓国との竹島問題に見るように世界で孤立を深めかねない日本の民族主義者の勃興に関する歴史的な説明である。

しかしここでは合衆国が背後にいることや、そしてその戦後処理と現在の合衆国との関係などは間接的にしか触れられていない。要するに、現時点における歴史的な解釈について述べられているに過ぎない。

尖閣列島の国有化に発した今回の事件の背後関係は徐々に明らかになっていくのかもしれないが、それ以前の前提として近隣諸国と日本政府もしくは日本人の間にある歴史解釈の齟齬を説明しているのである。

中国や朝鮮は日本の侵略行為を帝国主義的なそれであるとしか見ていないのに対して、日本では西洋列強からの亜細亜の開放と共栄圏の確立にあった訳で、西欧の者は驚くかもしれないが実際にビルマのアンサンスーチーの父親やインドのチァンドラ・ボースは一時は大日本帝国と協力関係にあったというのは事実であると記す。

それ以前に、第一次世界大戦で日英同盟や合衆国の調停に終わった日露戦争から引き続く富国強兵を世界に示すことに為ったに拘らず、その結果が十分に報われなかったとするのが、近隣諸国とは異なり植民地化することなく開国と近代化の道を歩んできた唯一の亜細亜の国の不満であった。列強の仲間入りしたことで、「人種的平等」をもヴェルサイユ条約での条文として提案したに拘らず白人列強に否定された事実をして、その後のこの種の日本の民族主義者の本質を上手く浮かび上がらせている。

余談であるが、フランスのルペン女史が「フランス共和国内の白人差別」を掲げて、運動を行っているのと同じように、明治以来人種差別を為政者が上手に使ってきたのが伺える。今回の都知事の合衆国での買取の発表やその他の状況から如何にこれらの民族主義者が実はその背後の金だけで動いているかが良く分るのである。そもそも、現在においては当然のことヴェルサイユ条約の時点においても人種差別撤廃条項を提唱している日本人がそれほど純粋に理想主義的な課題に素朴に取り込んでいるとは思われないのである。遥かに強かな筈である。

今回の一連の騒動で大都市の駅前には右翼の宣伝カーが多くの一般市民を引きつけて一般市民を高揚させたとあるが、残念ながらIWJなどでは放送されていなかったので全くその感覚は実感していない。更にユニクロの「張り紙問題」で、大規模な不買運動が起きていたことも新聞にはあるが、全く気がつかなかった。釈明があったにしても国内市場での業績が落ちるほどにその運動の影響が出るのかでないのか注目される。

「先軍政治」となった大日本帝国にもそれなりの大義名分があったことは確かであり、大東亜共栄圏への道を進めたにせよ、不公平条約の影が日本のエリートにコムプレックスとして残ったのは現在の中国のそれと同じであるとする。そして、荒唐無稽の天皇の国体思想が西洋とキリスト教社会と大きく分けた点であるとする。そして、時期の総理とされる安倍元首相が復活してきたのも決して偶然ではなく、大阪の橋下の勃興における民族主義的な流れとして捉えられる。教員に国旗斉唱を義務付けた意思と、慰安婦を真っ向から否定する意思は全く同一のものであって、その背景にはドイツとは異なり継続する天皇制を残した戦後処理があったとするのが、対外的な分析であるのは間違いない。

永い幕府の鎖国から、開国、そして不平等条約、見かけだけの近代化の裏には封建的な文化が隠れていて、その社会的な関係から生み出される困難な言語を用いて、島国根性から敢えて孤立の道へと歩む日本の姿が分析されている。



参照:
Hüter der Nation, Peter Sturm,
Die langen Schatten, Carsten Germis, FAZ vom 22.9.2012
容易な人種主義の程度 2012-09-26 | BLOG研究
知性に劣る民を卑下する美徳 2009-04-06 | マスメディア批評
文明のシナ化への警告 2008-10-26 | 文学・思想
理性を超える人種主義 2006-10-13 | 文学・思想
「黄禍」の真意 2006-10-12 | 文学・思想

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「先ずは心の準備」の価値 | トップ | 帝国陸軍一兵卒の気持ち »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。