法人税下げ目指す 内閣府副大臣「成長促す税制に」
内閣府の古川元久副大臣は26日、都内で講演し、法人税率について「できるだけ下げられるのであれば、下げられる方向を目指していきたい」と引き下げを目指す考えを示した。同時に「日本の法人税制は租税特別措置なども多く複雑だ」と語り、租特の見直しにも意欲を示した。古川氏は鳩山政権で中長期の経済政策を立案する国家戦略室長を兼ねている。
古川氏は現在の経済状況を踏まえて「日本の法人税率は高いという指摘がある」と指摘した。そのうえで「日本の成長を考えるときには現在ある企業はもっと強くなり、起業家にとっても好ましい税制に変えないといけない」と語った。
民主党は昨年8月の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)で、中小企業の法人税率を18%から11%に下げることを明記した。ただ大企業などに適用する法人税率(30%)には言及していなかった。(NIKKEI NET 2月26日 22:08)
法人税を下げたところで成長は促されない。それは歴史的に証明されている。小泉の似非構造改革の結果が現在の日本経済であり国民生活である。
たびたび引用する『消費税は0%にできる』(菊池英博著)でも、野口悠紀雄氏の『資本開国論』の一部を引用して「法人税の引き下げの効果はマイナス」と断じている。また、法人税に関して、「ヨーロッパが日本より低いのは、外貨を呼び寄せたいからである。日本は世界一の債権国(投資資金の潤沢な国)であって、外国からの資本輸入は本質的に必要ない。外資を呼び寄せるために法人税を減税することはまったく必要ない」(同著)とのことである。そのヨーロッパでも財政悪化で法人税は下げ止まりとの報がNIKKEI NETの1月23日で伝えられている(欧州法人税、下げ止まり 財政悪化で世論も慎重に)。
法人税引き下げで減少する税収を仮に消費税であがなおうと考えているとすれば愚の骨頂である。本来社会保障の目的で導入されたはずの消費税(累計201兆円)は、82%が法人税の減収分(164兆円)と消えてしまった。現在のデフレ下で消費税を引き上げると、筑波大学の前副学長宍戸駿太郎氏が自公政権での、2011年から7年間で1%ずつ上げ12%にするというモデルで計算したところ、GDPが7年後には20%、10年後には34%減少するとのこと。つまり、日本は没落の道を歩み出す。『消費税は0%にできる』を引用すると次のようになる。
「10年デフレ」「10年ゼロ成長」で国民生活が疲弊しているときに消費税を引き上げれば、国民の8割を占める中低所得者の消費税負担が極めて重くなり、格差の拡大、経済成長の抑制要因となり、「20年デフレ」「GDPマイナス成長」「10年で国民所得半減」に追い込まれるであろう。
大規模な景気振興策と並行して、早急に税体系を全面的に変更し、消費税引き上げを取りやめると同時に、法人税の引き下げを撤廃すべきである。