八国山だより

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官房副長官「母親は家庭で子育てを」-子育ては女の仕事と言いたいようだ

2006-11-07 04:37:29 | 子育て
【記事】[読売新聞 2006年11月5日(日)22:11]

待機児童問題で官房副長官「母親は家庭で子育てを」

 下村博文官房副長官は5日、静岡県熱海市で開かれた自民党東京都連の勉強会で講演し、保育所の入所待機児童解消策について「本当にいいのか見直すべき時期に来ている。(特にゼロ歳児保育に)税金投入するなら、(母親は)無理に働かなくても、家庭でしっかり子育てをやってもらえるようにシフトしていくことが望ましい」と述べた。政府が進めている待機児童解消策の見直しを求めたものと見られる。

 また、下村氏は「家庭をバラバラにする政策ではなく、人間社会の原点である家庭を再び構築していくような政策が必要だ」と強調した。

【コメント】
 このお方もやはり苦労知らずのぼんぼんなのだろうか。私の母親もずっと働く主婦で(実家が農家だから当然だが)、農閑期には子供だけで留守番をさせて都会に出稼ぎにでていたこともある。子供を食わせるために。つまり、生きるためには働かざるを得ない状況だった。世間にはそういう母親はたくさんいるだろう。あるいはDV夫と離婚して(なおかつ夫が養育費を払わない)、あるいは旦那を交通事項で失って、あるいは旦那がリストラされて、あるいは非正規雇用なので二人で働かないと生活していけなくて。そうそう、耐震偽装問題で二重にローンを払うことを余儀なくされて(これなどは国が安易に民にその役割をふったために起こった、国も加害者の一人と思うが)。「家庭でしっかり子育てしてもらえるように」、つまりこうした人々が働かなくても生活していけるようにその保障をするというのか。

 また、働くことは単にお金を得るだけでなく自己実現という意味合いも持つ。それは男女問わず同じことだろう。だが、下村氏の発言は働く母親にはそんなものはいあらない、おとなしく家庭におさまって子育てをしていろと言いたいようだ。子育ては女の仕事だと。自分は種をまくだけで後はお任せのようだ。

 女性は子供を産んだら仕事は止めて育児に専念、ということになれば子供を産まない女性が増えることだろう。今だって、20代、30代の夫婦には子供を持つことで色々苦労を背負い込んだり自分のやりたいことを抑えられるから子供は作らないというものがいる。加えて副官房長官がこんな発言をするようじゃますます少子化に拍車がかかる。政府のやっている少子化対策も男女雇用機会均等法も否定していることになる。ポーズでやっているだけだと。しかも税金を使って。子供は「母親」ではなく「夫婦」で育てると政府が言ってたのではなかったのか。

 また、母親と子供がべったりといることで問題が生じていることもある。子育てのストレスで起こった事件も。それはその当人が弱いからと下村氏は言うのかもしれないが、それなら一度自分で体験してみるといい。苦労が分かるはずだから。

 働きたい人は働けばいいし、専業主婦で家庭のことをしっかりやりたい人はそうすればいい。下村氏の発言はそうした人の生き方に干渉、いや否定していることになる。それは国が口を出すことなのか。





子育て負担と経済格差

2006-08-25 14:03:22 | 子育て
【記事】[毎日新聞 08月24日 20:21]

非正社員の負担際立つ 第一生命経済研

 第一生命経済研究所はこのほど、「子育て負担と経済格差」と題するリポートをまとめた。子供2人の養育費は平均で3126万円。非正社員の場合は生涯平均賃金の5割以上を占めることになり、1割強に過ぎない正社員に比べ、負担の大きさが際立った。

 リポートによると、非正社員の男性の生涯平均賃金は6176万円。子供2人の養育費は50.6%を占める。夫婦共働きでも、2人とも非正社員の場合は、27.6%と3割近くを占める。一方、正社員の男性の生涯平均賃金は2億4221万円。子供2人の養育費は12.9%にとどまり、夫婦ともに正社員の場合では7.9%に低下する。

 リポートをまとめた橋本択摩・副主任エコノミストは「非正社員が結婚・出産に二の足を踏むことは当然。若年層への就業支援は、少子化対策としても重要だ」と指摘している。【野原大輔】

【コメント】

第一生命のこの報告書では、ヒト・カネ・トキの側面から分析が行われている。

 ・ヒト - 97年を契機に、リストラ等により「正社員」の雇用数が大きく減少し、   一方で人件費の安い非正社員の数が顕著に伸びている。

 ・カネ - 「正社員」と「非正社員」の「生涯賃金格差」はおよそ1億8千万円にも  上る。

 ・トキ - 正社員数の減少と同時期より、正社員において「労働時間」の増加が見  られる。

 「ヒト」に関して報告書では団塊の世代の退職で持続的な「正社員増大・非正社員減少」の構図も見込めるとしていたが、果たしてどうだろうか。

 日本経団連が会員企業などに6月に実施した調査(回答560社)によると、8割近くの企業が若手社員が足りないと答えたにもかかわらず、フリーターを正社員に採用することには消極的な企業が大半だった。35歳前後以下の正社員の雇用は「不足」が26.5%、「やや不足」が52.2%に上ったにもかかわらず。企業は低賃金のフリーター、派遣社員、契約社員などを労働力構成の基盤として考えているのではないのか。

 一般国民の定率減税は廃止が決まっているのに、企業減税はまだ生きている。最近の労働法制は企業側に有利なように改訂されている。「トキ」といえば、リストラで残っている社員の負担が増えて帰宅時間も遅くなり、あまつさえ、「正社員の4割超が『不払い残業』(サービス残業)をしており、平均で月約35時間に上る」(労働政策研究研修機構)とのことである。企業の好景気は労働者の犠牲の上で成り立っている。
 
 フランスは、出生率が上がった数少ない国だが、出生率を上げるために行った政策は、家族手当UP、教育費を国が負担、子供のいる家庭への所得税軽減などといった金銭的な補助が中心である、そんなフランスに以前日本の官僚が勉強会に行った時、そんなお金の話じゃなくて、わが国はもっと精神論的なうんぬんかんぬん」とか反論して、フランスの官僚の失笑を買ったとか。

 子供を育て、教育するということにどれだけお金がかかるのか、また、子育てがどれほど一般的な家庭の負担になるのか、企業の経営者層、官僚や政治家の特に男どもはわかっているのだろうか。

 企業も国も自分のことしか考えていない。ほんとに出生率の減少を憂慮しているのだろうか。談合やら無駄な箱もの、自分のポケットマネーに使うお金はあっても出生率を向上させるためのお金はないとでもいうのだろうか。