日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

保存戦記から「東京中央郵便局を重要文化財にする会」へ

2008-03-22 13:34:17 | 建築・風景

日経アーキテクチュア誌に1年間12回に渡って連載した「保存戦記」が3月10日号で終わった。
最終回のタイトルは「僕を保存活動へと導いた、母校本館の取り壊し」。
関東大震災直後の大正14年(1925年)にRC造で建てられた母校、千葉県立東葛飾高校本館の解体が僕の保存活動の原点なのだ。
本館を部室として使っていた在校生による生徒会が保存活動を始め、それをPTA会長が支え、同窓会会長が解体に同意した。その経緯に僕の好奇心が刺激された。
14年前のことだ。以来建築をつくりながら、様々な建築の保存に関わってきた。建築感が変わり、多くの人々との出会いがあった。教えられることが沢山あった。皮肉なことだが、若き日の記憶の詰まった建築の解体があって今の僕がある。年をとっても学ぶことが沢山あるということも学んだ。

保存活動をやってきて得たのは、`建築への愛情と価値感`の共有ができないと残せないということである。戦っては価値感の共有はできない。だから日経アーキの副編集長宮沢さんから掲載の打診があったとき、「戦記」というタイトルに一瞬、逡巡した。しかし戦いは僕自身への戦いでもあり、社会のシステムや時代への戦いでもあるのではないかとも思った。
多くの人と一緒に活動し、何年もかかわってファイルが数冊になった例もある。それを600字程度のコラムに書くのはなかなか難しい。でも面白かった。
宮沢さんに学んだことも多い。彼は文章の組み立て方などに結構厳しいのだ。わかりやすく、明快に!もっともだがそれだと僕の文体でなくなる、などと楽しいやり取りをした。

今年の新春の入稿のとき、「昨年は、フランク・ロイド・ライト建築アーカイブス主催の国際シンポジウムのコーディネータ役など、12月に入ってからまで様々な役割を担うことになった、『今年はのんびりしたい』」と宮沢さんに言うと、カネマツさんに、のんびりは似合いませんよ!と言われてしまった。溜息が出た。でも喜ばしいことか?

「僕自身の保存戦記はいつ終わるのか」と書いて保存戦記を閉じたが、1月9日、TBSラジオ「スタンバイ」からの、建築学会で策定した「建築物の評価と保存活用ガイドライン」の取材と、北海道近代美術館で行われた「北海道の建築家展」の上遠野徹さんのコーナーに、DOCOMOMOの活動を紹介するパネル展示の打ち合わせを、パネル制作をしてくれる東海大の渡邊研司准教授や学生との打ち合わせによって今年が始まってしまった。
2月になって、DOCOMOMOからの学習院ピラミッド校舎群の保存要望書の提出。鎌倉近代美術館についての相談のために、高階秀爾先生、阪田誠造さん、鈴木博之先生、坂倉竹之助さんと共に鎌倉行き。愛知県立芸術大学存続の相談に吉村順三邸訪問。22日には、学習院ピラ校シンポにパネリストとして参画。残したい東京女子大旧体育館の東女OGとの相談。なんとしたことか、年が変わっても僕の生活は一向に変わらない。

そして、東京中央郵便局。
郵政の中に昨年来「歴史検討委員会」(非公開)が設置されて審議されてきたが、このままだとほんの一部を貼り付けて高層化し、民意を受けて保存したのだといわれかねない。思い余って、危機感を持つ多くの人と共に「東京中央郵便局を重要文化財にする会」を設立することになった。
時間がない。3月25日、憲政記念館の会議室を借りて設立発起人会を開催することにした。準備会を開いたのが13日だから12日後ということになる。
さーて。何人の方々に賛同をいただけるか。建築家吉田鉄郎のつくった大阪中央郵便局と共に、日本の近代建築史を考える上でも大切な、「東京中央郵便局庁舎全面保存」の正念場かもしれない。

このブログを読んでくださる方々にお願いしたい。ぜひ発起人に名前を連ねていただきたいのです。恐縮ですが、ブログにリンクさせている僕のHPの「イベント情報」欄を、ぜひ開いてください。たってのお願いです。

<写真 日本工業倶楽部会館屋上から撮った。2006年6月19日にこのブログに掲載したものの再録。既にこの丸の内の風景が変わっている>


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2 コメント

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遅かりし? ()
2008-03-26 21:35:48
でしたでしょうか?
賛同者としての返信メール・・・お役に立てなかったとしたら申し訳ありません。
m(_ _)m
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記載させていただきました (penkou)
2008-03-27 10:04:19
mさん。ありがとうございます。moroさんとともに記載させていただきました。近じか設立の報告をこのブログにも記載しようと思います。
会が成立したので、発起人は賛同者ということにさせていただきたいと思っています。発起人は120名ほどになりました。今後この会の趣旨などを多くの人にお知らせして、1000人くらいの方に賛同者として名を連ねていただきたいと思っています。
頂いたアドレスを整理して、お名前など公開(要望書に出来得れば添付したい)していいかなど、おききしお願いしたいと考えています。今後も何卒よろしく!
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