パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

寂聴の「いま、釈迦のことば」

2020-08-16 | book
瀬戸内寂聴が、釈迦の言葉から、当時86歳の寂聴が、出家して34年。今の生き方を問う「いま。釈迦のことば」を読んだ。2008(平成20)年4月刊行。2007年から2008年にかけて週刊誌に連載されていた。法話を聞いているようで、背筋が伸びる。30の項目に60の釈迦の言葉がある。ダンマパダは修行僧に向かって説かれたものだ。

殺してはならぬ ダンマパダ129、 ダンマパダ130
怨みは永遠に尽きないのか ダンマパダ5
命は永遠でないからこそ尊い ダンマパダ182
この世ははかないもの スッタニパータ、ダンマパダ170
心がすべての根源にある サンユッタ・二カーヤ、ダンマパダ33・34・35・36・37
死の脅威を逃れるには ダンマパダ128
身をつつしみ心を整える ダンマパダ160
愚か者として生きる ダンマパダ60・62
愛は苦しみを生む ダンマパダ210・211
花のように清く生きる ダンマパダ46・47・377・53・54・58・59
老いと死を乗り越える ダンマパダ148・ 150・151
やがて訪れる死に向き合う ダンマパダ235
足ることを知る ダンマパダ49
人生の最後をどう過ごすか ダンマパダ157
切実な不戦の教え ダンマパダ201・197
私のものは何ひとつない ダンマパダ62
わが子に先立たれる悲痛 ダンマパダ・アッタカタ―
泣きごとをいわず耐える ダンマパダ184・252・253
本当の賢者とは誰か ダンマパダ258・ 260・264
ブッダの老いと死 アングッタラ・二カーヤ
愛欲の恐ろしさ ウダーナヴァルガ第2章1,2
女性の生きる道 テーリーガーター序
善行の報い、悪行の報い ダンマパダ121・ 122・119
賤しい人の条件 スッパニパータ
心のこもった食事の施し 大パリニッバーナ経
犀の角のように歩め スッタニパータ56・68・71・ 74
過去や現在にこだわらない スッタニパータ849・850・854・855
心の動揺よ、止まれ アングッタラ・二カーヤ
自分も他人も大切に ウダーナヴァルガ第5章18
この世は美しい 大パリニッバーナ経

人間は自分の命さえ思い通りにはならない。自分のものなどない。孤独なものだ。その矛盾と不条理の中で生きていかなければならない。死ぬまで愚者として。
人間の死への覚悟のなさ、日ごろのいい加減な生き方を戒めている。「生者必滅 会者定離」。仏教の根本思想「無常」。しかし、いつ来るかわからない死におびえているのではなく、生かされている今を精一杯生ききることが仏教の真の教えだ。万一の時には「南無阿弥陀仏」と唱えればよい。
毎日曜に流れるニュース。子殺し、親殺し、いじめ、自殺、老後の不安、若者の引きこもり、少子社会の現実。こんな世の中でも黙々と善を積んでいる人がいる。
疲れ切った時、物事がうまく運ばないとき、人に裏切られたと思うとき、愛する人と別れて淋しくてたまらないとき、口ずさむ言葉。スッタニパータの「犀の角のように、ただ独り歩め」。インドサイは角が1本。性質がおとなしくおだやかだという。誰とも群れず、一人静かに瞑想して、心を落ち着かせ、心の無明に燃えている煩悩の日を消していくには、孤独こそ最良の友達だ。独りで生まれ、独りで死んでいく。我々凡夫(ぼんぷ)の心は、いつも様々な妄念によって、揺れ続け、うろつきまわって止まることがない。
心が軽くなる。そんなひと時があってよい。愚者凡夫の私は、また、妄念の中で苦しみもがく時を過ごすのだから。
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