Time誌の鳩山首相インタビューに関して民主党犬塚直史参議院議員秘書の勝見貴弘氏のツイートが掲載されており、それによると産経新聞はTime誌の記事を鳩山首相の発言として伝えたり、記事原文にはないことを勝手に追加してあたかも首相の発言のように伝えたり、故意に扇情的な誤訳をしてあるいはアメリカ側の反発を招くように仕向けたと思える偽りの報道を行っているようである。無論鳩山首相にはそのような気概でアメリカとの交渉に臨んで欲しいが。
歴史を変えた誤訳というものがある。第二次世界大戦時、当時の首相鈴木貫太郎がポツダム宣言を「黙殺する」と言ったのを、通訳が「ignore」(無視する)と訳し、それが連合国側では「拒否する」と解釈され原爆投下を招いた。
「一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼を高めていく」「米国にも言うべきことを言う」(産経新聞)がそれほど重大な結果を招くとは思えないが、"I believe we should say to each other what we need to say. The time has come for us to seek a more equal relationship."はどこをどう捻ってもそのような訳にはならない。
が、これが仮にアメリカ側の反感を招き、日本国内を混乱させることになれば産経新聞はアメリカ側を利し、日本側の足を引っ張る悪意ある虚偽報道を行っていることになる。
勝見貴弘
On Saturday 10th April 2010, @tkatsumi09j said:
reply
■概要
産経新聞4月10日付の記事『首相「米の言いなりにならない」 米誌インタビューで』の内容は、出典元の米タイム誌の原典記事本文と照らし合わせても、鳩山総理が実際にインタビューで答えた言葉して掲載される記述と、タイム誌自身の記述を混同して掲載している。中には、原典の中でまったく使われていない表現を鳩山総理の発言として紹介する記述もある。
以下、産経記事からの鳩山総理発言部分の抜粋(4箇所)と出典記事の該当すると思われる箇所を併記して比較し、その姿勢に疑問を呈す。
○産経記事
首相「米の言いなりにならない」 米誌インタビューで(2010.04.10 05:00)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100410/plc1004100501003-n1.htm
※ネット魚拓(念のため)
http://ow.ly/i/12hV/original
○出典記事
Change in Tokyo: Hatoyama's Bid for Respect
Monday, Apr. 19, 2010
http://www.time.com/time/printout/0,8816,1978647,00.html#
-----
(1)
【産経】「今までは米国の主張を受け入れ、従属的に外交を行ってきた」
【Time誌】"It was always in response to what the U.S. had to say that Japan followed,"
(仮訳)「日本は常に米国の主張に呼応した形で外交を行ってきた」※
(※冒頭に鳩山一郎の考えを示した次の記述がある。これを鳩山総理の言葉として捉えたのではないかと思われる。)
Prime Minister Ichiro Hatoyama believed his island nation should not become too subservient to the U.S.
(仮訳)鳩山一郎首相は、島国日本は米国に対しあまり従属的にならないようにしなければならないと考えていた。
(2)
【産経】「一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼を高めていく」「米国にも言うべきことを言う」
【Time誌】"I believe we should say to each other what we need to say. The time has come for us to seek a more equal relationship."
(仮訳)「お互いに言うべきことは言い合う、より対等な関係を求めるべき時がきた」
(※「一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼を高めていく」←この記述はなし。別の場所での発言を引用していると思われる)
(3)
【産経】「透明性が十分ではない。軍事力の急速な伸びを、常に注視しなければならない」
【Time誌】"We are always watchful of the rapidly rising military capability [of China]," he says, but "closer economic ties between China and Japan will be beneficial for the prosperity of the world and for stability in Asia."
(仮訳)「[中国の]軍事力の急速な伸びは注視しているが、日中間でより緊密な経済関係を作ることが、世界の繁栄やアジアでの安定に寄与すると思う」
(※透明性が十分でないという記述なし)
(4)
【産経】「中国の人口は日本の約10倍で、いつか日本のGDP(国内総生産)を抜くのは当然だ。経済的により良い日中関係を作る方が大事だ」
【Time誌】China is likely to supplant Japan as the world's No. 2 economy this year; Beijing is usurping Tokyo's political influence in Asia as well.
(※鳩山総理の発言では該当なし。これはタイム誌の独自の記述)
-----
尚、今回の原典との比較作業は、いち国民として、自国の首相の発言をありのままに紹介しない国内メディアの姿勢に対し疑問を抱かざるを得ないことの表明として行った。
Short: http://tl.gd/qhtrp | Posted from Twitlonger
歴史を変えた誤訳というものがある。第二次世界大戦時、当時の首相鈴木貫太郎がポツダム宣言を「黙殺する」と言ったのを、通訳が「ignore」(無視する)と訳し、それが連合国側では「拒否する」と解釈され原爆投下を招いた。
「一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼を高めていく」「米国にも言うべきことを言う」(産経新聞)がそれほど重大な結果を招くとは思えないが、"I believe we should say to each other what we need to say. The time has come for us to seek a more equal relationship."はどこをどう捻ってもそのような訳にはならない。
が、これが仮にアメリカ側の反感を招き、日本国内を混乱させることになれば産経新聞はアメリカ側を利し、日本側の足を引っ張る悪意ある虚偽報道を行っていることになる。
勝見貴弘
On Saturday 10th April 2010, @tkatsumi09j said:
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■概要
産経新聞4月10日付の記事『首相「米の言いなりにならない」 米誌インタビューで』の内容は、出典元の米タイム誌の原典記事本文と照らし合わせても、鳩山総理が実際にインタビューで答えた言葉して掲載される記述と、タイム誌自身の記述を混同して掲載している。中には、原典の中でまったく使われていない表現を鳩山総理の発言として紹介する記述もある。
以下、産経記事からの鳩山総理発言部分の抜粋(4箇所)と出典記事の該当すると思われる箇所を併記して比較し、その姿勢に疑問を呈す。
○産経記事
首相「米の言いなりにならない」 米誌インタビューで(2010.04.10 05:00)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100410/plc1004100501003-n1.htm
※ネット魚拓(念のため)
http://ow.ly/i/12hV/original
○出典記事
Change in Tokyo: Hatoyama's Bid for Respect
Monday, Apr. 19, 2010
http://www.time.com/time/printout/0,8816,1978647,00.html#
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(1)
【産経】「今までは米国の主張を受け入れ、従属的に外交を行ってきた」
【Time誌】"It was always in response to what the U.S. had to say that Japan followed,"
(仮訳)「日本は常に米国の主張に呼応した形で外交を行ってきた」※
(※冒頭に鳩山一郎の考えを示した次の記述がある。これを鳩山総理の言葉として捉えたのではないかと思われる。)
Prime Minister Ichiro Hatoyama believed his island nation should not become too subservient to the U.S.
(仮訳)鳩山一郎首相は、島国日本は米国に対しあまり従属的にならないようにしなければならないと考えていた。
(2)
【産経】「一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼を高めていく」「米国にも言うべきことを言う」
【Time誌】"I believe we should say to each other what we need to say. The time has come for us to seek a more equal relationship."
(仮訳)「お互いに言うべきことは言い合う、より対等な関係を求めるべき時がきた」
(※「一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼を高めていく」←この記述はなし。別の場所での発言を引用していると思われる)
(3)
【産経】「透明性が十分ではない。軍事力の急速な伸びを、常に注視しなければならない」
【Time誌】"We are always watchful of the rapidly rising military capability [of China]," he says, but "closer economic ties between China and Japan will be beneficial for the prosperity of the world and for stability in Asia."
(仮訳)「[中国の]軍事力の急速な伸びは注視しているが、日中間でより緊密な経済関係を作ることが、世界の繁栄やアジアでの安定に寄与すると思う」
(※透明性が十分でないという記述なし)
(4)
【産経】「中国の人口は日本の約10倍で、いつか日本のGDP(国内総生産)を抜くのは当然だ。経済的により良い日中関係を作る方が大事だ」
【Time誌】China is likely to supplant Japan as the world's No. 2 economy this year; Beijing is usurping Tokyo's political influence in Asia as well.
(※鳩山総理の発言では該当なし。これはタイム誌の独自の記述)
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尚、今回の原典との比較作業は、いち国民として、自国の首相の発言をありのままに紹介しない国内メディアの姿勢に対し疑問を抱かざるを得ないことの表明として行った。
Short: http://tl.gd/qhtrp | Posted from Twitlonger