八国山だより

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放課後子ども教室、学力格差

2006-08-30 11:19:00 | ニュース・時事
 教育に関する話題を2つ。

【記事1】[毎日新聞 2006年8月30日 東京朝刊]

放課後子ども教室:文科省、公立小2万校で導入--来年度から

 文部科学省は29日、ほぼ全公立小学校に相当する2万校で、放課後や週末に児童を預かる「放課後子ども教室」を来年度から設ける方針を明らかにした。来年度予算の概算要求に約138億円を盛り込んだ。空き教室などを利用し、退職した教員や大学生らが勉強やスポーツを無料で教える。

 放課後子ども教室では、平日と土曜に2人の「安全管理員」とボランティアが待機。スポーツや住民との交流に取り組むほか、教職を目指す大学生や退職教員らを「学習アドバイザー」として配置し、補習などを実施。教室は午後3時から午後5~6時ごろまで開く。

 教室終了後、共働き家庭などで10歳未満の児童は従来の学童保育を受ける。厚生労働省は来年度、学童保育実施地域を放課後子ども教室と同様に5900カ所増の2万カ所に拡大する方針で、来年度予算の概算要求に約190億円を盛り込んだ。「放課後子どもプラン」として両省で連携しながら進める。【長尾真輔】



【コメント】
 これは現在の学童クラブに代わるものだろうか。学童クラブは、人数や時間の制限があって、あるものは通っている学校の学童クラブ(たいていは学校の敷地内かその近くにある)に入れなかったり、入れても時間が午後5時半までと共働きの家庭ではその時間までに迎えにいくことは非常な困難なことを伴っていたりした。これが解消されるのだろうか。

 また、教員OBによる公立の「塾」という、本来学校教育がしっかりしていれば無用の長物である本末転倒のことを以前文科省のエライ人たちが画策していたがそれとの関係はどうなのか。


【記事2】[読売新聞 08月30日 03時04分]
公立小中校長の9割「学力格差、将来広がる」


 公立小中学校長の約9割が、「20年前に比べて家庭の教育力が低下している」と受け止め、「将来、学力格差は広がる」と見ていることが29日、東京大学基礎学力研究開発センターの全国調査で明らかになった。「教育改革がはやすぎて現場がついていけない」と感じる校長も9割近くにのぼっており、改革に戸惑う現場の実態も浮き彫りになっている。

 調査は先月から今月にかけ、全国の小中学校の約3分の1の1万800校を対象に行われ、約4割の校長から回答が届いた。

 それによると、「子どもの学力が20年前に比べ下がった」とみるのは小学校で42%、中学校では57%。小学校の76%、中学校の65%が「子どもを教えにくくなっている」と答えた。

【コメント】
 先日現役の小学校教員(35年近くの勤務経験)の方と話す機会があったが、「ゆとり」教育」になって事務的な仕事が増えて忙しくなり、生徒のために費やせる時間が減ったという。「ゆとり」教育は現場の先生からも生徒からもゆとりを奪った。

 この春まで小学生だった息子の実態を思えば「学力格差、将来広がる」はさもありなんだと思う。学校では必要最低限のことをしか施さずあとは各人で努力してくれてという姿勢だ。昔は学校でやることをきっち履修していれば一定の学力は保証されたが、今は学校でやることだけやっていては中学校では落ちこぼれ、高校進学は夢のまた夢ということなる。

 もちろん息子の担任だった先生のように年間100冊の読書を課したり、毎週の作文提出て添削などで個人レベルで努力をしてくれる先生もいらっしゃる。ほかにもきっといらっしゃるだろう。だが、その努力にも限界というものがある。40人の生徒をきっちりフォローするのは困難がある。今のシステムでは、学力低下、両親の懐に余裕があれば塾や家庭教師でフォローができそうでないものとの格差が生まれて必然だと思う。

 もっともこれは文科省の狙いどおりなのかも知れない。少数のエリートと黙ってついてくる(馬鹿な)大衆がいればいいと三浦朱門をして言わしめていたのだから。だが、それでは世界一だった日本の物づくりの基盤が失われることになる。つまり日本が壊れることになると思うのだが…。





戦時体制を整えつつあるのか

2006-08-27 06:08:40 | ニュース・時事
【記事 1】
自衛隊海外派遣「恒久法」制定目指す 新政権で安倍氏 [ 08月25日 21時03分 ]
共同通信

 安倍晋三官房長官は25日午後、都内で講演し、自衛隊の海外派遣について「恒久的な法律が必要だ。それによって機動的な対応も可能になる」と述べ、首相に就任した場合、派遣を常時可能にする「恒久法」制定を目指す考えを表明した。
 またそれに伴い「万が一、一緒に活動している外国の軍隊が攻撃されたら(自衛隊は)黙って見ていていいのか。真剣に考えないといけない」と指摘、イラク南部サマワで活動していた陸上自衛隊が英軍などの警護を受けたことを挙げ、派遣隊員の武器使用基準の緩和を検討すべきだとの認識を示した。
 恒久法は現在、自民党防衛政策検討小委員会(委員長・石破茂元防衛庁長官)が協議しており、「安倍政権」で具体化する見通しとなった。

【記事 2】[産経新聞 (08/24 02:39)]
「日本版CIA」検討 安倍氏

≪首相直轄で情報力強化≫

 安倍晋三官房長官が、次期首相就任を見据え、首相直轄の「対外情報機関」を創設し政府のインテリジェンス(情報・諜報(ちょうほう))機能の強化を検討していることが23日、明らかになった。「対外情報機関」は「日本版CIA」ともいえるもので、日本が自前の情報をもたなければ外交・安保政策は立ちゆかず、国と国民の安全、国益を確保することはできないとの問題意識がある。

 政府には現在、警察庁、公安調査庁、内閣情報調査室などの情報部門がある。しかし、国内の治安情報の収集、分析に重点が置かれ、対外情報の収集は諸外国に比べ人員、権限とも極めて脆弱(ぜいじゃく)で「戦後日本がもっとも軽視してきた分野」(自民党幹部)だといえる。

 検討されているのは、「対外情報機関」を内閣官房に置き、国内外で国際テロ情報、外国の政治、軍事情報の収集活動にあてる。米中央情報局(CIA)や英対外情報部(MI6)など各国の情報機関とも、情報交換をはじめ連携する体制を構築。要員は警察、防衛両庁や内閣情報調査室、外務省、民間から優秀な人材を登用する。

 現行の次官級の「内閣情報官」を官房副長官級へ格上げし、「対外情報機関」や情報を評価、分析するスタッフである「情報補佐官」を指揮。重要な情報は首相へ直接、報告を上げるシステムへ改善し、関係各省庁による「内閣情報委員会」も新設し政府の「インテリジェンス・コミュニティー」を確立する。

 安倍氏は自民党幹事長時代の平成16年、雑誌「正論」7月号で「国家戦略としての情報活動の重要性にいま一度目を向け、その機能を向上させなければならない」との考えを示している。今年3月には、「内閣情報官」に警察庁の三谷秀史外事情報部長(当時)を抜擢(ばってき)し、「安全保障や有効な外交を展開するためには情報収集能力が極めて重要だ」と強調した。

 自民党は6月、「国家の情報機能強化に関する検討チーム」(座長・町村信孝前外相)が、「対外情報機関」「内閣情報委員会」の創設などを提言しており、安倍政権が誕生すれば、これをたたき台に年内にも政府のインテリジェンス機能強化に着手するとみられる。

【コメント】
 憲法「改正」、集団的自衛権の容認、教育基本法「改正」、防衛省設置、ときてさらにこの自衛隊海外派遣「恒久法」である。
現状でも日米(軍事)同盟の下、アメリカの肩代わりで世界各地に覇権されそうな雲行きであるのにこんな法案が成立するようであれば…。イラクから陸自は撤退したが空自はまだ残っており、しかも英軍のP3Cが担当していた米軍の武器輸送を空自のP3Cがやらされている(憲法違反になる)とも聞く。

 共謀罪も視野に入っていることだろう。数の力で成立する様なことになれば言論の自由も脅かされない。

 日本版CIAに関しては、日本はスパイ天国とも言われ、かねてから情報収集能力に関しては問題があったので悪くはないが使い方を誤れば…。
911のテロはアメリカの自作自演であり、またイラクでよく起こっているテロも、どう考えてもテロリスト達では不可能な、軍事のプロの仕業でなければできないような爆破方式がとられており、そのそもアルカイダ自体も実際には存在しないのにアメリカがでっちあげているという説もある。そうした方向に暴走する懸念はないのだろうか。

 改憲され、自衛隊が専守防衛を捨て、自衛軍となれば防衛線が拡大し、あるいは韓国や中国との衝突も懸念される(竹島や尖閣諸島の領土問題)。台湾をめぐる米中間の紛争でアメリカの盾となる可能性もある。兵士が足りず、あるいは徴兵制となることも考えられる。安倍氏は子供がいないそうなので我が子が兵士として前線に送り込まれ戦争で死ぬといった心配はなかろうが(もっとも政治家どもは我が子がそんな目にあわないよう画策するだろう。自分だけよければと考える人種だから)。

 それにしても統一教会の結婚式に祝電を2度も送るほどのかかわりが安倍氏にあることをなぜ大手マスコミはとりあげないのだろう。



子育て負担と経済格差

2006-08-25 14:03:22 | 子育て
【記事】[毎日新聞 08月24日 20:21]

非正社員の負担際立つ 第一生命経済研

 第一生命経済研究所はこのほど、「子育て負担と経済格差」と題するリポートをまとめた。子供2人の養育費は平均で3126万円。非正社員の場合は生涯平均賃金の5割以上を占めることになり、1割強に過ぎない正社員に比べ、負担の大きさが際立った。

 リポートによると、非正社員の男性の生涯平均賃金は6176万円。子供2人の養育費は50.6%を占める。夫婦共働きでも、2人とも非正社員の場合は、27.6%と3割近くを占める。一方、正社員の男性の生涯平均賃金は2億4221万円。子供2人の養育費は12.9%にとどまり、夫婦ともに正社員の場合では7.9%に低下する。

 リポートをまとめた橋本択摩・副主任エコノミストは「非正社員が結婚・出産に二の足を踏むことは当然。若年層への就業支援は、少子化対策としても重要だ」と指摘している。【野原大輔】

【コメント】

第一生命のこの報告書では、ヒト・カネ・トキの側面から分析が行われている。

 ・ヒト - 97年を契機に、リストラ等により「正社員」の雇用数が大きく減少し、   一方で人件費の安い非正社員の数が顕著に伸びている。

 ・カネ - 「正社員」と「非正社員」の「生涯賃金格差」はおよそ1億8千万円にも  上る。

 ・トキ - 正社員数の減少と同時期より、正社員において「労働時間」の増加が見  られる。

 「ヒト」に関して報告書では団塊の世代の退職で持続的な「正社員増大・非正社員減少」の構図も見込めるとしていたが、果たしてどうだろうか。

 日本経団連が会員企業などに6月に実施した調査(回答560社)によると、8割近くの企業が若手社員が足りないと答えたにもかかわらず、フリーターを正社員に採用することには消極的な企業が大半だった。35歳前後以下の正社員の雇用は「不足」が26.5%、「やや不足」が52.2%に上ったにもかかわらず。企業は低賃金のフリーター、派遣社員、契約社員などを労働力構成の基盤として考えているのではないのか。

 一般国民の定率減税は廃止が決まっているのに、企業減税はまだ生きている。最近の労働法制は企業側に有利なように改訂されている。「トキ」といえば、リストラで残っている社員の負担が増えて帰宅時間も遅くなり、あまつさえ、「正社員の4割超が『不払い残業』(サービス残業)をしており、平均で月約35時間に上る」(労働政策研究研修機構)とのことである。企業の好景気は労働者の犠牲の上で成り立っている。
 
 フランスは、出生率が上がった数少ない国だが、出生率を上げるために行った政策は、家族手当UP、教育費を国が負担、子供のいる家庭への所得税軽減などといった金銭的な補助が中心である、そんなフランスに以前日本の官僚が勉強会に行った時、そんなお金の話じゃなくて、わが国はもっと精神論的なうんぬんかんぬん」とか反論して、フランスの官僚の失笑を買ったとか。

 子供を育て、教育するということにどれだけお金がかかるのか、また、子育てがどれほど一般的な家庭の負担になるのか、企業の経営者層、官僚や政治家の特に男どもはわかっているのだろうか。

 企業も国も自分のことしか考えていない。ほんとに出生率の減少を憂慮しているのだろうか。談合やら無駄な箱もの、自分のポケットマネーに使うお金はあっても出生率を向上させるためのお金はないとでもいうのだろうか。




日本版NSCに対する懸念

2006-08-24 15:52:58 | ニュース・時事
【記事】[毎日新聞 2006年8月23日 20時10分]
安倍官房長官:提唱の日本版NSC 官邸の機能強化図る

 安倍晋三官房長官が政権構想の柱の一つとして提唱した日本版NSCの設置案は、米国の外交・安全保障政策を審議する最高機関・国家安全保障会議(NSC=National Security Council)をモデルに首相官邸の機能強化を図るものだ。小泉純一郎首相が改革路線を主導するのに活用した経済財政諮問会議を意識しているとみられ、外交・安全保障分野の指導力で「安倍カラー」をアピールする狙いがある。

 安倍長官は22日の自民党南関東・北関東ブロック合同大会で「米国のホワイトハウスと官邸が定期的、戦略的に対話できるようにすることが必要」と述べ、日本版NSCを首相官邸に設置する考えを表明した。

 米NSCは大統領を議長に副大統領、国務長官、国防長官、安全保障担当の大統領補佐官らで構成され、ホワイトハウスに独自のスタッフを持つ。日本政府にも外交・安全保障分野の重要案件を決定する安全保障会議があるが、事前に外務省や防衛庁などで調整した方針を関係閣僚が承認する形式的な機関。米側との事務レベルの協議は外務省-国務省、防衛庁-国防総省間で行われているのが現状だ。

 安倍長官はNSC構想の詳細を明らかにしていないが、情報収集・分析や政策立案の機能を持つ新組織に安保会議を衣替えさせ、専従スタッフを大幅に拡充。安全保障担当の首相補佐官を置き、米NSCの大統領補佐官と連携する窓口にする考えとみられる。

 NSC構想自体は新しいものではなく、小泉首相の私的懇談会「対外関係タスクフォース」が02年に「外交安全保障戦略会議」(仮称)創設を提言したこともある。実現しなかったのは外務省、防衛庁などの機能・権限を首相官邸に移す大規模な機構改革が必要になり、政府・与党などの抵抗が大きいためだ。

 安倍氏の提案に対しては早くも外務省などから「米NSCは絶大な権限がホワイトハウスに集中する大統領制だから機能している」「情報漏えいを防ぐ法律もなしに権限・情報を集中できるのか」などけん制する声が出ている。【古本陽荘】

【コメント】
 アメリカの大統領制では、議会から大統領に対してチェックが働くが、日本の国会のように首相に対してチェックが働かない(国会が首相に対してノーを言わない)状況でこれが導入されたらどういうことになるのだろうか。

 もとより改憲され、防衛庁が防衛省となり、自衛隊が軍隊となれば、アメリカは米軍の補助兵として自らの代わりに世界各地に派遣しやすくなる。

 また、防衛省となって軍部が軍部の論理で動き出すようになれば、太平洋戦争へと日本を引きずり込んだ陸軍と同じ道をたどることも考えられる。『昭和史』の著者、半藤一利氏によれば日本人は歴史に学ばず、今でもそうだとのこと。国連憲章の敵国条項が生きている限りは、中国もことあれば戦前の侵略行為に対する「報復無罪」とばかりに、あるいはアメリカへの警告代わりに日本叩き(先制核攻撃)を行う可能性もある。

 NSCと言えば、安倍氏の奥さんの人脈でのつながりのある前NSC上級アジア部長のマイケル・グリーン氏はいわゆるジャパン・ハンドラーズ(日本を操るアメリカの政治家・官僚・知識人たち)のひとり。安倍氏は日本側でのそのエージェントとなってゆくのだろうか。


「この国に静かな誇りを」安倍氏、教育改革に意欲

2006-08-22 20:46:52 | ニュース・時事
【記事】[読売新聞 08月21日 22:21]

「この国に静かな誇りを」安倍氏、教育改革に意欲

 安倍官房長官は21日、都内で開かれた自民党衆院議員のパーティーで、「小泉改革の中で残っている宿題は教育改革だ。子供たちが、生まれ育ったこの国に静かな誇りを持てるような、素晴らしい国をつくっていくためにも、教育から改革をしたい」と述べた。

 首相に就任した場合、最優先課題として教育改革に取り組む意向を示したものだ。

【コメント】
 どこかで安倍氏が教育基本法の「改正」を狙っていると読んだが、これはその現れということだろうか。ということは共謀罪も視野に入っているのかもしれない。

 「この国に静かな誇りを」というなら、教育もさることながらやるべきことはほかにもあると思う。今の教育が悪くて自分のことしか考えない子供が育っているような発言を政治家はしているが、子供は大人のまねをしているのである。約束を破ることは大したことではないという某首相がいて、国民にゼロ金利を押しつけながら自分だけは特権組織に加わって1,500万円の金利を稼ぐ日銀総裁がおり、いい加減な年金事務処理をして年金の浪費の責任も取らせない社保庁長官がおり、雇用保険を浪費する役人がいる。誰も責任を取らない。子供はしっかりそういうのを見ている。

 また、小泉首相の似非構造改革による格差拡大で、働いても働いても豊かになれない人が多数出現している。所得格差の拡大、ひいては教育の格差、希望の格差までもが拡大している。このような国に誇りを持てるだろうか。

 さらに、カニかご漁船「第31吉進丸」の乗組員が殺されたというのに、首相も安倍氏も休暇だからといって抗議の声明ひとつ出さないのはどういうわけだ。間もなく任期切れの小泉氏は言っても詮ないことかもしれないが、次期首相と目される安倍氏がこの体たらくでは…。国民一人の命も守れない、あるいは殺されても文句も言わない国に誇りを持てと?