郵政事業見直し~政権の迷走と経済への影響
BPnet 真壁昭夫 2010年4月12日
3月下旬、亀井金融・郵政改革担当大臣と原口総務大臣が発表した、郵政事業の見直し案については、政権内部でも意見が分かれました。一時は、事態 の収束も困難と思われるほどの混乱振りでしたが、最終的には、鳩山首相の決定によって、当初案がそのまま通ってしまった格好です。見直し案について、しっ かりした検証もなく、効率の低い巨大な官製金融機関を残すことは、長い目で見て、わが国経済の発展を阻むこともなりかねません。まさに、民主党政権の迷走 が浮き彫りになったと思います。
小泉改革から180度の転換
先ず、今回の見直し案の内容を整理すると、主な内容は2つあります。一つは、今国会に提出予定の郵政改革基本法案の成立にあわせて、郵便貯金の預 入限度額を現行1000万円から2000万円に、簡易保険の限度額を1300万円から2500万円にそれぞれ拡大することです。もう一つは、政府から郵政 親会社への出資と、親会社から子会社への出資をそれぞれ3分の1超とすることです。
それ以外にも、郵政事業会社間で消費税の支払いを免除するという議論もあるようですが、主要な2つの変更点を見ると、小泉改革で、郵政事業を民営 化して民間事業会社とし、コーポレートガバナンスの働きで、事業を効率化するといった考え方を、大きく変えようという意図が見られます。国の出資を3分の 1超とすることは、基本的に、郵政事業を国の事業としての位置づけに継続することを狙っているということでしょう。
郵政関連事業を国の事業と位置づけ、さらに、郵貯の預け入れ金額の上限や、簡易保険の限度額を拡大する分けですから、おそらく、郵政関連事業の規 模が拡大することになるはずです。それは、「民間でできることは民間に任せる」という、小泉改革の考え方を180度変えることになると思います。こうした 動きは、郵政民営化に反対した亀井氏が、金融・郵政改革担当大臣に就任したときから予想されたことですが、それが、具体的に動き出したといえるでしょう。
一部利用者にはベネフィットも
今回の見直しの背景には、かなり複雑な事情があると思います。最初に思いつくのは、小泉改革を批判して、昨年夏の衆院選挙で政権交代を実現した民 主党の戦略です。民主党の戦略は、小泉改革に不満を持つ人たちの不満を集める戦略を明確にしていたと思います。その一つが、特定郵便局長会や労働組合など の郵政民営化に反対したグループです。そうしたグループからの賛同を得ることは、今年夏の参院選挙にも有利に働くことが考えられます。
地方の過疎地などで、郵政民営化に伴って、実際にサービスの低下に直面した人々にとっても、今回の見直しはそれなりにベネフィットがあると見られ ます。また、預け入れ金額が拡大することは、一般の郵貯の利用者にとっても使い勝手がよくなるはずです。国の信用力供与が強化されるわけですから、それだ けリスクの低い金融機関に、他の金融機関と殆ど遜色のない金利で預金をできるというメリットも大きいと思います。
また、実際に郵政関連事業を経営している側から見ると、預入金額の拡大等によって、事業規模が拡大することは、それだけ社会の中で発言力が高まる ことになります。さらに、郵政事業の規模が大きくなると、国債の購入可能額も増大することになると予想されます。それは、今後、国債の消化には有利に働く と考えられます。国債を発行する側にとって見れば、それは大きなメリットになります。少なくとも、郵政関連事業会社の国債購入余力が増加することで、短期 的な金利の上昇を抑えることも考えられます。
一方、郵政事業に多額の資金が流入すると、民間金融機関から預金が流出することが考えられます。いわゆる民業圧迫です。それが、短期間に大きな流 れになるとは思いませんが、中・長期的には、民間金融機関、特に、地方の中小金融機関が痛手を受ける可能性は高いでしょう。
最終的にコストは税金で負担か
実は、今回の見直し案で最も心配なことは、郵政関連事業の中には、郵便事業など、効率が悪く、収益性の低い分野があります。今回の見直しによっ て、そうした事業が国の事業として残ってしまうと、その分野の合理化が遅れて、社会全体のコストを増加させる可能性があります。そのコストは、最終的に、 社会全体=私たちの税金で負担することになります。
また、郵政関連事業会社の資金運用にも問題があります。今まで、郵政関連事業に集まった資金の多くは、国債購入に向けられてきました。これから も、そうした状況は大きく変わらないでしょう。金利水準が下落している間は、そうした運用でも利益を上げることは可能です。しかし、金利水準が上昇し始め ると、国債の長期金利は固定である一方、郵貯の貯金金利の上昇によって、収益状況は悪化するはずです。
また、多額の資金が郵便貯金などの経路を通って、安全資産である国債に回ることになると、社会全体のリスクマネー=リスクをとっても良いという投 資資金が、減少することが考えられます。リスクマネーの規模が低下すると、産業分野へ流れる資金量が減って、経済全体の成長率を低下させることも想定され ます。それは、わが国の経済全体にとって、マイナスの影響を与えることになりそうです。
真壁氏は考え違いをしている。
そもそも民営化する必然性はなかった。非効率的な部分は確かにあったろうしその点で改善は必要だったろう。だが、郵便局には税金は一切使われていなかった。公務員数の削減など、見かけ上は減ったとしてもそれで国のお金が節約できたわけではない。小泉や竹中の嘘だ。給料は自分たちの稼ぎから出していた。逆に税金を国に納めていたくらいである。「最終的にコストは税金で負担か」などと言っているが元々税金を使っていない、逆に税金を国に納めている組織を無駄にいじくるからそうなるのだ。
郵政民営化は日本のことを考えてのことではない。小泉俊明議員も「郵政民営化の本質は350兆円もの郵貯・簡保資金をアメリカの財布にすることだった」と述べている。でなければ郵政民営化会議という日本の内政のことにアリコやアフラックなどのアメリカの保険会社が17回も参加するはずがない。小泉や竹中は日本を売ったのだ。小泉「改悪」はあっっても小泉「改革」はない。
真壁氏は特定郵便局会を一種の圧力団体ととらえているようだが、そもそも特定郵便局とはどんなものか分かって言っているのだろうか。
「臥龍通信」というサイトに「郵政民営化法案の欠陥」と題する記事があり、以下そこから必要な情報をピックアップする。
平成15年当時、普通郵便局1,310ヵ所、簡易郵便局4,470ヵ所、特定郵便局18,935ヵ所の計24,715ヵ所の郵便局で郵政事業は成り立っていた。
普通郵便局と簡易郵便局(計5,780カ所)は郵便局の土地や建物などを国家資産や地方自治体委託で運営されているのに対し、特定郵便局は、特定郵便局長の個人資産で郵便局の土地と建物が提供されている。本来国がそうすべきところ国にお金がないために個人の試算を提供してもらいその特典として公務員の地位を保証したものである。特定郵便局長というのはそういう特殊な公務員である。
以下は「臥龍通信」からの引用である。
「公務員の地位」と「世襲制」が否定される郵政民営化は、20年や30年の個人ローンで郵便局を建てた「特定郵便局」にとっても大きなリスク問題です。継 続するにしても民間企業としてリスクがあるわけで、廃止になればローンリスクは個人にかかってきます。郵政事業のために土地と建物の資産リスクを負担する 「特定郵便局」はとても「郵政民営化企業の社員」にはなれません。
「特定郵便局」の世襲制が批判されることもありますが、「特定郵便局」の建て替えや移転で個人ローンのリスクを負うのは「特定郵便局」の個人です。約1万 9000の「特定郵便局」の土地や建物を国家が用意すればいいのですが、それだけの国家資金がないために個人の資産で運営されているのが郵便局です。
コンビニ・チェーンのオーナーがコンビニ本社から、「土地と建物と内装の資金を負担してくれ。しかし、子供には事業は継承させないし、オーナー店長でもク ビになり給与がない場合もある」と言われても困りますし、だれもそんなチェーンに資金を出して参加しません。今回の郵政民営化はまさに資金は出させる が、世襲も雇用も保証しないという過酷な民営化なのです。郵政事業は国家によって成り立っているのではなく、「特定郵便局」の個人資産で成り立っているの に、国家のものだと民営化しようとしています。税金を自分の金と勘違いして無駄使いする中央官庁の官僚を放置して、自分の資産を提供までして税金も使わず 運営されている郵政事業がなぜ悪者扱いなのか分かりません。
一般公務員とは違う個人の資産を提供して郵政事業を支えている「特定郵便局」の問題は、今後十分に話し合ってこれまでの約束も認めながら、民営化するなら 慎重な「特定郵便局」との協議が必要です。国民の多くは郵政事業は国家事業で、すべて国家資産の国有事業と思っているかもしれませんが、JRで言えば、全国の駅が社員の個人資産の提供で企業運営されてるようなもので、NTTで言えば、全国のNTT支店の土地と建物が社員の個人資産の提供で企業運営されるようなものです。新たな郵便局の開設には個人資産が必要で、社員に給与を払い、社員に賃貸料を払っているといっても、いつ廃止されるかの不動産リスクを負うの は個人の社員です。郵政民営化は小泉首相が考えるほど簡単なものではなかったのです。
「民間でできることは民間に任せる」-全国津々浦々、辺鄙なところにも郵便局はあった。赤字の所もあったろう。民営の企業なら赤字の事業所は廃止だろう。ならば郵政事業は民間でできないことである。したがって民営化は間違いだったのだ。
預け入れ限度額の引き上げが民業を圧迫すると言われるがユニバーサル・サービスの維持ということであれば納得がいくのではないか。
都会の人には郵便局の存在価値は理解できないかも知れないが、たとえば自分の実家などの田舎には民間金融機関なんてほとんどない。コンビニもない。そんなところでは郵便振込を扱ってないところへの振込があると大変である。地方にあっては郵便局は単なる事業体ではなく、たとえばひとり暮らしの老人に声をかけるなど地域のつながりを維持するなどの役目も果たしてきた。利益が上がらなくともそれなりの数を設置して国のサービスはどこにいても平等に受けられることが望ましい。都会育ちの小泉氏や真壁氏にはわからないだろうが。
BPnet 真壁昭夫 2010年4月12日
3月下旬、亀井金融・郵政改革担当大臣と原口総務大臣が発表した、郵政事業の見直し案については、政権内部でも意見が分かれました。一時は、事態 の収束も困難と思われるほどの混乱振りでしたが、最終的には、鳩山首相の決定によって、当初案がそのまま通ってしまった格好です。見直し案について、しっ かりした検証もなく、効率の低い巨大な官製金融機関を残すことは、長い目で見て、わが国経済の発展を阻むこともなりかねません。まさに、民主党政権の迷走 が浮き彫りになったと思います。
小泉改革から180度の転換
先ず、今回の見直し案の内容を整理すると、主な内容は2つあります。一つは、今国会に提出予定の郵政改革基本法案の成立にあわせて、郵便貯金の預 入限度額を現行1000万円から2000万円に、簡易保険の限度額を1300万円から2500万円にそれぞれ拡大することです。もう一つは、政府から郵政 親会社への出資と、親会社から子会社への出資をそれぞれ3分の1超とすることです。
それ以外にも、郵政事業会社間で消費税の支払いを免除するという議論もあるようですが、主要な2つの変更点を見ると、小泉改革で、郵政事業を民営 化して民間事業会社とし、コーポレートガバナンスの働きで、事業を効率化するといった考え方を、大きく変えようという意図が見られます。国の出資を3分の 1超とすることは、基本的に、郵政事業を国の事業としての位置づけに継続することを狙っているということでしょう。
郵政関連事業を国の事業と位置づけ、さらに、郵貯の預け入れ金額の上限や、簡易保険の限度額を拡大する分けですから、おそらく、郵政関連事業の規 模が拡大することになるはずです。それは、「民間でできることは民間に任せる」という、小泉改革の考え方を180度変えることになると思います。こうした 動きは、郵政民営化に反対した亀井氏が、金融・郵政改革担当大臣に就任したときから予想されたことですが、それが、具体的に動き出したといえるでしょう。
一部利用者にはベネフィットも
今回の見直しの背景には、かなり複雑な事情があると思います。最初に思いつくのは、小泉改革を批判して、昨年夏の衆院選挙で政権交代を実現した民 主党の戦略です。民主党の戦略は、小泉改革に不満を持つ人たちの不満を集める戦略を明確にしていたと思います。その一つが、特定郵便局長会や労働組合など の郵政民営化に反対したグループです。そうしたグループからの賛同を得ることは、今年夏の参院選挙にも有利に働くことが考えられます。
地方の過疎地などで、郵政民営化に伴って、実際にサービスの低下に直面した人々にとっても、今回の見直しはそれなりにベネフィットがあると見られ ます。また、預け入れ金額が拡大することは、一般の郵貯の利用者にとっても使い勝手がよくなるはずです。国の信用力供与が強化されるわけですから、それだ けリスクの低い金融機関に、他の金融機関と殆ど遜色のない金利で預金をできるというメリットも大きいと思います。
また、実際に郵政関連事業を経営している側から見ると、預入金額の拡大等によって、事業規模が拡大することは、それだけ社会の中で発言力が高まる ことになります。さらに、郵政事業の規模が大きくなると、国債の購入可能額も増大することになると予想されます。それは、今後、国債の消化には有利に働く と考えられます。国債を発行する側にとって見れば、それは大きなメリットになります。少なくとも、郵政関連事業会社の国債購入余力が増加することで、短期 的な金利の上昇を抑えることも考えられます。
一方、郵政事業に多額の資金が流入すると、民間金融機関から預金が流出することが考えられます。いわゆる民業圧迫です。それが、短期間に大きな流 れになるとは思いませんが、中・長期的には、民間金融機関、特に、地方の中小金融機関が痛手を受ける可能性は高いでしょう。
最終的にコストは税金で負担か
実は、今回の見直し案で最も心配なことは、郵政関連事業の中には、郵便事業など、効率が悪く、収益性の低い分野があります。今回の見直しによっ て、そうした事業が国の事業として残ってしまうと、その分野の合理化が遅れて、社会全体のコストを増加させる可能性があります。そのコストは、最終的に、 社会全体=私たちの税金で負担することになります。
また、郵政関連事業会社の資金運用にも問題があります。今まで、郵政関連事業に集まった資金の多くは、国債購入に向けられてきました。これから も、そうした状況は大きく変わらないでしょう。金利水準が下落している間は、そうした運用でも利益を上げることは可能です。しかし、金利水準が上昇し始め ると、国債の長期金利は固定である一方、郵貯の貯金金利の上昇によって、収益状況は悪化するはずです。
また、多額の資金が郵便貯金などの経路を通って、安全資産である国債に回ることになると、社会全体のリスクマネー=リスクをとっても良いという投 資資金が、減少することが考えられます。リスクマネーの規模が低下すると、産業分野へ流れる資金量が減って、経済全体の成長率を低下させることも想定され ます。それは、わが国の経済全体にとって、マイナスの影響を与えることになりそうです。
真壁氏は考え違いをしている。
そもそも民営化する必然性はなかった。非効率的な部分は確かにあったろうしその点で改善は必要だったろう。だが、郵便局には税金は一切使われていなかった。公務員数の削減など、見かけ上は減ったとしてもそれで国のお金が節約できたわけではない。小泉や竹中の嘘だ。給料は自分たちの稼ぎから出していた。逆に税金を国に納めていたくらいである。「最終的にコストは税金で負担か」などと言っているが元々税金を使っていない、逆に税金を国に納めている組織を無駄にいじくるからそうなるのだ。
郵政民営化は日本のことを考えてのことではない。小泉俊明議員も「郵政民営化の本質は350兆円もの郵貯・簡保資金をアメリカの財布にすることだった」と述べている。でなければ郵政民営化会議という日本の内政のことにアリコやアフラックなどのアメリカの保険会社が17回も参加するはずがない。小泉や竹中は日本を売ったのだ。小泉「改悪」はあっっても小泉「改革」はない。
真壁氏は特定郵便局会を一種の圧力団体ととらえているようだが、そもそも特定郵便局とはどんなものか分かって言っているのだろうか。
「臥龍通信」というサイトに「郵政民営化法案の欠陥」と題する記事があり、以下そこから必要な情報をピックアップする。
平成15年当時、普通郵便局1,310ヵ所、簡易郵便局4,470ヵ所、特定郵便局18,935ヵ所の計24,715ヵ所の郵便局で郵政事業は成り立っていた。
普通郵便局と簡易郵便局(計5,780カ所)は郵便局の土地や建物などを国家資産や地方自治体委託で運営されているのに対し、特定郵便局は、特定郵便局長の個人資産で郵便局の土地と建物が提供されている。本来国がそうすべきところ国にお金がないために個人の試算を提供してもらいその特典として公務員の地位を保証したものである。特定郵便局長というのはそういう特殊な公務員である。
以下は「臥龍通信」からの引用である。
「公務員の地位」と「世襲制」が否定される郵政民営化は、20年や30年の個人ローンで郵便局を建てた「特定郵便局」にとっても大きなリスク問題です。継 続するにしても民間企業としてリスクがあるわけで、廃止になればローンリスクは個人にかかってきます。郵政事業のために土地と建物の資産リスクを負担する 「特定郵便局」はとても「郵政民営化企業の社員」にはなれません。
「特定郵便局」の世襲制が批判されることもありますが、「特定郵便局」の建て替えや移転で個人ローンのリスクを負うのは「特定郵便局」の個人です。約1万 9000の「特定郵便局」の土地や建物を国家が用意すればいいのですが、それだけの国家資金がないために個人の資産で運営されているのが郵便局です。
コンビニ・チェーンのオーナーがコンビニ本社から、「土地と建物と内装の資金を負担してくれ。しかし、子供には事業は継承させないし、オーナー店長でもク ビになり給与がない場合もある」と言われても困りますし、だれもそんなチェーンに資金を出して参加しません。今回の郵政民営化はまさに資金は出させる が、世襲も雇用も保証しないという過酷な民営化なのです。郵政事業は国家によって成り立っているのではなく、「特定郵便局」の個人資産で成り立っているの に、国家のものだと民営化しようとしています。税金を自分の金と勘違いして無駄使いする中央官庁の官僚を放置して、自分の資産を提供までして税金も使わず 運営されている郵政事業がなぜ悪者扱いなのか分かりません。
一般公務員とは違う個人の資産を提供して郵政事業を支えている「特定郵便局」の問題は、今後十分に話し合ってこれまでの約束も認めながら、民営化するなら 慎重な「特定郵便局」との協議が必要です。国民の多くは郵政事業は国家事業で、すべて国家資産の国有事業と思っているかもしれませんが、JRで言えば、全国の駅が社員の個人資産の提供で企業運営されてるようなもので、NTTで言えば、全国のNTT支店の土地と建物が社員の個人資産の提供で企業運営されるようなものです。新たな郵便局の開設には個人資産が必要で、社員に給与を払い、社員に賃貸料を払っているといっても、いつ廃止されるかの不動産リスクを負うの は個人の社員です。郵政民営化は小泉首相が考えるほど簡単なものではなかったのです。
「民間でできることは民間に任せる」-全国津々浦々、辺鄙なところにも郵便局はあった。赤字の所もあったろう。民営の企業なら赤字の事業所は廃止だろう。ならば郵政事業は民間でできないことである。したがって民営化は間違いだったのだ。
預け入れ限度額の引き上げが民業を圧迫すると言われるがユニバーサル・サービスの維持ということであれば納得がいくのではないか。
都会の人には郵便局の存在価値は理解できないかも知れないが、たとえば自分の実家などの田舎には民間金融機関なんてほとんどない。コンビニもない。そんなところでは郵便振込を扱ってないところへの振込があると大変である。地方にあっては郵便局は単なる事業体ではなく、たとえばひとり暮らしの老人に声をかけるなど地域のつながりを維持するなどの役目も果たしてきた。利益が上がらなくともそれなりの数を設置して国のサービスはどこにいても平等に受けられることが望ましい。都会育ちの小泉氏や真壁氏にはわからないだろうが。