江戸町火消資料館(江戸ワンダーランド)

2021-08-01 00:00:42 | 美術館・博物館・工芸品
江戸ワンダーランド(日光江戸村)は全体としては娯楽施設であるが、その中に異色な施設がある。それが『江戸町火消資料館』。娯楽性はなく、博物館のような建物。資料館となっているのは、学芸員資格を持った人を置くのが難しいからだろう。



並べられた、展示品は、オリジナルや模擬品などだろうが、庶民から見て、組織化された消防隊は極めて重要な仕事だったのだろう。とても個人では火事には対抗できない。

東京の四谷に消防博物館があるが、ある意味、江戸の火消しにフォーカスした展示や研究はこちらの方が多様な気がする。刺青の話とか。刺青は現代日本では特定の傾向の人たちと都内のとび職の方に引き継がれているということらしい。



また江戸の火消しの仕事は、まず水かけで消すこと、ダメなら延焼防止のため周りの住宅を先回りして壊すことだった。ポンプの展示の後ろには、住宅解体用具が並べられている。



ところで、初めて知ったのが、町火消と幕府との関係。特に、有名な西郷隆盛×勝海舟会談で、江戸無血開城が決まった時の火消しの役割。

西郷×勝会談は2日連続で行われたのだが、勝は「どちらにしても人生最後の仕事」と思っていたようで、交渉決裂で官軍の江戸突入となれば、江戸の町に火を放ち町も人も丸焼きにしようと考えていたとされる。西郷も逆の意味で江戸突入を考えていた。



この時の勝の考えがブラフだったかどうかは、はっきりできないが、町に火を放つ役目は町火消となっていて、江戸中の火消しが既に集合していたそうだ。仮にブラフとしても着火寸前までにはなっていたわけだ。火消し集合情報を西郷が知っていたことは十分に考えられる。

もし、丸焼きになっていたら世界の歴史に例がない大惨事だったわけで、少なくても後の歴史には影響を与えていただろう。