八国山だより

ノーサイレントマジョリティ!ごまめの歯ぎしりといえど、おかしいと思うことはおかしいと自分の意思を発信しなければ

こっそり親中の米中両属路線が継承される

2021-09-27 16:39:33 | 外交
田中宇 国際ニュース解説 豪州に原潜もたせ中国と敵対させる より抜粋転載
 *黒字は当ブログ筆者による

 日本はアングロサクソンでなくAUKUSにも入っていないが、米国主導の中国敵視の前からの枠組みである「クワッド(米日豪印)」に入っている。クワッドの概念は、安倍晋三前首相が作ったことになっている。中国敵視の傾向が強い日本のマスコミや権威筋は「AUKUSの新設は、米国が本気で中国を敵視して潰す気になったことを示している。いずれ中国は潰される。万歳」みたいな論調だ。しかし、すでに書いたように、これは米国が発している幻影を鵜呑みにしているだけだ。実際は中国が潰されることはなく、むしろ逆に台頭する。 ("Israel" Seeks to Replace the US with China after Afghanistan Withdrawal) (米国の中国敵視に追随せず対中和解した安倍の日本

 そもそも今の自民党の日本政府は、表向き米国と一緒に中国を敵視する演技をしつつ、裏でこっそりできるだけ中国と仲良くする「米中両属」の策をやっている(両属の元祖は、昔の琉球王朝の外交策「日中両属」)。安倍晋三は、米国から「中国を敵視するクワッドの立案者」に祭り上げられる一方で、裏で習近平にすり寄る親中策を展開していた。いま自民党は菅義偉の後継者を選んでいるが、人選を裏で操っているのは安倍であり、誰が次の首相になっても、安倍が敷いたこっそり親中の米中両属路線が継承される。自民党は、こっそり親中策の目くらましとして、軍産プロパギンダ機関と堕したマスコミに「日本は米国と一緒に中国を敵視する。万歳」と、間違いの喧伝をさせている。 (中国が好む多極・多重型覇権) (安倍に中国包囲網を主導させ対米自立に導くトランプ

 米国がAUKUSの新設を発表した翌日、中国がTPPに加盟申請した。この2つは米中の対立演技の2つの側面として連携している。それについては改めて書く。

防衛白書で中国との戦闘姿勢を鮮明にした菅政権

2021-07-18 10:26:01 | 外交
櫻井ジャーナルより抜粋転載

*黒字は当ブログ筆者による

防衛白書で中国との戦闘姿勢を鮮明にした菅政権

 白書が公表される前、6月28日に中山泰秀防衛副大臣はネオコン系シンクタンクのハドソン研究所で講演、中国とロシアの脅威を強調し、中国がミサイルでアメリカの東海岸やホワイトハウスに照準を定めることは可能だと語ったという。アメリカは1950年代からミサイルで中国やソ連を攻撃する能力を持ち、しかも実際に使う計画だったのだが、そうしたことは忘れている。

 また、麻生太郎副総理兼財務相は7月5日、台湾海峡で「大きな問題が起き、日本にとって『次は』となれば、存立危機事態に関係してくるといってもおかしくない。日米で一緒に台湾の防衛をやらないといけない」と自民党衆院議員の会合で述べたという。

 「存立危機事態」とは、2015年に成立した安全保障法制で、集団的自衛権を使う際の前提条件として規定された。日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態だという。

 本ブログでは繰り返し書いてきたが、イラクへの先制攻撃は1992年2月にアメリカ国防総省のDPG草案という形で作成された世界制覇プランに基づく。このプランは「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。1991年12月にソ連が消滅、アメリカが「唯一の超大国」になったという認識に基づいて書き上げられた。

 当然、そうした流れに日本も巻き込まれる。アメリカのネオコンは日本を自分たちの戦争マシーンに組み込もうとするのだが、細川護煕政権は国連中心主義を放棄しない。そこで細川政権は1994年4月に潰されてしまった

 それでも日本をアメリカの戦争マシーンへ組み込むことに抵抗する人もいたようだが、そうした意見を吹き飛ばすような出来事が立て続けに引き起こされる。例えば1994年6月の松本サリン事件、95年3月の地下鉄サリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃されている。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆している。その後、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれていった。

 1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、重要な役割を長競れるようになってきた。それは中国やロシアとの戦争で日本が最前線に立たされることを意味する。今回の防衛白書にはそうした背景がある。言うまでもないことだが、アメリカ軍は日本を守る目的で日本に駐留しているのではない。侵略の拠点にしているのだ。


北方領土と対米従属

2006-09-20 05:55:04 | 外交
 北方領土に対する政府の対応について田中 宇氏の興味深い分析を見つけた。

多極化と日本(2)北方領土と対米従属

そのざっとした経緯を時系列で並べると次のようになる。

1951 サンフランシスコ講和条約署名
  →千島列島のソ連領への編入が容認  *ソ連は署名せず
  日本:歯舞・色丹は日本領にするようアメリカに依頼
  アメリカ:ヤルタ会談で連が参戦したら千島列島をソ連領にすることを容認して   いたため拒否
   この時点では「北方領土問題」の対象は、歯舞・色丹だけ

1955 ソ連、「日本と平和条約を結んだら歯舞・色丹を返しても良い」と提案
1956(7月) →日本:「歯舞・色丹だけでなく、国後・択捉も返してくれない限り、平        和条約は結べない」
               ↓
      交渉は妥結せず「ソ連は、日本と和平条約を締結したら歯舞・色丹を返      す」という表明を盛り込んだ日ソ共同声明だけを発表して終了                       ∥
       背景にアメリカの圧力
      「日本が国後・択捉の返還をあきらめて日ソ平和条約を結ぶのなら、ア       メリカも沖縄を日本に返還しないことにする」 ダレス国務長官

1991 ソ連崩壊

1993 日露首脳会談-日本側からの提案で平和条約を視野に入れた北方領土のついて   の話し合い
     日本の考え方= 4島返還
     ロシアの考え方 = 法と正義に基づいて解決されるべき
      法と正義 = サンフランシスコ講話条約 = 歯舞・色丹だけが対象
            ↓
           交渉不成立

2005 ロシア側から、北方領土問題を解決して日露関係を正常化しようとする動き
      背景:イラク泥沼化によるアメリカの外交的・軍事的覇権力の衰退
         ロシアのドイツ、中国など、他の大国との関係の緊密化を求め          る、「非米同盟」作り
    日本の対応:4島全部の返還を主張、小泉首相がプーチン大統領の招待を返     事を引き延ばした上で断る


 つまり、いつまでも冷戦状態を保とうとするアメリカ側の圧力、またアメリカの言うことに従っている方が自分の頭で考えなくてすみ、自らの力を維持できるという外務省の態度、それに政府が、この歴史的経緯からは歯舞・色丹しか返還交渉の対象とはなりえず、「国後・択捉の返還が絶望的なこと、ロシアとの関係を正常化すればエネルギー源の確保や北海道の経済再生などの利点が大きいことをきちんと説明しないでマスコミを動員して4島返還でなければならないという宣伝をして」、そんなものかと国民を騙して北方領土問題を解決しないでいる。その方が「ロシアと和解せずにすみ、日本が外交的にアメリカだけと緊密な関係であり続けられ、対米従属戦略を継続できるから」というのが田中宇氏の見解である。

 日本はこれまで石油資源のある中近東諸国と宗教的な面からも良好な関係を保ってきた。が、アメリカに従属してイラクの石油をアメリカに奪われ、またアメリカに従ってイラン制裁となればイランからの石油さえも失うことになる。ロシアの石油も関係が正常化していないため確保できない状況にある。つまりアメリカ従属で国益を損なっている。先月起きた貝殻島付近の海域でのロシア警備艇、カニ漁船を銃撃・拿捕、乗組員の射殺とい痛ましい事故も、外務省がアメリカのいいなりにならず歯舞・色丹を返還してもらっていれば起こりえなかった事件かもしれない。盛田さんを殺した陰の犯人は外務省・日本政府と言えないだろうか。日本の外務省は実はアメリカ国務省の一機関なのか。




「普通の国」日本を歓迎する動きを重視すべき、と古森氏はいうが

2006-09-06 10:07:36 | 外交
 「日本は憲法第9条を改正しなければ、『普通の国』になる決意を放棄するという不満足な道にとどまることになる」
 
 という"ブッシュ政権などとは異なる立場だと思われてきたウィル氏のような論客が「普通の国」日本を歓迎するようになったわけである。だからこの動きは重視すべきだと思うのだ。 "と古森氏は言うが(SAFETY JAPAN)。
 
 憲法9を改正して自衛軍を持ち、「普通の国」となるということはどういうことか。
「普通の国」の防衛体制とは、防衛線を自国の領土から少しでも遠くに設定しようとする、軍部の論理として。そうすると隣の「普通の国」もまた同じことをするので紛争が生じ、戦争の火種となる。防衛線を脅かす敵国の基地を「先制攻撃」によってつぶすことを常に考える。というのが中山 治氏(『誇りを持って戦争から逃げろ!』)の考えである。

 それでなくても太平洋をはさんで対立する米中の間に日本は存在し、日米軍事同盟によって日本が米中の戦争に巻き込まれることになるとアメリカに利用される可能性がある。

 中山氏のこの著書では日米が軍事一体化すれば日本はアメリカを牽制するための生け贄となるとのこと。中国は日本を先制核攻撃してアメリカを牽制してアメリカの譲歩を引き出し、アメリカは日本を中国の矢面に立たせることで日本を「核の盾」として使えるようになる。日本人だけ虐殺されて米中は被害なしで「手打ち」する。ヤクザの抗争で、子分どもが何人か死んだところで親分同士が「手打ち」してシャンシャンとなる、あれと同じように。子分である日本だけが貧乏くじをひかされる。
 
 中国が日本を先制核攻撃するプランがあることは、アメリカのハドソン研究所の報告がなされていて、中国は1998年12月から日本を核攻撃する秘密訓練を開始したとのこと(日高義樹著 『日米は中国の覇権主義とどう戦うか』)。
 中国は国連憲章の敵国条項と日本の先制攻撃能力排除を根拠に、ただちに、アメリカを交渉に引きずり出すことを目的に日本の複数の地方都市を核攻撃、ただし、アメリカとの交渉が目的なので在日米軍基地と中華街のある都市は外すだろう、とのこと(『誇りを持って戦争から逃げろ!』)。
 
 日本が核攻撃されても、諸外国からは過去を反省してこなかった「自己責任」、「報復無罪」と片づけられることだろうとのこと。日高義樹氏は、日本兵の残虐行為に端を発した「ヒロシマ、ナガサキでは復讐は終わらない」という言葉で終わるイギリスの刑事物ドラマをつい最近見た由(『日米は中国の覇権主義とどう戦うか』)。
 
 このような事態を回避するためにも憲法9条は絶対に変えるべきではなく、「武装中立国」として自分の国は自分で守る道を選ぶべきというのが中山氏の主張である。兵力は自衛隊の現有勢力のもので十分とのこと武装中立国を侵すことは、国際秩序の破壊を意味し、国際的な非難と孤立、経済制裁があるからである。アメリカは意図的にこの「武装中立」による防衛という考え方を隠している。
 中山氏の防衛体制に対する考え方はクモの巣型防衛論に相通ずるものがあって、共感できる。
 
 現在、日本の社会はアメリカの都合のいいように改造されている(しかも、日本側にこれに協力するものがいる。小泉、竹中氏など)。これ以上アメリカの好き勝手にさせる必要もあるまい。