犯人蔵匿罪の割り切れない話

2012-10-25 00:00:07 | 市民A
オウム逃亡犯の一人であり特別指名手配者だった菊地直子を匿ったとし犯人蔵匿罪の罪状で高橋寛人容疑者の初公判が開かれる。求刑は懲役1年6ヶ月。高橋被告は起訴内容を認め、執行猶予付き判決を求めて、即日結審して地裁判決は11月22日に言い渡されることになった。

しかし、この裁判に関しては、実際にさまざまな意見があり、本来は、犯人蔵匿罪について、もっと突っ込んだ法廷論争が起きるべきなのだろう。が、ネット書き込み事件と同じように、「罪を認めたら執行猶予になるから」と、そそのかされてスピード裁判を望んでいるのかもしれないが、こうなると検察も司法もまた容疑者の方も、でたらめという感もある。


もっとも、蔵匿罪についてではなく、寛人容疑者が、菊地容疑者から聞いた高橋克也の隠れ家へいって、口止め料をせしめた件や、寛人容疑者の兄が、弟から聞いた菊地容疑者と克也容疑者の情報を警察へタレこんで、懸賞金の支払いを要求した件など、醜い現実がゴロゴロという気持ちになる。


話を戻し、犯人蔵匿罪だが、匿う相手が「真犯人」に限るのか、警察が追う「容疑者」まで範囲を広げるかという問題がある。実際には「真犯人」が確定するのは、裁判が終結した時点なので、長い時間が必要だ。一方、犯人を蔵匿したとする人物が有罪を認めて服役したとして、その後、犯人と呼ばれた容疑者が証拠不十分などで無罪になると、蔵匿罪は適用になるのだろうか。宙に浮くことになる。といっても服役終了していたらどうなるのだろう。学説でも意見が分かれているようだ。要するに、容疑者=真犯人という決め込みの上に犯人蔵匿罪が成り立っているということなのだろう。

実際に菊地容疑者に対する容疑が、都庁小包爆弾事件による殺人未遂ということに固まりつつあるが、なんとなく犯人蔵匿の方が先に結審するのは奇妙な感じがする。

次の疑問は、蔵匿罪の適用について親族の場合は罪を軽くすることができるようになっている。親族には配偶者が含まれるのだが、菊地容疑者と寛人容疑者は事実上の婚姻状態だったということは十分に言えるのだから、この親族の範囲を、婚姻届上の婚姻関係にするのか、事実婚まで拡大するのかも本来は論点かもしれない。

さらにいうと、匿ったのではなく、匿ってもらったという状態だったらしい。菊地容疑者と知り合う前には簡易宿舎や公園で寝泊まりしていたといい、結果としては、むしろ匿われていたという状態だったようだ。

もっとも、事件の全貌を肯定的に捉えているわけでは、まったくないので、念のため。


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