日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

沖縄文化紀行 5 JAZZ「屋良文雄」の場合

2005-12-07 18:04:22 | 沖縄考

那覇に屋良文雄というJAZZピアニストがいる。
僕が沖縄のJAZZシーンを語ろうとすると、屋良文雄と彼のライブハウス「寓話」になってしまう。仕方がないのだ。沖縄はJAZZの宝庫だということは解っているのだが、「寓話」以外のライブハウスに行ったことがないのだから!でも屋良文雄のライブを楽しむことで、沖縄のJAZZを味わったと言っていいような気がしている。

学生を連れて寓話のドアを押すと、カウンターに座って談笑していた屋良さんが振り向いて、オヤッという顔をした。元気そうな顔を見てふっと安心した。やあ3年振りでと言うと、見たことあるなあ!と両腕で僕を抱えるようにして背中をぽんぽんと打ってくれた。こんなライブハウスってある?

パーソネルはこうだ。Drums津嘉山善栄、E・Bass武島正吉、Alto・Sax石崎文紀、そしてPiano屋良文雄。スタンダードナンバーを次々とほとばしるように演り、ワンステージ目の最後は「A列車で行こう」
一段高いカウンター席から女性客のかけ声!がかかる。中年のなにやら怪しげなカップルが、ベリーダンスを始める。思い出したのだが3年前魅せられて三日三晩通ったときも彼らが踊りだした。常連さんだ。ごくごく当たり前のことなのだろう。皆知らん顔をしている。同行したB君は手や脚でリズムを取りながら踊りには目も向けず‘かっこいいなあ!‘を連発している。

まあ此処はミュージッシャンの戦いの場だからなあ!屋良さんがプレイヤーを見る目つきは鋭く、しかし優しい。男が真剣勝負をしているのだ。僕たちを楽しませながら。
僕たちはゴーヤチャンプルをつまみながら、ちびちびと泡盛をストレートで口に含む。なんという夜だ。体が踊りだすのだ。
米軍キャンプやアメリカで鍛えられた沖縄JAZZ協会の会長でもある屋良さんの、リズミカルで何処かナイーブなピアノのタッチは誰に似ているといえばよいか。いやいややはり屋良文雄のピアノだ。

ちょっと気取って格好よく書き終わり、いつものようにFINDLATER`Sを口に含みながらぼんやりと考えていたら、「寓話」が気になってきた。コンサートを収録したアルバムに‘ミッドナイトイン寓話`という屋良さんのつくった曲が収録されている。ミッドナイトというタイトルの割には勢いのあるプレイなのだ。
寓話。イソップ物語のように動物を擬人化した風刺が含まれたたとえ話。
屋良さんのJAZZに託した「寓話」とはなんなのだろうか。